04. Frontier
──「Frontier」はDa-iCEの工藤大輝さんが作詞作曲、プロデュースを手がけたシングル曲です。工藤さんのラジオに浦野さんが出演したことをきっかけに楽曲提供してもらうことになったそうですが、もともとお二人は親交があったんですよね?
本田 はい。
中川 あと秀太は高校のときに文化祭でDa-iCEさんの曲を踊っていたらしくて。
浦野 文化祭に向けて有志で5人グループを結成したんですけど、僕はDa-iCEさんに憧れていたので、「I'll be back」「TOKI」「SHOUT IT OUT」とか、いろいろ踊らせてもらっていました。大輝くんのパートもやってたりして。
中川 へえー!
浦野 そのあともDa-iCEさんみたいになりたくて、当時同じ事務所に入ったくらいで。それくらい好きだったので、楽曲を提供してもらえたのはうれしかったですね。ラジオの生放送の休憩時間に、本田くんが「今度曲を作ってくださいよ」って大輝くんに言ったんだよね?
本田 そう。「機会があったら曲を作ってください」と言ったら、「いやー、それはねえ」みたいな感じではぐらかされて(笑)。でも、生放送が始まった瞬間に大輝くんが「作ります」って言ってくださったんです!
浦野 「生放送で言うと、大人も動くから」って。本当にカッコいいなあと思いました。しかも社交辞令じゃなくて、ちゃんと作ってくださって。
──OWVがシングル表題曲できれいなメロディのさわやかな曲を出すのが新鮮だなと当時思っていました。「Get Away」のようなポップなサマーソングはありましたけど、また別の方向で。
本田 確かに新鮮さはありました。
浦野 僕らからも「こういうサウンドでお願いできますか?」って相談させてもらったよね?
本田 うん。サウンドにギターやドラムを取り入れてほしいということを伝えさせてもらいました。
中川 「BREMEN」でOWV第二章が始まって、ちょうどグループのカラーが固まってきていた頃だったので、そのカラーに合うようなギターサウンドを依頼して。後輩相手にも快く対応してくださって、本当にありがたかったです。
05. STAY GOLD
──「STAY GOLD」はメロディラインが美しいバラード曲です。ZEROさんが手がけた歌詞がめちゃくちゃいいですね。「君が好きな君でいて」「君は君だけの色で輝け」と、ありのままの自分でいることを肯定してくれます。
本田 「STAY GOLD」の歌詞はマジでやばいです!
中川 大好き!
──トラックは皆さんで選んだんですか?
本田 みんなで選びました。「絶対これだ!」ってすぐ一致しましたね。きれいなサビがすごく印象的で、OWVの4人で歌う姿がすぐに想像できました。デモの時点ですでによかったんですけど、ZEROさんの仮歌と歌詞が入ったらさらによくて。
──歌詞は最初にZEROさんが書いてくれたものから変更もほとんどなく?
本田 変わらなかったですね。もともと僕たちはバラードを歌うときは、応援ソングにしたいと思っていて。「Luminous」(2024年6月発売の9thシングル「LOVE BANDITZ」カップリング曲)も、そういう意図で作りました。今回も「リスナーの皆さんの背中を押せるような曲にしたい」というオーダーをさせてもらいました。
中川 歌詞の言い回しが好きなんですよね。ストレートで、みんなが共感できる歌詞なんですけど、「メッキじゃない想いで いつかの涙も光に変えるから」とか、ちょっとひねられた言い回しがおしゃれで。レコーディングも素直に「この言葉を伝えたいな」と思いながら臨めました。
──4人それぞれの歌の力を感じる曲ですね。1つひとつの言葉が丁寧に発せられていて、聴き手の心にスッと入り込んでくるような。
本田 「Supernova」で1人8時間レコーディングした日のあと、2曲目に録った曲だったから鍛えられていたかもしれない。僕は歌詞から思い浮かぶ情景を大切にしながら歌いました。
浦野 僕は“主人公=僕”として歌っていました。これまでの人生で、音楽に背中を押してもらう状況もけっこうあったので。自分の経験と重ね合わせることで、感情を込めてレコーディングできましたね。
佐野 実は僕は普段そんなに気持ちが落ちることがなく、そこまで励ましてもらいたい状況がなくて。
──背中を押されなくても大丈夫だった。
佐野 はい。やりたいことは自分の意思で叶えようとしてきたので。
浦野 でも、そしたら背中を押してあげる側として歌えるもんね。
佐野 そうそう。そっち側のスタンスで歌いました。でも、「汚れた靴で蹴飛ばそう 夢見れない世界なんて」という自分のパートの歌詞は、ランニングの状況だなと思いました。
──佐野さんと言えば、TBS系「オールスター感謝祭」の名物企画「赤坂5丁目ミニマラソン」に初出演していきなり初優勝を果たした、芸能界屈指のマラソンランナーですからね。
中川 ZEROさんに歌詞を書くときにランニングのイメージがあったか確認してみます(笑)。
06. Treasure
──アルバムにはOWV初のデュエット曲が入っています。どういう流れでデュエット曲を作ることになったんでしょうか?
本田 もともと「デュエット曲、ソロ曲をいつかやりたいね」という話は、OWVチームの間であったんです。それで今回、アルバムの10曲中8曲が決まった段階でスタッフさんが「あと2曲どうしよう?」と悩んでいたので、「デュエット曲をやらせてください」と提言しました。
──いわゆる本田さんと浦野さんの“浦タイ”チームと、佐野さんと中川さんの“凸凹”チームに分かれていて、作詞をそれぞれのメンバーとMuginoさんが手がけています。デュエットの組み分けは自然と決まったんでしょうか?
佐野 はい。それぞれの声色と、ルーツになっている音楽で決めましたね。本田くんと秀太は、さっきも話に出たDa-iCEさんだったり、J-POPに馴染みがあって。
──なるほど。佐野さんと中川さんはヒップホップですかね?
佐野 そうですね。4人しかいないので、組み分けのパターンも限られてくるんですけど、今回はルーツが近いメンバー同士で分けてみました。
本田 誰とやるにしても、どういう曲をやるのかはすぐ思い浮かぶんですけど、とりあえず最初の組み合わせはこうなりました。
──では、「Treasure」がJ-POPの王道バラードのような曲になったのも必然だったんですね。
浦野 かっちゃんと文哉が攻撃的なラップ曲でいくようだったので、僕と本田くんはバラードかなって。
本田 秀太と一緒に組むとなったら、絶対にラブソングを歌いたかった。
──それはなぜでしょう?
本田 まず、J-POPでバラードを歌うならラブソングだろうというイメージがあって。それに、秀太とだったらベタな曲を歌っても成り立つかなと思ったんですよ。
中川 それは秀太がベタだからということですか?
浦野 誰がベタだよ(笑)。でも、バラードのラブソングはわかりやすいというか。
本田 そういう曲を作りたかったよね。
浦野 うん。わかりやすい歌詞でみんなに伝わりやすい、というのがJ-POPのよさだと僕は思ってるので。
──J-POPのラブバラードと言っても方向性はさまざまですが、お二人は切ない方向を選んだんですね。思い出の道を歩きながら、学生時代に告白できなかった片思いしてた人のことを考えてるみたいな……。
浦野 正解です!
本田 わかりやすすぎるな(笑)。ハッピーエンドより、最後はちょっと悲しいほうがよくないですか? 僕と秀太で1本の映画を作るような感じで、ストーリーを考えて。
浦野 1本じゃなくて3本くらい考えたよ。
──3本すべて切ない方向だったんですか?
浦野 はい。切ないラブストーリーといっても、いろんな別れ方のパターンがあるじゃないですか。
中川 切なさの度合いも違うよね。
──「Treasure」の主人公は、OWVのラブソング史上一番奥手なイメージです。
浦野 あー! 確かにそうですね。
本田 なんで学生時代に「好き」と伝えなかったのかというところも……リスナーの方々にそれぞれ考えてもらいたいですね。
浦野 僕たちはこの曲を歌うにあたって、歌詞の前のストーリーも、そのあとの話も考えたので。
中川 歌詞に書いてないところも、曲を聴き込めば読み取れるということ?
浦野 うーん、それはどうだろう……。
中川 わからんのかい(笑)。
浦野 Muginoさんも「主人公が思いを抱いてる相手はどういう人? どういう服を着てるの?」って話に乗ってきてくれて、登場人物のイメージも物語も3人で楽しく話し合いながら考えたので、皆さんもそれぞれ想像してほしいです。