OverTone「ゼロ」インタビュー|メジャーデビューした4人が見る未来とは (2/2)

ホンマやめや、先輩呼び捨てにすんの

──HiDEXさんとは前からお付き合いがあったんですね。

八上 19歳ぐらいから一緒にお食事に行かせていただいたりしてました。お兄さんでシンガーのNAOさんとライブハウスで知り合って、仲よくさせていただいてたんですよ。「俺の弟紹介するわ。ベリーグッドマン」と紹介されて、「えー? 知ってる!」みたいな。そこから仲よくなっていきました。

──ずっと呼び捨てですもんね。

八上 すみません! 匠がめっちゃ呼び捨てにするんです!(笑)

 俺、何も言うてないやん(笑)。

八上 (匠に)もうホンマやめや、先輩呼び捨てにすんの。

GUCCHI もう無理やで(笑)。

アマノ ノリですけど、八上は本人に「おいヒデ!」とか言うてますよ(笑)。

GUCCHI ヒデさんも、ちょっとうれしそうにしてるしな。

──本当に仲がいいんですね。この5年間、着々とお客さんを増やしてきた感じですか?

八上 コロナ禍でこの2年は特に動きはなかったんですけど、それまではツアーの規模も徐々に大きくなって、「ちょっとずつイケてるな俺ら」という印象はありました。

GUCCHI 最多8カ所やったっけ?

八上 うん。大阪、東京、名古屋、福岡、鹿児島、岡山、仙台、金沢……コロナ禍のおかげで今があると思っているので、そこは逆によかったかなと。

──ポジティブシンキングですね。

八上 ハハッ(笑)、そんな褒めんとってください。お母さんに聞かれたら恥ずかしいから。

GUCCHIアマノ 褒めてない。ただの感想やから。

──1人がボケると3人一斉にツッコむんですね(笑)。ステージ上でもこんな感じで、やりとりはコミカルだけど、いざ歌い出すときちんと二枚目なのがすごいと思いました。

GUCCHI 歌うときはできるだけカッコよく。

八上 ナルシストにならんと。でもGUCCHIはチラチラ照れが出ちゃうんですよ。カッコつけるのが苦手で。

GUCCHI 写真とか撮られるのは無理です。一生無理ですね、これは(笑)。性格なんであきらめてます。

──照れ屋さんですね。一番照れ屋じゃないのは?

八上 僕じゃないですかね。やれって言われたらイケメンキャラもできます。でも自分はそうじゃないと思ってるんで、そこは匠くんとかアマノに任せとこうかな、みたいな。

OverTone

OverTone

──4人は仲がよさそうですが、グループ内でのメンバーそれぞれの役割はあるんですか?

八上 匠くんがビジュアル担当じゃないですかね。

GUCCHI 王子様キャラじゃないですけど、そういうふうにしていこうと。

アマノ 僕らのファン層は高校生ぐらいの女の子が多いんで、そういう人たちには彼を見てもらう。で、GUCCHIはわりと僕のイメージだと男のファンが付きそう。男らしいから。

GUCCHI ヒゲがあるからやろ(笑)。

八上 ミステリアスというか、作家気質なところがあるんです。だからファンの人たちもGUCCHIに求めてるものはほかの3人とはたぶん違うと思いますね。言葉を求めてるというか。僕はとにかく友達感覚でいられるタイプで、誰も敬語使ってくれないです(笑)。そしてアマノは……変な人です。

アマノ 観賞用みたいな。そういう人間でありたいと思います。

GUCCHI キャラじゃなくて人間性か(笑)。

──冷静に自分たちのことを見ているんですね。

アマノ そう言われたら恥ずかしいですけど。

GUCCHI でも話し合いはよくしてますね。誰がどういう役割で、っていう。

──OverToneという名前は何が由来なんですか? 声を重ねるから?

八上 それもあるんですけど、1つの音にも倍の周波数が重なってるから響いて聞こえるというので、自分たちの音楽もそういうふうに広がっていけばいいなって……というのはあと付けで、本当のことを言うとHiDEX……いやHiDEXさんと一緒に名前を考えてて「倍音は英語にしたらOverToneか。OverToneって歌手ほかにおんのかな?」と調べたら「日本にはおらんな」とわかって、「略称オバトンにできるし、かわいいやん」ということで決めて。みんなで「ワーッ!」っと盛り上がりました。

GUCCHI 夜10時ぐらいに、自販機の前で(笑)。

アマノ 僕、そんときヒデさんと初対面やったんですよ。「なんかメンバー増えてない?」と言われました(笑)。

目標は国内最大キャパの日産スタジアムワンマン

──そしていよいよベリーグッドマンが主宰するTEPPAN MUSICからメジャーデビューされたわけですが、HiDEXさんから「俺らのレーベルから出さへんか?」と誘い話があったんですか?

八上 3、4年前に事務所が、僕たちOverToneとHAND DRIP、mahinaのコンベンションライブを主催してくれて、それを日本クラウンの方が観に来てくださったんです。そのあともずっと気にかけてくれていたみたいで、去年の9月に出演したベリーグッドマンの野外ライブ(「ベリーグッドマン 超好感祭2021~“ナツノオモイデ”リリースパーティー編~」)をレーベルの上層部の方が何名か観てくれて、「いいじゃないですか」ということでリリースの話をいただいたんです。「せっかくやったらTEPPAN MUSICから出しましょう」ということで、僕らはガンガンガン!って上から頭叩かれてるみたいに首を縦に振りました。

──メジャーデビュー曲「ゼロ」は昨日のライブでも披露されていましたが、歌詞のメッセージをあまりこねくり回さないでストレートに歌っているのが印象的です。

GUCCHI テーマだけちょっとひねってみたりとかはしますけど、伝わりやすくわかりやすい歌詞は心がけてます。書いてる人にしかわからん「あの日」とか「あの人」とかは僕は嫌いで、誰が聴いても情景をしっかり浮かべられる歌詞にしたいという思いがあります。

──ひねりといえば、「ゼロ」というタイトルで「ゼロにならないさ」と歌っているのが面白いですね。

 コロナ禍で今まで積み上げてきたものが文字通りゼロになってしまったような、そういう感情で書き始めたんです。GUCCHIが一緒にサビの歌詞を考えてくれたんですけど、ゼロからのスタートになってしまうかもしれないけども、僕らが歌い続ける限りこの声はなくならないし、ファンの皆さんもいなくならないという意味で、「この声はゼロにならない」でいこうと。

──匠さんとGUCCHIさんが中心になって作った曲なんですね。

GUCCHI 僕はちょこちょこお手伝いしたぐらいで、ほとんど匠くんです。

──曲によって中心人物が違うんですね。

GUCCHI そうですね。昔はトラックをもらって、誰かがサビを完成させてきて、そのテーマに沿ってAメロとBメロを作っていくというのを基本にしていたんですけど、最近は何もないところから、誰かがワンコーラスのデモを作ってきてみんなに投げるという感じでやってます。オケありきやと制限がかかるんで、それこそゼロから作れるようになりたいなっていう。匠くんやとギターでコードを付けながらやし、僕は最近トラックの勉強してるんで、ラフなのを作って。

八上 基本的に曲作りはほぼほぼGUCCHIがメインで、ハモりとかは僕が色付けしていきますね。例えば「匠くんやったらこの感じのメロディがいいな」とかイメージがあるんで、いくつか出して聴いてもらって「いいやん」となったらそれでいこうと。

OverTone

OverTone

──中心人物としては、この曲の聴きどころはどこだと思いますか?

 サビのコーラス感ですかね。僕1人じゃ思い浮かばないところを3人が引き出してくれました。あとサウンドがカッコよくて、僕のイメージのさらに上を行ってくれた感じで。Cメロのあとの間奏とか、アレンジャーの木村さん、気持ちいい顔して弾いてんねやろなあ、っていう(笑)。

八上 僕も間奏を聴いたときにすっごいデカいステージがイメージできたんですよ。

アマノ 匠くんもデカいとこで歌ってるのをイメージして作ったんやもんな。

 そうなんです。

──4月には「モンスター」もリリースされますが、これは誰が中心になって作ったんですか?

八上 これもGUCCHIですね。

GUCCHI そうですね。トラック先行でもらってサビを考えてたときに、鼻歌で「フンフンフンフン、“モンスター”」だけ出てきたので、そこから広げていきました。

八上 “サンスター”が出てたら歯磨き粉の曲になってたかもしれんな。

GUCCHI 名前入れてもうたらアカンけどな(笑)。それで、どういうモンスターにするか考えていったんです。1曲を通して完結するストーリー性に注目していただきたいですね。歌詞を書くうえで一番大事にしてるのが、音がなくても歌詞を読むだけで楽しめるようにしたいということなんで。

──これからたくさんリリースもライブもして活躍していくと思いますが、将来の目標はありますか?

八上 大前提として初心を忘れたくないですね。これから環境が変わっていくと思うんですけど、例えば地元で「オバトンの八上、売れて変わったな」とか言われるような人間にはなりたくない。でも、やるからには日本一のアーティストになりたいと思ってます。自分たちで決めた目標としては、国内最大キャパの日産スタジアムでワンマンライブをすることですね。

──売れるということに関しては意識的に取り組んでいくんですね。

GUCCHI 「売れんでもわかる人がわかってくれたらええねん」派ではないですね。売れたいし、できるだけ多くの人に聴いてもらいたいです。

八上 そのためにとにかくいいライブをしたいですし、4人で始めたときから「全員が納得しない曲はリリースしない」という気持ちでやってきました。1人やったらわからなくなってくるじゃないですか、ホンマにいいかどうか。でも4人分の耳があるんで、全員がいいと言えばほとんどの人がいいと言ってくれるでしょうということで、自然といい曲ができてると思います。

アマノ 日本の人口は1億人以上なので、その中の7万人(日産スタジアムの収容人数)を集めるって可能な数字やと思うんですよ。だからこの記事を読んだ人にはまず、僕らの曲を聴いていただきたいです。必ず「あ、この人たちいいな」と思ってくれる方がいると思うので。

八上 ライブにも絶対に来ていただきたいですね。やっぱりライブアーティストなんで。音源よりライブのほうがいいって言わせる自信があります!

OverTone

OverTone

ライブ情報

OverTone major debut memorial live ~ 0 ~

  • 2022年4月23日(土)大阪府 Takara Osaka

プロフィール

OverTone(オーバートーン)

八上和希、GUCCHI、NOWAR The 匠、アマノが2017年9月に地元・大阪で結成したボーカルグループ。結成からわずか3カ月後に大阪・心斎橋CLUB DROPでのワンマンライブを成功させ、注目を浴びる。2018年6月に初の全国流通盤「OverTunes」をリリース。2019年3月に2ndミニアルバム「愛 and 優」を発表したのち、全国7カ所を回る初のワンマンツアーを完遂した。2022年3月に日本クラウン内のレーベル・TEPPAN MUSICからメジャーデビューシングル「ゼロ」を配信リリース。4月にメジャー2ndシングル「モンスター」を配信した。