OverTone「ゼロ」インタビュー|メジャーデビューした4人が見る未来とは

大阪出身の4人組ボーカルグループOverToneが、3月にベリーグッドマンが主宰する日本クラウン内のレーベル「TEPPAN MUSIC」から配信リリースしたシングル「ゼロ」でメジャーデビューした。

「ゼロ」を皮切りに、3カ月連続で配信シングルをリリースするOverTone。音楽ナタリーでは、2017年に結成されて以来、リリースとライブを重ねて着々とファンを増やしてきた彼らにインタビューし、コロナ禍から生まれた「ゼロ」に込めた思いと4月リリースの「モンスター」のことはもちろん、これまでの活動や将来の目標についても話してもらった。

取材・文 / 高岡洋詞撮影 / 曽我美芽

歌ってしゃべれるボーカルグループ

──音楽ナタリーの特集には初登場ということで、まず自己紹介をお願いします。リーダーの八上さんからどうぞ。

八上和希 八上和希と申します。大阪、枚方市出身です。

NOWAR The 匠 NOWAR The 匠です。1993年12月20日生まれの28歳です。八尾市から来ました。

アマノ アマノです。八上と同じ枚方出身で、4月13日生まれなのでもうすぐ27歳になります(取材は3月中旬に実施)。よろしくお願いします。

GUCCHI GUCCHIです。よろしくお願いします。僕は大阪市出身で、誕生日はアマノよりちょっとだけ早いんで、あと2週間ぐらいで27になってしまいます。

OverTone

OverTone

──3人が同い年で、匠さんが2つ上なんですね。昨日、ライブ(3月12日に東京・渋谷CLUB QUATTROで行われた「ARIGATO MUSIC Fes 2022」)の配信を拝見したんですが、今年初めてのライブだったとか。

八上 そうなんですよ。1月の頭にライブが決まってたんですけど、メンバーが新型コロナに感染してしまいまして。

GUCCHI すんません!

八上 いやいや、謝ることじゃないから。

──皆さん、お客さんをノせるのがすごくうまいなと思いました。あと4人組のコーラスはわりとパートが決まっているイメージがあるんですけど、OverToneは全員がリードをとるし、組んず解れつでハモるんですね。

八上 基本的なパートは決まってるんですけど、全員がけっこうどのパートでもできるグループなんで。

GUCCHI そこまで大きい差はないかもしれないですね。ある程度声が高い組と低い組ぐらいの感じで。

八上 GUCCHIは低い声が響くんです。僕はメインぐらいの高さの声は出しやすいけど低いところは苦手で、匠くんはメインもいけるけど低めの声がすごくきれいなので、下ハモとか、そこまで高くないサビのメロディが多いです。アマノはシンプルに高い声がきれいなので高音担当というように、それぞれの得意なパートを割り振っていって、気付けばこのスタイルになってた感じです。

──結成前はそれぞれ別々に活動していたそうですね。

八上 GUCCHIと僕は18、19歳のときにそれぞれ別の人と2人組でやってたんです。彼(GUCCHI)のグループ名はHEARTで、最初に出した曲が「チキンハート」っていうんですけど。

GUCCHI 今、若干小バカにしたよな。

八上 サビの頭の歌詞が「ぶち壊せ!」だったんですよ。

GUCCHI うん、だいぶ小バカにしたな。あれがあるから今があるんです。

GUCCHI

GUCCHI

八上 当時、彼はなんばHatchでライブをしたいから「ハッチ」っていうステージネームで活動してました。

GUCCHI (笑)。「ハッチ」と名乗っていたのは2カ月くらいで。HEARTは約1年活動をしたのですが、解散しました。その後、八上と一緒にライブするのが決まってたんですけど、ステージネームがなくなってたんで、「本名が西口やからGUCCHIでいいやん」って言われてGUCCHIになりました。

八上 僕は別の、今はもう音楽やってない人と2人でやっていて。匠くんは最初ソロでやってたんですけど、途中から、ベリーグッドマンのバックDJをしてたRENという子と2人でMONKEY BANANAっていう……。

 ふざけた名前で活動してました、はい。

八上 アマノは中学の同級生で、前からちょくちょく「音楽やりたいわー」みたいに相談はされてたんですよ。(八上、GUCCHI、匠の)3人でやると決まったときに、ちょうどアマノが就活の時期やったのに音楽やりたいって言うてたから「これは運命なんかな」みたいな。3人にアマノの高音が加わったら行けるんちゃうん?と思って「アマノ入れてもいい?」って聞いたんです。「今日、友達誘っていい?」ぐらいのテンションで(笑)。

──匠さんとGUCCHIさんはそれを聞いてどうでしたか?

アマノ 実は僕が19歳ぐらいのときに、八上とGUCCHIが主催したイベントにお試しみたいな感じで呼ばれたことがあるんですよ。

GUCCHI そのときに歌声を聴いて、上手なのも知ってたんですけど、入れることに関してはたぶん最初は匠くんも僕もちょっと反対派でした。でも「3人であろうが4人であろうが未知数なんは同じやし、直感でいってみよう」と。結果よかったですね。

八上 まだわからんよ、そこは(笑)。

GUCCHI ここまで来れただけでもよかったですよ。

──アマノさんは加入することになってどうでしたか?

アマノ いきなり曲を作ることになったんですよ。やったことないからめっちゃ戸惑いましたけど、「自分が歌うところはここやから作ってきて。10種類ぐらい作ったほうがええんちゃう?」と言われて、5種類ぐらい作ったところで「これどう?」って聴かせてアドバイスをもらって。その作業を通して曲作りって楽しいなと思いました。3人に引き上げてもらったイメージですね。

アマノ

アマノ

──話が前後しますが、皆さんが歌手を志したきっかけはなんですか?

八上 小学校のときにサッカーをやってたんですけど、大会に優勝すると打ち上げとして、監督とかチームメイトの親御さんとか、みんなでカラオケに行くんです。そのときにお母様方がめちゃくちゃチヤホヤしてくださって「うっわ、最高だぜ!」となって(笑)。「じゃあ歌手なろ」と思ったのが始まりです。そこからいろんなアーティストさんのライブを観に行って、次第にマジでなりたいと思うようになりました。

GUCCHI 僕は中2のときに野球部の友達と4人でカラオケに行って、その中で一番うまかったから気持ちよくなりました。4分の1で(笑)。

 僕もGUCCHIと似た感じですね。高校のとき初めてカラオケに行って、それまでは恥ずかしくて人前で歌ったこともなかったんですけど、いざ歌ってみたらみんなが「え、うまいな」と言ってくれて。そこで「あ、自分ってうまいんや」と思って歌に興味を持ち出して、カラオケでうまく歌えるように練習したりしてました。大学生のとき、学園祭で清水翔太さんの歌を生で聴いて「これを職業にできたらなんて楽しいんだろう」と思い、今に至る感じです。

NOWAR The 匠

NOWAR The 匠

アマノ 僕は八上と中学が同じで、授業中も休み時間もずっと一緒に歌ってたんです。1回オーディションを2人で受けに行ったこともあります。

八上 あー、行ったな。「EXILE VOCAL BATTLE AUDITION」。

アマノ で、2人とも見事に落ちまして、その後は別々の高校に進学したんですよ。それで歌う機会がなくなったんですけど、大学に行って周りが就活し出したタイミングで、消防士になる勉強をしているときに、友達から「就職決まったわ。ホンマはここに入りたかったわけじゃないけど」という話を聞いて、自分はそれはイヤやって思ったんですよ。「人生1回しかないし、それやったら音楽やろう」と八上に相談したんです。

結成3カ月後にワンマンライブ

──話を戻しますが、初めて4人で一緒に歌ってみてどうでした?

GUCCHI 初めてスタジオ入ったん覚えてる?

八上 覚えてるで。地下の汚いとこやろ。

アマノ 天井のめちゃ低いとこ。

GUCCHI ボロクソやな(笑)。入って、一発目にベリーグッドマンの「ライオン」を合わせてさ。

アマノ 路上ライブの練習やったよな。

GUCCHI けっこうめちゃくちゃでした。「思ったよりめちゃくちゃやな」というとこから始まったんですけど、そのときからそれぞれがどこをハモるかというのは決まってたかな。

──アマノさんはともかく、3人はすでにハモりの経験はあったんですよね?

八上 あったんですけど、匠くんとGUCCHIがハモりがめっちゃ苦手やったんで、1個ずつ音を確認しながらやっていきました。徐々にうまくなって、今では一発でバチーン当ててきますから。

──成長したんですね。OverTone結成を発表したのが2017年の……。

八上 9月6日ですね。その時点で「ワンマンライブをいつにする」とか1年後まで決めたんです。

──目標を立てたんですね。

八上 12月24日に心斎橋CLUB DROPというライブハウスを押さえてワンマンをするって決めて、結成してすぐ発表したんですよ。

──3カ月後? それはすごい!

八上 それまでは仲間のイベントに呼んでもらったり、週に1、2回のペースでひたすら路上ライブをしてました。ワンマンライブをなんとか終えたら、そこからまた練習を積み重ねていって。ミュージックビデオもいっぱい出してたんですけど、それをVillage Again Associationというレコード会社の社長がたまたま観てくださって、「うちでリリースしませんか?」と直接メールをくださったんです。

八上和希

八上和希

──道が開け始めましたね。

八上 たまに知らない人から変なメッセージが来ることもあるから怖いなと思って、ベリーグッドマンのHiDEXに「こんなメール来たんですけど、どんな会社か知ってます?」って聞いたら、「うあー、これお前、俺らがインディーズ時代に出してたとこやんけえ」と言われまして。

──物真似(笑)。

アマノ しかも似てない(笑)。

八上 それやったら信頼できるかなと思ったんですけど、「企業相手やし、事務所に入ったほうがええんちゃうか」ということで、HiDEXにARIGATO MUSICを紹介してもらったんですよ。