ナタリー PowerPush - オレスカバンド

「WARPED TOUR 2008」で全米46都市を席巻!ツアー密着DVD&待望の新作ミニアルバムが到着

今夏は、アメリカ最大規模のパンクロックフェスツアー「WARPED TOUR 2008」全公演に日本人として初めて参加。総移動距離約27,000km、全米46都市を2カ月で回るハードスケジュールを見事に乗り切り、若さと持ち前のエネルギッシュなパフォーマンスで全米を熱狂させたオレスカバンド。ツアーを経てバンドとして大きく飛躍した彼女たちが「WARPED TOUR 2008」に密着したライブ&ドキュメントDVD「46 ORESKABAND ~WARPED TOUR 2008~」と新作ミニアルバム「What a Wonderful World! vol.1」を10月22日に同時リリースする。

昨年も「WARPED TOUR」の一部公演に出演するなど海外でのライブを行っていた彼女たちだが、全米を回る大規模なツアーは初めてのこと。男性バンドが多く参加する「WARPED TOUR」において日本人女性バンドという立場でありながら、海外のパンクファンをどのようにとりこにしていったのか。また、約1年半ぶりの新作「What a Wonderful World! vol.1」に込められた思いについてリーダー(Tb)、いかす(Vo,G)、サキ(Tp)の3人に語ってもらった。

取材・文/中野明子

ライブ三昧でモチベーションが下がる暇がなかった

——まず「WARPED TOUR 2008」についてお聞きしたいんですが、「WARPED TOUR」は去年7公演参加されていましたが、今年は計46公演で約7倍の数ですよね。前回と比べていろいろ違う部分もあったのでは?

リーダー:去年は初めてのツアーだったし、お客さんにナメられたらアカン!って意気込んでたところがあったかな。前回は勢いでやれてしまったんだけど、今回は46都市回るんで、勢いだけじゃなく自分たちの音楽やパフォーマンスと向き合いながら回っていた気がします。

——かなりのハードスケジュールでしたが、モチベーションが下がってしまうことはなかったんですか?

サキ:ずっとライブ続きで12連チャンのときとかもあったし、落ち込んでも次の日にはまたライブしなきゃいけなくて。モチベーションが下がる暇が全然ないんですよ(笑)。

リーダー:とにかくお客さんにオレスカバンドの最高のライブを見せたい、初めて見る人たちにつねに新鮮なライブを届けたいっていう意思が自分たちのモチベーションを保っていたのかなって思いますね。

——途中で体調を崩したことは?

リーダー:体調不良でもライブやってたし、あんまり関係なかったです。ご飯食べて、ライブやってれば意外と大丈夫なんですよ。

サキ:たとえ風邪をひいても治さないとヤバイし。1回バスに蜂が紛れ込んできたことがあって、殺虫剤を撒いたんですけど、バルサンみたいな置き型のタイプだったのをスプレーのように使って喉をやられた事件はありました(苦笑)。

自分自身がライブを楽しむことが何よりも大切

——ツアーに参加するバンドで、海外から参加していて、さらにメンバーが全員が女性って珍しいですよね。

リーダー:確かに珍しがられたんですけど、逆にそれがプラスになりましたね。他のバンドとは違う存在だからこそお客さんに興味を持ってもらえたり。

いかす:ただ言葉が通じないことがハンデになって、英語が拙いだけで差別してくる人もいました。でも、そういう目で見てくる人たちに、自分たちの音楽をどうやって伝えたらいいんだろうって考えるいいきっかけになりました。

——「WARPED TOUR」では自分たちのライブの前にフライヤーを配ったりして宣伝をしていましたが、ステージ前の宣伝活動は去年もやっていたんですか?

いかす:はい、やってました。「WARPED TOUR」って有名なバンドから全然知名度のないアーティストまでいろいろ出演してて、そこでどれだけのお客さんに観てもらえるかっていうのは自分たちの努力次第なんです。だから積極的に宣伝しに行きましたね。宣伝活動ってデビュー前にはしていたんだけど、最近はやってなかったんでその頃のことを思い出しつつ。

リーダー:メジャーに行ってから聴いてくれる人が増えて、行ったことのない土地でも自分たちのことを知っている人がいる環境が当たり前になってたんですよね。でも、CDが何枚売れてたって言われても、自分たちの音楽がリスナーに届いているっていうのがあんまりリアルに感じられなかったんです。当たり前だけどアメリカだと自分たちのことを知らない人のほうが多くて。ライブをして自分たちの音楽を届けて。さらに現場でCDを売ることを通して、オレスカの音楽がリスナーに届いていることを身体で実感しました。

——ちょっと話は変わるんですが、DVDの中でサキさんがステージや宣伝のために人前に出て行くのが怖いって泣きながら言ってるシーンがありましたね。

サキ:1回演奏中に物が飛んできたんです。それでショックを受けて一瞬トランペットが吹けなくなっちゃったことがあって。あとライブ前に宣伝しに行ったときに、「アイツ何て言ったの?」とか「SHIT」とか意地悪いことを言われることもあったんです。もちろんそういう人ばっかりじゃないんですけど、差別的な目で見られるのがホンマに怖くて。自分の中でその恐怖を消化できないまま、舞台に立たなきゃいけないときがあったんです。

いかす:うちらも口には出さないだけで怖いと思ってましたね。うちは演奏中に物が飛んできたことがあって、目の前に楽しんでいる人がいるのにちょっと物が飛んできただけで気持ちがブレてしまって。それくらいのことで気持ちがブレた自分に対して腹が立ったことがありました。

——日本にいると言葉が通じないとか、物が飛んでくるとかあんまりないですもんね。そのネガティブな状態をどうやって乗り越えていったんですか?

サキ:そういう人を「見返したい」っていう気持ちでライブに臨むんじゃなくて、とにかく自分自身がライブを楽しむことが大切なんじゃないかってあるとき気付いて。お客さんの数が多くても少なくても、野次を飛ばしてくる人がいても、楽しもうっていう気持ちひとつがあればいいライブになるんだって思うようになったんですよね。

いかす:私も楽しんでいる人たちをもっと楽しませることができれば、自分はブレずにいられるんだっていう答えにたどり着きましたね。今になって考えると、物が飛んできたのだってお客さんのテンションが上がってて投げちゃったのかもしれないし(笑)。

ミニアルバム『What a Wonderful World! vol.1』 / 2008年10月22日発売 / 1890円(税込) / TERRY DOLLAR RECORD$ / AICL2019

CD収録曲
  1. 24カラット
  2. Going Away
  3. 君ストライプ
  4. Oh! My Honey
  5. MUSIC DRiVER
  6. Super☆Duper

ライブ&ドキュメンタリーDVD『46 ORESKABAND -WARPED TOUR 2008-』 / 2008年10月22日発売 / 3990円(税込) / TERRY DOLLAR RECORD$ / AIBL9169

ミニアルバム『What a Wonderful World! vol.2』 / 2009年2月発売予定 / TERRY DOLLAR RECORD$ / 価格・品番未定

プロフィール

オレスカバンド

2003年に、大阪・堺市内の中学校に通う同級生6人により結成されたスカロックバンド。2004年の高校受験終了後から、本格的なライブ活動を開始する。2005年から自主制作盤を発表するようになり、知名度が急上昇。2006年にミニアルバム「俺」でメジャーデビューを果たす。2007年春には「SXSW -JAPAN NITE-」への出演を含む初の海外ライブを敢行。また、初の全国ツアーも開催され大成功を収める。今夏は、日本人アーティストとして初めて、WARPED TOUR 2008の全46都市公演にフル出演するなど、エネルギッシュかつポップなサウンドとキレのあるライブパフォーマンスで、平成世代のガールズバンドの急先鋒として人気を集めている。