私は王道でミーハー

──今回なぜ洋楽のカバーアルバムをリリースしようと思ったんですか？

ノリですね。カバーが評判良かったから。

──昨年の国際フォーラムのライブでカバー曲をいくつか披露していましたよね。そこで手応えを感じたんでしょうか？

手応えとかそういうのは私、人生でも音楽でも感じたことない。

──カバーの選曲の基準は？

有名な曲。よく流れてる曲、映画で使われてる曲。そういうのから選びました。

──映画はよく観るんですか？

観ます。自分の曲も映画にインスパイアされて書くことが多いです。映画を無音にして観てるんですけど、そしたら（自分の中から）曲が出てくる。

──今回、カバー曲を有名な曲から選んだ理由を教えてください。

私の人生が王道だから。私ミーハーなんです。だから偏らない。うちのお母さんもすごいミーハーで、流行ってる曲はほとんど知ってて、それを私に全部教えてくれたんです。だから私はダブとかゴアとか、そういう何かのジャンルに偏らないで王道をやれるんです。

──スペシャルトラックとして収録されている「Bitter Flavor Road」は、今回唯一のオリジナル曲ですが、英語詞ですし、他の名曲群に近いテイストもありますよね。

海外でアルバムが出したくて、そのために作ったんです。でもスタッフに「このアルバムに入れたらいいんじゃない？」って言われて今回入れました。

──じゃあ海外のリスナーを意識して作った？

意識しまくってます。歌詞も歌い方も。

──アルバムの仕上がりに自信はありますか？

自信っていうか、私なりに満足してます。自信持ってたらシンガーソングライターになんてならないでしょ。コンプレックスの塊だからなるんです。自信がある歌手なんてバカですよ。

2カ月で60曲作った

──初めてのカバーアルバムを作ってみた感想は？

もう1枚くらい作れば良かったって思ってます。2枚セットでも良かった。

──もう1枚作るとしたらどんな曲をカバーしたいですか？

昭和歌謡。宇多田ヒカルのお母さん（藤圭子）の曲とかいいなって思いますね。

──今回カバーした曲はどれも完全に鬼束さんの歌になっていますよね。 シンガーとしての個性を強く感じます。

それは声質のせいです。私の声質ってすごく変わってる。ほかの人とはだいぶ違う。異様だと思います。自分ではそう意識してます。

──次のオリジナルアルバムの構想は？

このあと3枚目までタイトル決まってます。200曲くらいある。1日1曲作ろうってトライして、2カ月やって60曲作った。

──あまり悩まずどんどん作っていける感じですか？

普通の人はいろいろ考えるんだと思う。考えないバカだからできるんだと思う、私。

頭の回転が速い人が好き

──ところで今、音楽以外で興味を持っていることはありますか？

バービーが欲しいですね。家に40体くらいあるんです。この前バービー展に行って50年代のバービーを見てきたんですけど、すさまじく美しかった。50年代のバービーの顔はちょっと変わっててきれいでした。私は80年代のバービーが好き。特にボロボロになってるバービーが好きです。

──面白いですね。

あとはパチンコ。日課です。なんかα波出るらしいですよ。私もパチンコやりながらボーッとしてるんですけど、そのときに曲とか考えてるんだと思います。だから皆さん、私の歌はパチンコから生まれたって思っていただければ（笑）。

──あの名曲の数々がパチンコから生まれた？

「蛍」も「陽炎」もパチンコからですね（笑）。

──先日はロバートの秋山さんとの対談企画もありましたが、秋山さん以外で鬼束さんが気になる人はいますか？

劇団ひとり。あの人も面白い人だなって思います。あとサバンナの高橋さん。頭の回転が速い人が好きです。

──なるほど。

あとは板尾創路さんとか板尾の嫁とか（笑）。板尾の嫁に今一番興味があります。

──最後に、ファンにメッセージをお願いします。

とりあえず3000円出してアルバム買ってほしいです。

──買って聴いてもらえればわかる？

わかる人はわかるし、わからない人はわからない。私は媚びたりできないし、ついてくる人はついてくればいい。世の中ってそういうものだと思います。

※注：板尾の嫁＝日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」に時折登場する「板尾の嫁」と称する外国人女性のこと。