ナタリー PowerPush - 鬼束ちひろ
ロバート秋山と衝撃対談
♪ I wear a sweatparka!
秋山 ところでこのアルバムの歌詞は全部英語ですけど、英語はどうやって勉強したんですか?
鬼束 義務教育。
秋山 それだけでこんなに?
鬼束 あと私、日本語の詞と英語の詞を並べて読みながら聴くんです。
秋山 なるほど。照らし合わせながら。じゃあ英語はそれで覚えたんだ。
鬼束 だからだいたいわかりますよ。逆に簡単な単語がわからなかったりする。
秋山 え、じゃあ今度新しい挑戦ってことで、簡単な単語だけで曲作ってくださいよ。
鬼束 ♪ This is a pen!
秋山 そうそう、そういうの。
鬼束 ♪ I wear a sweatparka!
秋山 あはは(笑)。いいね。
鬼束 ♪ Sweatparka NUGU!
秋山 脱ぐ? そこ日本語なんだ!?(笑)
泣いてるときに森乃進に出会った
秋山 しかし今までいろんな取材を受けてきましたけど、ここまで言ってくれる人おらんかったですよ。一番ズバッとくることを、まさか鬼束さんが言ってくれるなんて。
鬼束 秋山さんに鍛えられたから。
秋山 しかもこんなテンションでニコニコしゃべってる人だと思わなかったし。正直イメージ全然違いますよね。デビューの頃のイメージが強くて。
鬼束 最初は清楚なイメージで売り出されてたんですよ。例えばヘンな話、胸が大きいからそれを隠すようにAラインのワンピース着せられたり。それとかパステル調の服を着せられたりしてたんですけど。
秋山 そういえばそうだったかも。
鬼束 暗い感じだったでしょ。昔は泣いてばっかりでしたよ。「月光」が売れるたんびに泣いてたもん。親戚が増えまくってたいへんなことになって(笑)。そのときに森乃進に出会ったんですよ。だから秋山さんが人生の師匠。
秋山 じゃあ当時は「本当は私こういうんじゃないのに」って思ってた?
鬼束 うん、そういうのを今のスタッフと出会ってやめたんです。自由にやっていいって言ってくれたんで、そこからは私ドラァグクイーンみたいな、化粧も服も濃いのが好きだから、もうグリッター!グリッター!って感じです。私のクローゼット、スパンコールの服ばっかり。ダイソン(掃除機)でスパンコールばっか吸ってますよ。
秋山 あはは(笑)、今はだいぶ吹っ切れてますよね。
鬼束 うん、秋山さんも吹っ切れてる?
秋山 そうですね。芸人もそうなんですよ。最初はカッコよく思われたくて、シャープなボケを一生懸命考えたりして。でも結局は顔で笑わせてもいいし、体型で笑わせてもいい。持ってる武器は全部使おうって今は思ってますね。
鬼束 あたしもそうです。パンツが脱げる。
秋山 えっ? 脱いじゃダメでしょ!
鬼束 いや、比喩です。パンツが脱げない歌手っているじゃないですか。保守的な人。でもパンツが脱げるかどうかっていうボーダーがあるとしたら、あたしはそこを悠々と超えられる。秋山さんもそうですよね。
秋山 まあそうですね。逮捕されるから普段は脱がないだけで(笑)。
CD収録曲
- Scarborough Fair
(SIMON & GARFUNKEL) - Brass In Pocket
(THE PRETENDERS) - Mother Nature's Son
(THE BEATLES) - Time After Time
(TUCK & PATTI) - Desperado
(EAGLES) - Sweet Home Alabama
(LYNYRD SKYNYRD) - Take Me Home, Country Roads
(ジョン・デンバー) - You've Got A Friend
(キャロル・キング) - I Need To Be In Love
(CARPENTERS) - The Rose
(ベット・ミドラー) - Bitter Flavor Road
(鬼束ちひろ)
<スペシャルトラック>
鬼束ちひろ(おにつかちひろ)
1980年生まれ、宮崎県出身のシンガーソングライター。2000年2月にデビューし、2ndシングル「月光」がテレビドラマ「TRICK」の主題歌に起用されて大ヒットを記録。翌2001年リリースの1stアルバム「インソムニア」がミリオンセラーとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。2011年4月に自伝的エッセイ「月の破片」、6thアルバム「剣と楓」を発表。2012年5月にニューヨーク、ロサンゼルス、東京の3都市で制作された洋楽カバーを中心としたニューアルバム「FAMOUS MICROPHONE」をリリースした。現在はニコニコ生放送に出演するなど、奔放なキャラクターでも注目を集めている。
秋山竜次(あきやまりゅうじ)
1978年福岡県生まれ。3人組お笑いトリオ「ロバート」のメンバー。コントのネタ作りを担当し、その非凡な発想とユニークなキャラクターでお笑いファンから高い評価を得る。「キングオブコント2011」では圧倒的なコントを披露し、堂々の優勝を果たした。
2012年6月13日更新