ナタリー PowerPush - ONE OK ROCK

快進撃ネクストステージへ シングル「アンサイズニア」全曲解説

曲と曲の世界をつなぐ「Silent World」

──2曲目の「Silent World」は約1分のインタールードですが、これは3曲目への導入という解釈でいいんですかね?

Taka はい、そうです。

──このトラックで表現したかったこととは?

Toru これは「アンサイズニア」と「アンサイズクリア」の間をつなげる、何か別世界の雰囲気が出せたらいいかなぁと思って。元々はギターメインのインストゥルメンタルだったんですけど、最終的にメロディが乗っかって世界観がプラスされて、よりわかりやすくなりました。わりとサラッと聴ける、けど印象に残るっていうものになったんじゃないかな。

──Takaさんがボコーダーを通して歌っている英語の歌詞はどんなことを言ってるんですか?

Taka なんて言ってるんだっけな……全然覚えてないですね(笑)。最初Toruが作ったインストには、僕はノータッチだったんですよ。で、僕が聴いたときに何か声入れたほうがいいんじゃないかなってとっさに思って、サーッと走り書きで作っちゃったんで書き残してもないんです。

──じゃあライブで再現できないじゃないですか(笑)。

Taka できないですね! もう1回聴いて覚えます(笑)。

アンプラグドバージョン「アンサイズクリア」

──そして1曲目「アンサイズニア」のアンプラグドバージョンである「アンサイズクリア」。こういうバージョン違いの曲を同じCDに収めるのは初めてですか?

Toru そうです。

──どういった経緯でこの曲を制作することになったんでしょう。

Taka 僕はシングルって、作品としてやっぱりタイトル曲が一番主役であるべきだと思うんですよ。実は最初、別の曲をカップリングにする予定だったんですけど「アンサイズニア」とあまりにもカラーが違うんで、同じパッケージにしていいのか迷ってたんです。「アンサイズニア」が表題曲なのであれば、それをもっと前面に出して、もっと主役にする作り方をしなきゃいけないと思って。それで、入れるはずだった曲を外して別の曲をレコーディングしようって急遽みんなに提案しました。

──なるほど。

Taka あとONE OK ROCKの次のステップとして、こういう少し静かなアコースティック調の曲もやって、もっとスキルを高めていきたいっていうモードだったんです。1つの曲を違う表現の仕方でやる、表と裏みたいな形って初めてだし、シングルなんだけどアルバムっぽい自由さが出るかなと。

──確かに「アンサイズクリア」があることで、このシングルがすごくコンセプチュアルになりますよね。しかし同じ歌詞なのに、曲調が変わるとこんなにも届き方が違うんですね。

Taka まったく表情が違う曲ですからね。俺の歌い方も全然違うしコードもコーラスも変えたので、これは別の楽曲になると思ってタイトルも変え「アンサイズクリア」にしました。バラード系をよく聴く人はこっちを聴いて、いつも僕らがやってるような激しい音楽が好きな人は「アンサイズニア」を聴いて、好きなほうを楽しんでくれたらいいと思います。

──激しい曲とゆったりした曲って、プレイヤーとしてはどちらがやりやすいですか?

Toru 僕らの場合は激しい曲のほうがやりやすいですね。遅いテンポのものはあんまりやってないんで、演奏面ではいつもより大変かな。ドラムのノリも違うし、全体的に難しい。でもそれは、そのうちやらないといけない課題でもあったんですよ。これから先を見据えた上で幅広い音を聴かせるっていうことも必要だと感じてて。今回はその第一歩というか、良い機会だったと思います。

初のカバー曲、スティーヴィー・ワンダー「To Feel The Fire」

──そして、さらなる新境地をみせたスティーヴィー・ワンダー「To Feel The Fire」のカバー。まずスティーヴィー・ワンダーにはどんな思い入れがあるんでしょうか。

Taka それが特にないんですよ!

──えっ!? じゃあどうしてこの曲を選んだんですか?

Taka 他にも洋楽で大好きな曲はありますけど、それはロックバンドのバラードなんですよ。で、バンドの曲をバンドの俺らがやっても一緒だから、そうでないアーティストの曲をやりたかったんです。あとバラードをカバーするとき、エモーショナルでラウドな感じにアレンジすることってよくあるじゃないですか。でも今回は「アンサイズニア」を主役にするっていうテーマが最初からあったので、激しくしちゃダメだろうと。

──はい。

Taka となると、原曲がピアノメインの歌モノ系で、バンドでやれる、かつしっとりしたアレンジにできる。そんなふうに必要な要素をピックアップしてくと、結果スティーヴィー・ワンダーのこの曲しかなかったんです。

──なるほど。実際カバーしてみていかがでしたか?

Toru 俺らが普段使わないコードもいっぱい出てきて、勉強させられることは多々ありましたね。コードの響きが重要な曲だったので、実際アレンジしたことで原曲のすごさ、スティーヴィー・ワンダーの偉大さを感じられたっていうか。人の曲を弾くってことに関しては、普段あんまりやらないのですごく新鮮で気持ちよかったです。

Taka この曲を、目の見えないスティーヴィーが作って平然と歌うってやっぱすごいなぁと思いましたね。カバーって元を知ってるんで、それにどこまで沿って歌えばいいのか迷いました。短期間の中でこの曲をマスターするのは結構難しかったです。

ONE OK ROCK【LIVE TWEET】

ライブDVD「THIS IS MY BUDOKAN?! 2010.11.28」から新曲「アンサイズニア(武道館ライブVer.)」のライブ映像公開中!

ニューシングル「アンサイズニア」 / 2011年2月16日発売 / 1260円(税込) / A-Sketch / AZCS-2012

  • Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. アンサイズニア
  2. Silent World
  3. アンサイズクリア
  4. To Feel The Fire

ライブDVD「THIS IS MY BUDOKAN?! 2010.11.28」 / 2011年2月16日発売 / 3990円(税込) / A-Sketch / AZBS-1004

  • Amazon.co.jpへ
DVD収録曲
  1. Never Let This Go
  2. 夜にしか咲かない満月
  3. 皆無
  4. Shake it down
  5. 未完成交響曲
  6. カゲロウ
  7. カラス
  8. Living Dolls
  9. アダルトスーツ
  10. 完全感覚Dreamer
  11. Wherever you are
  12. Yes I am
  13. じぶんROCK
  14. Liar
  15. アンサイズニア
  16. 恋ノアイボウ心ノクピド
  17. Viva Violent Fellow~美しきモッシュピット~
  18. 独り言ロンリーナ
  19. 内秘心書
  • ED. Nobody's Home
ONE OK ROCK(わんおくろっく)

Taka(Vo)、Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)の4人からなるロックバンド。2005年に結成し、ライブを軸に活動を開始する。エモ、ロック、メタルの要素を取り入れた骨太なサウンド、激しく熱いライブパフォーマンスで若い世代を中心に支持を集めている。2007年4月に1stシングル「内秘心書」、同年11月に1stアルバム「ゼイタクビョウ」をリリース。その後も次々と作品を発表し、リスナーを獲得していく。2010年11月には全国ツアーの一環で初の日本武道館公演を実施。1万1000人を動員し大成功を収めた。