クッソ孤独だね

──ショウくん以外のメンバーが書いた曲はスパイス的に機能していますよね。

コウキ　そうですね。ショウの作る曲がかなりハッピーな感じで、そこに僕も寄り添って書けたのが、レイジと共作した「あからさまに恋してる」で。プラス、ただハッピーなだけのアルバムにならないように意識して書いたのが、ちょっと尖った感じの「Are You Happy?」であり、変化球的な「夢DUB」とかで。

──レイジくんは「誰」という曲で孤独感をシュールに描いていて。

レイジ　俺の書く曲って4人の中で特別暗いんですよね。根暗なんでしょうね（笑）。ひとりで曲を書くとそういうところが強く出ますね。「誰」という曲も携帯とかでいろんな人とつながっているっぽいけど、結局ひとりだよなって思って。

ショウ　クッソ孤独だね、それは（笑）。

レイジ　ヤバいよ。携帯とか充電とかなくなったら、完全に孤独。でも、「愛は足りてんのかい？」って問う、俺なりのラブソングです。

──ハマくんは「Are You Happy?」の歌詞をショウくんと共作しているけど、曲は書かなかったの？

ハマ　僕はね、全然できないんですよ。作ろうと思っていろいろやってみるんだけど、全然集中できなくて。じゃあ無理に曲を作ろうとして、演奏にスランプが生じるのが一番ヤだから、ベーシストに徹しようと思って。自分の演奏で全部リカバーしてやろうと思いましたね。だから基本的にレコーディングを迎えるまでにもらったデモに全曲ベースを入れたり、できることは全部やって。そういう意味でもベーシストとしてすごくいいアプローチができていると思うし、プレイ的には隙間を楽しむことがだんだんできるようになっていて。「Are You Happy?」の歌詞は流れの中で僕も書くことになったんですけど、ナチュラルな状態で言いたいことを書けて。そこは純粋にやれてよかったなって思います。

どの曲もOKAMOTO'Sの音になっている自信がある

──今作はいしわたりさんや小出くんといった作家陣も含めて、初めてゲストを招いたアルバムでもあって。スカパラのメンバーやザ・クロマニヨンズの甲本ヒロト（収録曲「共犯者」にコーラスとハープで参加）さんとも対等に交わりながら、バンドの真髄を新たに打ち出せた意味はホントに大きいと思う。

ハマ　すごく大きいですよね。今まではただの食わず嫌いなところもあって。これまでは4人だけで制作してきたんですけど、アレンジャーとか共作とか、誰かを招く画が全く浮かばなくて。でも、いしわたりさんや小出くんに参加してもらったことをきっかけにポジティブにいろんな人を招くことができて。さっきショウが言ったみたいに、ホントの自分たちって自分たちではわからない部分もたくさんあって。外から見ている人から指摘されて初めてわかることがあるなって痛感したので。

ショウ　でも、自分たちで言うのもなんですけど、これだけ豪華なゲストに参加していただいたけど、俺たちは食われていないと思えるんですよね。こういう音が欲しいからあの人を呼ぼうという話し合いのもとにオファーさせていただいたので。だから、デモの段階で鳴っている音を一流のミュージシャンの皆さんと一緒に鳴らしたという感覚なんですよね。

コウキ　うん。だからどの曲もOKAMOTO'Sの音になっている自信がある。

ハマ　普通これだけゲストが参加していたら、フィーチャリングアルバムみたいになってもおかしくないんだけど、全くそうなってないからね。それは不思議でもあるし、必然だなとも思えるというか。

レイジ　今まで誰も呼ばなかったから逆によかったんだろうね。このタイミングでよかった。

──ここからもっといけると思わせるところもこのアルバムのよさだと思う。さらに可能性の余白が大きくなったというか。

ハマ　僕もそう思います。バンドのスタンダードになるような最高のアルバムができたけど、「もうこれしか出せないです」という感覚はないし、まだまだ伸びしろがあるなって思う。あとは聴いてくれる人がどういう反応を示してくれるかですよね。このアルバムの反応が今までとさほど変わらなかったら、ちょっと考えますけど（笑）。

ショウ　まずはこれをたくさんの人に聴いてもらって、次につなげたいと思います。