大原櫻子|イメージを一新する情熱のアルバム

アレ、丸谷さんって1人じゃないのかな?

──本作には初顔合わせとなるさまざまなクリエイターの方が参加されているのも大きな特徴だと思います。中でも、AKB48やBOYS AND MEN、Little Glee Monsterなどに数多くの楽曲を提供されている丸谷マナブさんは6曲で手腕を発揮されていて。

大原櫻子

去年から制作に関するスタッフさんがけっこう大きく変わったんです。で、新しいディレクターの方に紹介していただいたのが丸谷さんだったんですよね。楽曲的には「I am I」で初タッグを組ませていただいたんですけど、制作を進めていく中で音楽家としても人間としてもすごく気が合ったと言いますか。なのでアルバムでもたくさんの曲を手がけていただきました。改めて眺めてみると、本当にバラエティに富んだ楽曲を生んでくださったなって思いますね。「アレ、丸谷さんって1人じゃないのかな?」みたいな(笑)。

──あははは(笑)。確かにそれくらい音楽的な引き出しの多い方ですよね。

ライブにも足を運んでくださって、私の出せる声の音域を理解したうえで曲を作ってくださったんですよ。だからどれもすごく歌いやすかったし、ガッと感情を込めることもできたというか。そのうえでチャレンジングな曲を書いてくださったりもしましたし。

──大原さんから楽曲の方向性などをリクエストすることもあったんですか?

制作期間の前に私が舞台をやっていたので、サウンドの方向性に関しては基本お任せな感じでした。ただ、「洋楽のようにパワフルな心の叫びを乗せられる曲が欲しいです」みたいなざっくりとしたリクエストはさせてもらいましたね。それでできたのが「電話出て」なんですけど。

──なるほど。その「電話出て」はもちろん、それ以外にも今回は洋楽テイストを感じさせる曲がけっこう多いですよね。

そうですね。それも去年のライブで洋楽カバーをやったことが影響しているとは思います。

大原櫻子

これがなきゃ絶対楽しくない!

──1曲目の「Amazing!」からして、そういった雰囲気ですし。

この曲はけっこう挑戦ではありましたね。途中、ラップっぽい感じで「Tell me who you are」と言うところがあるんですけど、最初に聴いたときはかなり衝撃的で。「あ、私の曲でこういうテイストを入れてくれるんだ!」って(笑)。今までの曲にはないテイストだったのでそのパートをなくそうかという話にもなったんですけど、私としては絶対入れたくて。「これがなきゃ絶対楽しくない!」とわがままを言わせてもらいました(笑)。存分にこの曲の世界に染まって歌うのが楽しかったです。先日、ファンクラブイベントでこの曲をやったらすごく盛り上がったんで、ライブでもっともっと広がっていったらいいなって思いますね。

──3曲目の「Special Lovers」もオントレンドな洋楽テイストを感じさせるナンバー。この曲のトピックとしては、岡嶋かな多さんとRyosuke "Dr.R" Sakaiさんとともに大原さんも制作に参加されていることで。いわゆるコライトの手法で作られたんですよね。

大原櫻子

はい。Sakaiさんにその場でトラックを作っていただき、それに合わせて私がどんどんメロディをフィーリングで乗せていく流れで作りました。その際、「ラララ」で歌うとニュアンスがわかりづらいからという理由で、全部をまず意味のわからない適当な宇宙語で歌ったんですよ(笑)。それがけっこう難しかったですね。結果、できあがったメロディは自分から自然と出てきたものだったからかキーがとても高くて。レコーディングで歌うときはかなり苦労しました(笑)。

──即興でメロディを作っていくことは難しくはなかったですか?

そこはもう頭で考えてもしょうがないというか(笑)。「え、どうしよう。わかんない」みたいな感じになっていたらダメなので、どんなものでもいいからとにかく口に出してみることが大事かなとは思います。私の場合、お芝居でも即興を経験していたので、その感覚でできたところはあったと思います。「あー、自分にもっと音楽的なボキャブラリーがあったらいいのに!」と思う瞬間も多かったですけど、すごくやりがいのある楽しい作業だったので、今後もコライトはやっていけたらいいなって思いますね。

──この曲の歌詞はどうやって書かれたものなんですか?

歌詞の基本的な部分は岡嶋かな多さんに書いていただいた感じですね。「Amazing!」の歌詞もそうなんですけど、岡嶋さんは英語を盛り込むのがすごく上手な方なんですよ。身体にスッとなじむ英語の使い方をされるので歌いやすいんです。キーの高さと歌詞の内容が相まって、切ない感情の高ぶりがとてもストレートに表現できたと思います。