大原櫻子が11月25日に配信限定シングル「透ケルトン」をリリースした。
9月リリースのシングル「やっぱもっと」から約2カ月という短いスパンで届けられた新曲は、作詞・作曲を緑黄色社会の長屋晴子が手がけた疾走系ピアノロックナンバー。長屋にとっては今回が初の楽曲提供であったが、同学年という共通項もある2人は一瞬で意気投合、最高のマッチングを見せるコラボレーションとなった。
音楽ナタリーでは大原と長屋の対談をセッティング。惹かれ合ったお互いの魅力についての話題から楽曲制作のエピソードまで、和気あいあいとしたトークが繰り広げられた。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 藤田二朗(photopicnic)
手土産のお返しに肉を焼く
──大原さんと長屋さんはこれまでに交流はあったんですか?
長屋晴子(Vo, G / 緑黄色社会) いえ、今回のお話をいただいて初めてお会いしました。
大原櫻子 そうなんです。私はこれまでもアーティストの方に曲を書いていただくことによって、シンガーとしてのいろいろな発見や新しいニュアンスを手に入れることができていて。それで、今回スタッフさんとの話し合いの中で緑黄色社会の長屋さんのお話が出たときに、「あ、お願いしてみたい!」って純粋に思えたんです。緑黄色社会さんの音楽はこれまでも聴いていたし、晴ちゃん(長屋)とは同学年ということもあって、ぜひご一緒してみたいなって。
長屋 実は楽曲を提供するのは今回が初めてだったんですけど、その相手がずっとテレビで観たり、CDを聴いたりしていた櫻子ちゃんだったというのがまず素直にうれしかったですね。櫻子ちゃんのこれまでの楽曲にはあまりバンドサウンドのイメージがなかったので、緑黄色社会というバンドをやっている私にお声がけいただけたのに驚いたところもありましたけど。
──今回のコラボが実現する前には、お互いの人物像に関してどんな印象を持っていましたか?
大原 晴ちゃんはボーカルとしてバンドを引っ張っている印象があったので、同学年なのにすごくしっかりしているんだろうなという印象でしたね。実際にお会いしてみたら、本当にそのままの印象で。今回の話が決まったあと、私が別の曲をレコーディングしている現場に顔を出してくれたんですけど、そのときになんと、手土産を持ってきてくださって! 私なんか何も用意してなかったのに……。
長屋 いやいや(笑)。そのときが初対面だったんですよね。
大原 そうそう。初対面で「なんてすごい人なんだろう!」と思いました。「私、同学年なのに全然気を遣えてない!」と(笑)。こういうお仕事をしていると、“一声、二振、三姿”という言葉があるんですけど、要はその人となりは声を聴けばわかるということで。晴ちゃんの声は芯を持った強さがあるし、しっかり自らの足で立っている印象があったので、実際にそのイメージ通りでした。
長屋 うれしいですね。なんかすごい照れちゃう(笑)。私の中の櫻子ちゃんは、「本当に歌が好きなんだろうな」というイメージです。しかも、ただ歌うことが好きなだけではなく、そこにちゃんと気持ちを乗せて届けられる人。私はそういう人が大好きなので、櫻子ちゃんのこともずっとファン目線で見ていました。あとすごくカラフルで、でも同時にすごく透明な人でもあるなという印象もありましたね。そこが今回の「透ケルトン」という曲につながったところでもあるんですけど。そのイメージはお会いしてもそのまんまでしたね。一度、一緒にごはんを食べに行ったことがあるんですけど、そのときはずっと私の分までお肉を焼いてくれて(笑)。
──長屋さんの手土産のお返しの意味を込めて?
大原 そうそう、ちゃんと尽くさなきゃと思って(笑)。
長屋 あははは(笑)。私はそういうことがあまりできないタイプなんですよ。何が正解かわからないから、どちらかというと待ってしまう。でも櫻子ちゃんはどんどん焼いてくれるからありがたかった(笑)。
大原 待つ人と攻める人、ピースが合ってよかったよね(笑)。
ピースがピッタリ合致
──そのお食事会はどのタイミングで開催されたんですか?
大原 楽曲を提供していただく話が決まって、手土産をいただいたあとすぐくらいでしたね。
長屋 うん。やっぱり一度ちゃんとお会いして、楽曲のことをお話しておきたいなと思ったので。どんな曲にしたいか、最近はどんな感じの歌が好きか、とか。いろいろ歌についての話をしました。
大原 そこでは晴ちゃんも歌が好きという話になって。「歌が好き」ってすごく単純なことではあるけど、案外、同業の方とお話をしていてもなかなか出てこないフレーズだったりするんですよ。でも晴ちゃんとはそこのピースもピッタリ合致したんです。だから絶対気が合うなと思ったし、スッとなじめる感覚があったんですよね。
──お互いソロとバンドという違ったスタイルで歌を届けているわけですが、そこについてはどんな印象を持っていましたか?
大原 私はすごくうらやましさがありますね。それぞれ異なるセンスを持ったメンバーが集まって、1つのオリジナルな世界を作り上げていくバンドというスタイルは純粋にカッコいいなと思うので。
長屋 いや、私の場合はメンバーがいて4人で緑黄色社会なわけですけど、櫻子ちゃんは1人で“大原櫻子”を背負っていかなくちゃいけないわけで。全責任がそこにあるからいろいろなプレッシャーもあるだろうし、もう尊敬しかないですね。私もそういう道に進む可能性はあったのかもしれないけど、でもきっとできなかっただろうな。
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“カラフル”と“透明”
2020年12月1日更新