新鮮な気持ちで歌った新曲たち

──ご自身で新たなトライができたと実感する曲ってあります？

いやー、今回はすべてがそうなんですけど、1曲目の「one」から新しいなって思うんですよね。全体として洋楽っぽい雰囲気だし、ここまでサビが短い曲も今までになかったなって。サウンドもすごくカッコいい。ここでは若干、大人な女性をイメージして、クールな表情で歌っていますね。あとは「甘えてしまうんだよ」も新鮮だったなあ。

──すごくシンプルな曲で、確かにこういう雰囲気は今までになかったですね。

ギターと歌だけで聴かせていく、カフェで歌いたくなるようなテイストの曲ですからね。スローテンポの曲だけど、今までのバラードとはまったく違うっていう。実はコレ、ライブで完成するというサプライズを秘めた曲でもあるんですよ。なので楽しみにしていてほしいですね。

──「踊りたい」という大原さんの願いを反映させたものとしては、リード曲になっている「ツキアカリ」がありますね。跳ねたビートがすごく気持ちいい。

この曲のミュージックビデオではしっかり踊らせていただきました！ 歌と共にダンスでも曲の世界を表現してみたいという思いが実現できてうれしかったです。「やっぱりダンスが好きだな」って思えましたし。自分として挑戦的な1曲ではありますけど、素直なメロディラインを持った曲でもあるからスッと入り込んで聴いていただけるんじゃないかなって思います。甘すぎず、どこか切ない恋愛の心情が描かれているところも私は好きですね。等身大のラブソングとして、すごく歌いやすかったです。

──この曲を筆頭に、今回はラブソングの比率も高まっていますよね。

確かにそうかもしれないです。シングル曲の「泣きたいくらい」もそうだし、先ほどの「甘えてしまうんだよ」もそうだし。そういう流れになったのは、昨年出した「さよなら」が大きく影響しているような気がするんですよね。

「さよなら」が大きなターニングポイントだった

──本作にも収録されている「さよなら」は壮大な失恋バラードですからね。

あそこまでスケールの大きなラブソングをそれまでは歌ったことがなかったから、最初はすごく不安だったんですよ。「責任を持ってこの曲を伝えることが私にできるのか!?」みたいな。でも、リリース後にライブで歌い重ねていくことで、自分の中にその世界観をしっかり落とし込んで歌うことができるようになった実感があったんです。ラブソングを歌ううえでの大きなターニングポイントになったのが「さよなら」だったと言うか。それがあったからこそ今回のアルバムでいろんなタイプのラブソングを歌うことができたとも思うんですよね。

──そんなきっかけを作ってくれた水野さんですが、アルバムではもう1曲「夏のおいしいところだけ」という曲も書かれていますね。作詞は高橋久美子さんです。

夏にリリースするアルバムということで、それにふさわしい曲を水野さんにお願いしました。水野さんらしいポップさが出ていますよね。作詞を高橋さんにお願いすることにしたのは水野さんからの提案でした。その結果、かわいらしくて、センス抜群の素敵な歌詞を書いていただけたのがすごくうれしくって。自分の楽曲の中でベスト3に入るくらい大好きな歌詞になりました！

──特にお気に入りのフレーズはどこですか？

「かき氷はいつの間にか とけて赤い水になる / 巻き戻しできたらいいのにな」というところが大好きです。こんなことを思えるかわいい女の子になりたいですよねえ（笑）。で、現実は巻き戻しができないから「ちゃんと生きよう」っていうメッセージにつなげているところもすごいなって。単なるラブソングではなく、人生を歌う曲になっているところに感動しました。

──夏という季節に新たな自分を見つけたい、新たに走り出したいという思いを抱いているこの曲の主人公は、今の大原さんがそのまんま現れている感じですよね。

そうですね。私もそういう感覚にはよくなるので、素直な気持ちで歌えました。

──今回はさまざまな方が作詞を手がけた曲が収録されていますけど、どれも大原さんの姿がしっかり投影されています。事前に細かくディスカッションしているんですか？

そこに関しては、けっこういろいろ言わせていただくこともあるんですよ。「ごめんなさい、私はこの歌詞のように思えないんでちょっと歌いにくいです」とか。そういうやり取りを通して、自分が歌いやすい歌詞にしていただいているところはありますね。そのうえで、作詞家さんごとのカラーを楽しんでいる感じだと思います。