音楽ナタリー PowerPush - 大原櫻子
初桜ソング「ひらり」と親友・広瀬すずへの思い
広瀬すずちゃんと電話して生まれた歌詞
──シングルの2曲目に収録される「青い季節」は、映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」の挿入歌です。バンドサウンドのアップテンポなナンバーになっていますね。
小名川(高弘)さんから曲をいただいたんですけど、今までの自分にはなかったちょっと新しいテイストだなって思いました。ぶわーっと歌い上げる感じではないけど、すごくカッコいいサウンドだったので。でも、できあがった歌詞を乗せて歌ってみたら「あ、自分の歌だな。自分っぽくなったな」って思えましたね。
──歌詞はいしわたり淳治さんが手がけています。
はい。この曲の歌詞を書いていただく前に、すずちゃんと電話でいろんな話をしたんですよ。「チア☆ダン」という映画にはどんなメッセージが込められていて、すずちゃんが演じるひかりちゃんはどんな思いを抱いている女の子か、みたいなことをたくさん質問して。そこですずちゃんに聞いたことと、自分が学生時代に抱いていた思いなんかをメモしたものをいしわたりさんにお渡しして歌詞にしていただきました。
──この曲では、広瀬さんに取材をすることで映画とのリンクをより高めようとしたわけですね。
はい。映画の中でひかりちゃんがスポットライトを浴びて、チアダンスの大きな舞台に立ったとき、すずちゃんは「まぶしい今を生きてる! 今しか見えない!」って思ったそうなんですよ。「そう思えたことがすごくうれしかったんだ」という話をしてくれて。それはひかりちゃんの思いでもあると同時に、たぶんすずちゃん自身の思いでもあると思ったので、しっかりとこの曲の歌詞に込めてもらいたかったんです。
──では、大原さんの思いが反映した歌詞はどのあたりになりますか?
私の思いが出ているのは、「はじける汗の雫 一粒の涙を笑顔の奥 隠しながら」のところです。すずちゃんはよく「撮影はつらいこともあるんだよ」と言っていたんですけど、笑顔を絶やさないひかりという女の子を演じるためにすごくがんばっていたんです。そうやって涙を隠して何かをがんばる姿は聴いてくれる人の背中を押すことになるとも思ったし、自分も含めて共感する人が多いんじゃないかなと思ったんですよね。なので、そういうメッセージを歌詞に入れてもらえたことがすごくうれしかったです。
──思いのこもったメッセージを晴れやかに届ける歌声もいいですね。
歌録りのギリギリまで歌詞のやり取りをしていたので、言葉の1つひとつを丁寧に確認しながらのレコーディングでした。メロディ的には難しくはないんですけど、言葉数が多いので音の伸ばし方やリズム感には今までにない新しい印象もありましたね。バンドをバックに歌っているミュージックビデオのような雰囲気が似合う曲だと思うので、早くライブでやりたいなって思います。
大原櫻子と広瀬すずの違い
──この曲の生まれた背景を聞いていると、大原さんと広瀬さんは本当に強い絆で結ばれているんだなあと改めて思いました。なぜそこまでの関係になれたんですかね?
どうしてなんだろう。価値観が似ているのかな。一緒にいて気軽だし、正直な気持ちで接することができるというか。私がボケーッとしていてもそれをちゃんと受け入れてくれるし、向こうもボケーッとしていることもあるし(笑)。去年、2人で京都を旅行したんですけど、私が夜中に起きてふと隣を見たら、ものすごい無防備な感じですずちゃんが寝ていて。そういう姿を見ると「あーかわいいな」って思うし、心を許してくれているんだなってすごくうれしくもなるんですよね。お互い一緒にいるときの安心の仕方がとにかくすごい(笑)。それは出会った当初からそうだった気がします。
──逆にまったく似ていない部分もあるんですか?
違うところで言うと、すずちゃんのほうが圧倒的に強いです。自分でも「私は負けず嫌いだ」ってよく言っていますけど、本当にそうだと思う。しかも、その負けず嫌いの対象が自分自身なんですよ。何事においても妥協しないところがありますね。
──え、でも大原さんにもあまり妥協しないイメージがありますけどね。
私の場合、妥協しない幅が狭いんですよ。歌や芝居に関しては絶対妥協しないけど、それ以外のことは全然こだわらなかったりするので。でも、すずちゃんは全体的に妥協することをよしとしないというか。つかんだものは絶対離さない感じもあるし。そういう違いがよかったりするのかもしれないですね。
──お二人には女優という共通項もあるわけですけど、そこに関しては刺激を与えあう存在だったりもするんですか?
もちろん刺激は受けますよ。ただ、芝居について2人で話すことはあまりないというか。すずちゃんが話してくれることを「へえ、そうなんだ。がんばれがんばれ!」って私が聞いている感じですね。だから演技について熱く語り合う感じにはならないです。プライベートな時間くらいはすずちゃんにゆっくり休んでほしいので、私からはあまり仕事の話をしないんですよね。年齢が少し離れているので、なんとなく親心みたいな感覚が私にあるのかもしれないです(笑)。
次のページ » 一生懸命やりすぎて恥ずかしい