女優の楽しさは「自分じゃない人になれること」

──大原さんにとってのもう1つの柱となる女優としての活動に対しては、何か変化はありますか？

自分の中で音楽と演技が50:50の関係にあることはまったく変わらないですね。どちらも100%の気持ちで丁寧にやりたいなとずっと思ってます。

──演技の楽しさはどんなところにありますか？

自分じゃない人になれること、ですかね。自分がどんな人なのかって、自分ではなかなかわからないものじゃないですか。だから日々、迷ったり悩んだりすることがあると思うんです。でも、与えられた役柄に関して言えば、そこに悩む必要はないから“生活しやすい”というか（笑）。それに、その役柄について分析して演じ方を決めていく中で、自分のことを知れる瞬間もあるんですよ。

──ああ、なるほど。「私だったらこうは言わない」「こうは動かない」という役柄とのギャップを感じれば、それは自分を知ることになりますもんね。

そうです。逆に、役柄に共感できることもありますし。そういう楽しさがあるのは演技ならではなのかなって思いますね。

──音楽と演技、お互いがフィードバックし合うこともありますか？

それはすごくあります。演技をする場合、普段ならそんなにオーバーにやらないだろっていう表現が求められることが多いんです。それくらいやらないと伝わらないので。で、その感覚が歌においてもいい具合に出ることがあったりするんですよね。逆に、歌での表情が演技に生かされる場合もあります。

──表現という意味で共通するものがあるんでしょうね。

セリフって間を空けて言うこともあれば、食い気味に言うこともあるし、ポンポンポンとテンポよく言うときもあったりして。それって、どこかメロディに乗って歌うことと同じ感覚があるんです。そういう意味で、芝居は歌っているような感じでもあるし、歌はお芝居してるような感じでもあるっていう。それってきっと両方をやらせていただけているからこそ感じられるものだと思うので、すごくありがたいなって思います。いい相乗効果が生まれるように、これからも両方大切にしながら続けていきたいです。

──女優としての目標って何かあります？

お芝居はほんとに場数を踏むことが大事だと思うので、いろんな役柄にどんどん挑戦していきたいなって思いますね。冬には舞台に出演しますが、そこではかなり鍛えられるんじゃないかな。何日もリハーサルを積み重ねてどんどんいいものにしていって、目の前のお客さんに楽しんでもらう舞台というのは、どこか音楽のツアーにも似ているような気がしているので、すごく楽しみです。

──ちなみに現在は月9ドラマ「恋仲」の撮影中なんですよね。

はい。主演の福士蒼汰さんが演じる三浦葵の妹、三浦七海役をやらせていただいてます。現在の姿と、7年前の姿の両方を演じるので、その間での気持ちの変化を表現しなきゃいけなくて。同一人物とはいえ、7年前ですからね、年齢的な部分の表現もすごく難しいですね。

二十歳になる自覚

──二十歳まであと半年を切りましたが、今の気持ちってどうですか？

二十歳になるんだなっていう自覚が最近、急に湧いてきているんですよ。気配りのできる優しい女性になりたいなとか、いろいろ考えるようになりました。とはいえまだ19歳なので、10代最後を思いっきり甘えてエンジョイしたいなっていう気持ちもあります。二十歳になっても全然甘えてそうですけどね（笑）。

──二十歳になったらやりたいことってあります？

お料理ができる女性になりたいので、最近はちょこちょこチャレンジしてるんです。この間は学校行く前に餃子を作りました（笑）。あとは周りの大人の方々とお酒を飲みながらコミュニケーションしてみたいですね。お酒があると、よりざっくばらんな話ができると聞いているので。

──ツアーでの楽しみも増えそう。

ですよね。酔っぱらってデローンとしちゃうんじゃなくて、オシャレにお酒を楽しめる人になりたいです。いろんな知識、うんちくを交えながら（笑）。

──ワインについて延々語ってみたり？

そうそう。父など周りに詳しい方がいっぱいいるので今から教えてもらっとこうかな。で、二十歳になった瞬間から「このワインはね、アレなんだよ」みたいな。って、生意気だー（笑）。