沼倉愛美|11の私で描く“アイ”の世界

愛しちゃったんだから行くしかない

──そして最後が表題曲の「アイ」です。「もう充分なんだよ」で始まって、「仕方ないよ、この音を愛してしまった」「本気にやっとなれる戦場はそこにあったんだ」などパンチライン満載なんですよね。

沼倉愛美

この曲は歌を歌う私、ライブに対する私の気持ちがテーマになっているんです。AメロBメロは素の私で……私はAB型なんですけど、「もうそろそろ休みたいな、怠けたいな、できれば楽したいな」と思うB型の自分と、「まだ休まずにがんばったら先にもっといいことがあるかもしれないじゃん」としっかりしたいと思うA型の自分がせめぎ合ってるんです(笑)。結局はお客さんの声援が忘れられなくて、サビでまたステージに向かって行く。

──向かって行く先は“戦場”なんですね。

はい。ずっとせめぎ合ってるし、どちらがいいとも悪いとも言えないんだけど、愛しちゃったんだから行くしかない、みたいな。いろんな言い方をしているけど、私の中ではこれは超ポジティブなもので、この歌詞はたぶん今だから書けるんだろうなと思います。1年前の私なら歌う自分をテーマにしようなんて思わなかっただろうし、歌を始めた2年前はそんなこと思い付きもしなかった。音楽を通していろんなことを経験してきた今だからこそ、それをテーマに書こうと思えたのかなって。でも、なんのために書いたのかと思うと、自分の中でもあやふやなんですよ。

──歌を始めることになったときは、自分で自分を表現するうえで「自分には何もない」と思っていたとおっしゃってましたよね。そこからのスタートでこの「アイ」にたどり着いたというのは、すごくドラマチックだなと思います。

自分の中ではこれが書けたことはすごく大きいんですけど、これをどう受け取られるのかなというちょっとした緊張はあります。

──この曲のMVだけが先に出ていたので、ファンの皆さんは「どれだけディープなアルバムになるんだろう」と思っていたかもしれない(笑)。

そうですね(笑)。MVはシンプルな作りなんですけど、照明の位置や動きが細かくプログラムされていて。クライマックスはもっと盛り上げようと、時間をかけてセッティングし直しているんです。カメラマンさんもバンドメンバーも汗だくになりながら、1日中撮影していました。

渾身の“アイ”を携えて

──全11曲で“アイ”を表現した結果、ご自身としてはどんなお気持ちですか?

私っぽいよねと感じてもらえるのも、「沼倉さんってこういう一面もあるの?」と感じてもらえるのも、どちらもいいなあと思っていて。とにかく1stアルバムよりもいいもの、すごいものを作ったと言えるものじゃないと作る意味がないと思っていたので、自分で決めたことがより多くなった分、責任は重大でした。プロデューサーはもともと「君が持っているアイデアを形にする準備はできているよ」という姿勢でいてくれたし、私が何も浮かばなかったらきっといろいろ考えてくれたと思うんです。それを信頼と言えばそうなんでしょうし、ありがたいなと思いますね。ここまで自分で決められるとは最初は思っていなかったし、大丈夫かなという不安もあったんですけど、こんなにも勝手にやらせてもらえることはなかなかないと思うので、チャレンジしてよかったなと思います。

──「自信作」と胸を張って言える?

自信……うーん。渾身の、という感じですね(笑)。

──アルバムを携えてのツアーも決定していますが、これが東名阪3都市に加えて、台湾・台北での初の海外公演も含まれていると。

いやあ、うちのスタッフは強気ですよね。なんでそんな強気なんだろう(笑)。でも台湾でよかったなと思ってます。私はほとんど海外に行ったことがないんですけど、台湾に関しては4度目ぐらいなんですよ。行くたびに好きになるし、気持ち的には日本と地続きな感じで。海外だからと構えずに、安心して挑めるんじゃないかと思います。前回のツアーより格段に曲も増えてるし、できることもだいぶ増えたので、その中で“アイ”を表現するために何をするか。現段階ではまだまっさらなので、考えなきゃ……また考えることが出てきたなと思いつつ(笑)、でもすごく楽しみですね。1stのときとほぼほぼ変わらぬメンバーとスタッフで回るので、また朝まで打ち上げやるのかなあとか(笑)。以前のような不安はもうないですね。

──このアルバムを作り上げたからこそ、次はこういうことがしてみたいという目標や希望が出てきたりはしていませんか? 3rdアルバムはどんな作品にしましょうか。

あははは(笑)。そこまではまだ考えられないですけど、このアルバムをきっかけにいろんな絵が浮かぶようになったかもしれないです。映像として次はこういう見せ方をしたいとか、音じゃないところから浮かんできたイメージを形にしてみたいという気持ちが芽生えたかもしれません。

ツアー情報

沼倉愛美 2ndツアー「アイ」
  • 2019年4月6日(土)大阪府 なんばHatch
  • 2019年4月7日(日)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2019年4月12日(金)東京都 中野サンプラザホール
  • 2019年4月20日(土)台湾 台北 CLAPPER STUDIO
沼倉愛美「アイ」
2019年2月20日発売 / FlyingDog
沼倉愛美「アイ」初回限定盤

初回限定盤 [CD+Blu-ray]
3780円 / VTZL-155

Amazon.co.jp

沼倉愛美「アイ」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / VTCL-60482

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. Benvenuti[作詞:沼倉愛美 / 作曲:白戸佑輔 / 編曲:前口渉]
  2. This Kiss[作詞 : MCTC / 作曲・編曲:TAKU INOUE]
  3. 彩 -color-[作詞:沼倉愛美 / 作曲:WEST GROUND / 編曲:ZAI-ON]
  4. 魔法 [作詞:ZAI-ON / 作曲・編曲:堀江晶太]
  5. グッバイ[作詞:小久保祐希 / 作曲:小久保祐希、Kohei Yokono / 編曲:Kohei Yokono]
  6. Don't back [作詞:松原さらり / 作曲:内藤英雅 / 編曲:中野領太]
  7. Desires[作詞・作曲:ZAI-ON / 編曲:WEST GROUND]
  8. 夜と遠心力 [作詞:國土佳音 / 作曲・編曲:小山寿]
  9. まどろみ[作詞:Giz'Mo(Jam9) / 作曲:ArmySlick、Giz'Mo(Jam9) / 編曲:ArmySlick]
  10. SWAY[作詞:Haggy Rock / 作曲:原田アツシ]
  11. アイ[作詞:沼倉愛美 / 作曲:高橋亮人 / 編曲:WEST GROUND、高橋亮人]
初回限定盤付属Blu-ray収録内容
  • 「彩 -color-」Music Video
  • 「Desires」Music Video
  • 「アイ」Music Video
  • 「アイ」Making Movie
沼倉愛美(ヌマクラマナミ)
神奈川県生まれの声優 / アーティスト。アニメ「THE IDOLM@STER」で我那覇響、アニメ「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-」でタカオを演じ注目を浴びる。2016年11月に、シングル「叫べ」でアーティストデビューを果たし、2017年2月に2ndシングル「Climber's High!」、6月に1stアルバム「My LIVE」をリリース。同年8月には初のワンマンツアー「沼倉愛美 1st LIVE TOUR 『My LIVE』」を成功に収めた。2019年2月に2ndアルバム「アイ」を発表。4月に東名阪3都市および台湾・台北を回る2ndツアー「アイ」を行う。