ナタリー PowerPush - NoGoD
異端のV系バンドが描く“四季彩”
トイレで得たボサノバ知識
──今回のミニアルバムは、ミュージックビデオやライブ映像を収録したDVDが同梱された「四季彩 [visions]」と、アコースティックバージョンを収録したCDとの2枚組「四季彩 [sounds]」の2タイプがリリースされます。そのアコースティックバージョンがかなり素敵な仕上がりになっていて。
kyrie ありがとうございます。アコースティックバージョンは、曲の雰囲気や世界観、歌詞などから「四季彩」の4曲を新しい視点で作り直した感じなんですよね。だからオマケ的な感覚で雑な扱いを受けるとちょっと寂しいんですけど。
──いやほんとにオマケ的なクオリティじゃないですもんね。個人的にはボサノバアレンジになっている「櫻」が衝撃的で。こんなに変貌するものなんだなあと。
kyrie 「櫻」という曲が持っている優しい部分、切ない部分をもっと柔らかく表現するためにはどうしたらいいんだろうって思ったときに、ピアノを入れてみたりとかいろいろ試してみる中で最終的にボサノバ風にたどり着いたんですよね。こういうアレンジになればボーカルも優しく歌わざるを得ないじゃないですか。そうすることによって全体的に違った表情を見せられるだろうなって。
団長 ボサノバを聴いたことがあまりなかったんで、こういうアレンジになったときには困ったなあって思いましたね。ただ、以前にレコーディングスタジオのトイレでクレモンティーヌさんのアニソンカバーがよく流れていたのを思い出して。「♪(ウィスパーボイスで)ボンボンバカボン~」とか「♪サザウェさん~」みたいに歌えばいいんだなって気付いたんですよね。あ、なんでもかんでも優しく歌えばいいんだな。ちょっと滑舌悪くしてみればいいんだな、みたいな。
kyrie 雑! 雑すぎるよ!(笑)
団長 言ってしまえば、トイレでおしっこしながら得た知識が僕のボサノバのすべてなので、それをこの曲にはぶつけましたね。
──キーが高いサビは優しく歌うのがかなり大変そうですが、どうでした?
団長 そうなんですよ。声を張っちゃうとニュアンスが強くなりすぎますからね。逆にニュアンスがよくてもピッチが届いてなかったりもするし。何度もテイクを重ねながら、僕が地声で出せるギリギリの優しさで歌いました。
──アコースティックバージョンはぜひ原曲と聴き比べることをオススメしたいですね。
団長 ですね。このアコースティックバージョンはある意味、去年僕らがやった「神髄」シリーズのひとつかもしれないなって思うんですよ。あえて謳いはしませんでしたけど、NoGoDができるアコースティックアレンジ、そしてNoGoDというバンドの核の部分の「神髄」の1つじゃないかなって。
kyrie うん。「神髄」という作品には1つのことを突き詰めるという意味があったので、これも間違いなく「神髄」ではありますよね。
──ヘヴィメタルからボサノバまで、その振り幅はものすごいですけどね(笑)。本作を聴いて、NoGoDはつくづく器用なバンドなんだなと実感しました。
団長 まあそうですね。我々の技術と経験値があればどんな曲でも書こうと思えば書けちゃうんで。例えば恋愛の曲に関してもね、月9的な、トレンディドラマ的なものも書けますし。NoGoDにそういう曲は書けないだろうって思ってる業者の方にはね、ぜひ今回の作品を聴いてもらいたい。当社はけっこうやれますよ、と。求められればタオル回す曲だって書きますから。書けるよな?
kyrie 実際、ライブでタオル回してる曲もありますからね(笑)。
──じゃ海の曲でも書けてしまうと。
団長 書けます! 海、あんまり見たことないけど書けます!
──頼もしいですね(笑)。
団長 まあでも去年からいろんなことをやらせてもらって、バンドとしての幅がかなり広がったと思うんですよ。その上でまだ自分たちの中ではネタ切れ感がまったくないんです。ほんとに元荒川のように枯渇しないというかね。だからこの先もすごく楽しみなんですよね。
化粧をしているバンドの裾野を広げたい
──本作リリース後には対バンツアーとワンマンツアーが決定していますが。
kyrie ゲストを迎えてのツアーに関してはレコ発ライブと言いますか、「四季彩」という作品を主体とする内容にしようと思っています。その後のワンマンは、それを踏まえて今のNoGoDのベストツアー、新たな一歩を踏み出すためのツアーにしたいですね。
団長 がんばらなきゃいけないツアーですね。ワンマンの会場は規模が大きくなっているところが多いので、これでコケたらヤバいぞと。もう後がないぞと。そういう状況の中、ナタリーさんのようないろんなジャンルの音楽が好きな方々の目に触れる媒体でインタビューしていただけたのがうれしいです。できればわかりづらいようにバナーとか貼ってもらって、ライブのチケットがうっかり買えてしまうような仕様にしていただければと。
──ワンクリック詐欺的な(笑)。
団長 でもマジメな話をすると、今回の対バンツアーでは化粧をしているバンドのジャンル、フィールドの裾野をもっと広げたいと思ってるんですよ。真空ホロウにゲストで来てもらうこともそうですけど、いわゆるヴィジュアル系ではないロックバンドが好きな人とも音楽を共有していかないとヤバいような気がするんですよね。
──ジャンルに縛られることでいい音楽と出会う機会がなくなるのはもったいないことですもんね。
団長 そうですそうです。それもね、俺らが化粧を落としてそっち側に寄せていくのではなく、化粧をしたままで共有していきたいんですよね。脱ヴィジュアル系宣言みたいなことはまったくするつもりはないですから。
──「四季彩」という作品自体、非常に間口の広い内容になっていますしね。ヴィジュアル系好きではない人たちにも響くであろう音楽が鳴っていると思います。
団長 うん。ポップスが好きな人でも、普通のロックが好きな人でも、もちろん従来からの化粧をするバンドが好きなお客さんにも、全方向にいい音楽を提示できる作品になってると思うんです。で、もっと激しい音楽が好きなのであれば俺らの昔のCDを聴いてもらえればいいわけですし。NoGoDはジャパニーズロックの最高峰を提示している自信はあるので、ぜひともまずは目をつぶって聴いていただければと。で、徐々に僕の姿に慣れてもらえば大丈夫だと思うんで。美人は3日で飽きる、ブスは3日で慣れるっていうじゃないですか。で、ちょっと慣れたと思ったらライブ来てください。そしたら完璧に慣れますんで。
kyrie なんでわざわざ金払っておまえに慣れに行かないといけないんだよ(笑)。
団長 いいじゃんいいじゃん。いやでも、ほんとにここが正念場だと思うんで、3000人が動員できるんだったらこの際、整形とかも考えてますんで! まぶた切開するんで!
kyrie つーか切開くらいじゃ増えないでしょ。
団長 脂肪吸引もですか?
kyrie 吸引ももちろんですけど、骨格変えることからでしょ。
団長 けっこうお金かかるね。その際にはNoGoD始まって以来の活動休止をするかもしれないです。もし活休したときはメンテナンスだと思ってください。で、復活したあかつきには見た目に合わせて名前もステファンに変えます。で、全部英語で歌いますから!
ライブ情報
NoGoD TOUR-2014-SPRING【SEASON I→XIV】
- 2014年3月8日(土)神奈川県 横浜BAYSIS
<出演者>
NoGoD / ADAPTER。 - 2014年3月9日(日)群馬県 高崎club FLEEZ
<出演者>
NoGoD / heidi. - 2014年3月15日(土)石川県 Kanazawa AZ
<出演者>
NoGoD / メガマソ - 2014年3月16日(日)福井県 福井CHOP
<出演者>
NoGoD / メガマソ - 2014年3月21日(金・祝)滋賀県 SHIGA U★STONE
<出演者>
NoGoD / DEATHGAZE - 2014年3月22日(土)大阪府 ROCKTOWN
<出演者>
NoGoD / 真空ホロウ - 2014年3月23日(日)岡山県 IMAGE
<出演者>
NoGoD / DEATHGAZE - 2014年3月25日(火)兵庫県 神戸VARIT.
<出演者>
NoGoD / Lycaon - 2014年3月29日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE
<出演者>
NoGoD / 真空ホロウ - 2014年3月30日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
<出演者>
NoGoD / heidi. - 2014年4月5日(土)静岡県 HAMAMATSU FORCE
<出演者>
NoGoD / DEATHGAZE - 2014年4月6日(日)愛知県 HeartLand STUDIO
<出演者>
NoGoD / DEATHGAZE - 2014年4月12日(土)福島県 郡山CLUB #9
<出演者>
NoGoD / Gargoyle - 2014年4月13日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
<出演者>
NoGoD / Gargoyle
NoGoD PREMIUM TOUR-2014-【Gate of Seven】
- 2014年4月29日(火・祝)大阪府 BIGCAT
- 2014年5月2日(金)福岡県 DRUM Be-1
- 2014年5月4日(日・祝)広島県 ナミキジャンクション
- 2014年5月6日(火・祝)愛知県 ElectricLadyLand
- 2014年5月16日(金)宮城県 仙台MACANA
- 2014年5月18日(日)北海道 札幌KRAPS HALL
- 2014年5月28日(水)東京都 SHIBUYA-AX
櫻/NoGoD
- ミニアルバム「四季彩」 / 2014年3月5日発売 / キングレコード
- [visions] [CD+DVD] / 2810円 / KIZC-245~6
- [sounds] [CD2枚組] / 2810円 / KICS-3027~8
[visions] CD収録曲
- 櫻
- 千夜を越えて花束を
- あの日の空は極彩で
- 彩白
[visions] DVD収録内容
2013年12月2日【神髄】ツアー・ファイナル@赤坂BLITZ公演よりライブ映像
- FRONTIER
- 慰みの空
- Carnival
- Ring-a Ring-o
Music Video
- 櫻
[sounds] DISC 1収録曲
- 櫻
- 千夜を越えて花束を
- あの日の空は極彩で
- 彩白
- FRONTIER(live version)
- 慰みの空(live version)
- Carnival(live version)
- Ring-a Ring-o(live version)
[sounds] DISC 2収録曲
- 櫻(acoustic version)
- 千夜を越えて花束を(acoustic version)
- あの日の空は極彩で(acoustic version)
- 彩白(acoustic version)
NoGoD(のーごっど)
2005年に「新興宗教樂團NoGoD」として結成。2007年より団長(ボーカル)、Kyrie(七弦団員)、Shinno(六弦団員)、華凛(五弦団員)、K(太鼓団員)の現メンバー構成となり、2010年6月にシングル「カクセイ」でメジャーデビューを果たす。2010年8月には通算3枚目のフルアルバムとなるメジャー第1弾アルバム「欠片」、2011年8月には4thアルバム「現実」を発表。2013年2月6日に5thアルバム「V(ファイヴ)」をリリース。ヴィジュアル系の枠に収まらない個性的なスタイルと確かな演奏力で人気を集めている。2014年3月、四季をテーマにした楽曲を集めたコンセプトミニアルバム「四季彩」をリリース。