ナタリー PowerPush - NoGoD

異端のV系バンドが描く“四季彩”

NoGoDがミニアルバム「四季彩」を完成させた。本作は、春夏秋冬それぞれの季節を舞台にした別れの物語4編で構成されたコンセプチュアルな内容。インディーズ時代の名曲に、今回初めて音源化される新曲を加えた楽曲群は、昨年リリースされた2枚のシングル「神髄 -FRONTIER-」「神髄 -THE POWER-」で聴かせたハードロック / ヘヴィメタルな世界観とはまた一線を画したサウンドアプローチでNoGoDというバンドの核を提示している。

今回ナタリーでは団長(ボーカル)とkyrie(七弦団員)の2人にインタビューを実施。作品にまつわる話を軸としつつ、ラジオ「オールナイトニッポン0」での軽妙な語り口に注目が集まる団長のキャラクターにも肉迫した。

取材・文 / もりひでゆき

小学1年生が5年生になっちゃいますからね

──今回のインタビューでは団長さんのキャラを最大限に引き出していきたいと思っているんですけど。

団長(ボーカル)

団長(ボーカル) おやおや出たなこれは! そうなると半分くらい埼玉の話で終わっちゃいますからね。ほぼ音楽の話はできないと?

──いやいや(笑)。そこはkyrieさんもいらっしゃるので、音楽の話もちゃんとしつつ。

団長 わかりました。その要望に最大限応える所存ではございますので。

kyrie(七弦団員) じゃいろいろ無茶ぶりしていこうか。まずはコレ(テーブルの上に置いてあったミニサイズのおかき)を一気食いじゃない?

団長 ……これはおまえちょっと量多いぞ。口の中、パサパサになっちゃうから。しかも画がないとわかりづらいだろ。

──あははは(笑)。じゃさっそく新作「四季彩」のお話を伺っていきます。今回はタイトルが示す通り、四季をモチーフとした4曲を収録するコンセプトミニアルバムになっていますが、どういった経緯でこのような形に?

団長 それはもうね、やれって言われたからやったんですよ!

kyrie (無視しつつ)もともと「櫻」と「彩白」という2曲はNoGoDの結成前、あるいは結成当初にできた曲なんですよ。で、2009年にはアルバム「極彩色」の中で、「あの日の空は極彩で」という曲を発表させていただいてもいて。

──収録されている春、秋、冬の楽曲はインディーズ時代からすでにあったわけですよね。

kyrie そうなんです。なので、2009年の時点ですでに「四季をコンセプトにした作品を作ったらどうだろう?」っていう草案はあったんですよ。夏の曲が完成したらそういう作品ができるねっていう。で、夏の曲である「千夜を越えて花束を」は、実は一昨年にはできていたんですけど、フルアルバムの制作があったり、コンセプトシングルがあったりっていう関係上、なかなか発表するタイミングがなかったんです。

──それが満を持してこのタイミングで実現したと。

kyrie そうですね。5年越しくらいでやっと実現したっていう。

団長 もうそんな経ったっけか? 5年って言ったら、小学1年生が5年生になっちゃいますからね!

kyrie 中途半端な例えだな(笑)。

団長 まあでも今のタイミングでこの作品を出せたのはよかったと思うんですよ。我々は去年、自分たちのバックボーンであるハードロックやヘヴィメタルを思い切り打ち出したコンセプトシングルを2作(「神髄 -FRONTIER-」「神髄 -THE POWER-」)出させてもらったんですね。その作品に対して洋楽志向の方々からは「今の時代にこんな音を出してくれてありがとう」なんて言葉をいただけたりもしたんですけど、いわゆるヴィジュアル系と呼ばれるバンドが好きな子たちには「いくらなんでもちょっと食い切れないよ」みたいな雰囲気が実はあったりもしたんです。でも今回のミニアルバムには逆にヴィジュアル系っぽい曲たちが詰まっていると俺個人は思っていて。ヴィジュアル系っていうのは歌謡曲とロックが一番キレイに混ざった音楽ジャンルだと俺は思っているんですけど、今回はそういう曲たち、いわゆる洋楽志向ではないジャパニーズロックの集合体になってると思うんですね。特に「櫻」と「彩白」っていう古い2曲に関してはX JAPANさんをはじめとする90年代のバンドサウンドの影響をモロに受けてるんです。だから聴く人によっては懐かしいという感想を抱く方もいると思うし、そうだったなら俺はすごくうれしいなって思うんですよね。そういう意味で今回の作品は「神髄」シリーズとはサウンド的なコンセプトがまたちょっと違っているわけなんです。去年は散々「ヘヴィメタル、ハードロックをもっと聴きなさい」って言ってたわけですけど、「やっぱ歌謡曲もいいよね」っていうところもNoGoDとしてはちゃんと出していきたかったというか。俺の勝手な偏見かもしれないですけど、今って歌謡曲をやることに対してちょっと恥ずかしいみたいな風潮もあるじゃないですか。個人的にはそこに対して自分らなりの思いをぶつけてみたかったというか。自分の信じるものはやっぱり……。

kyrie つーか話が長えよ!(笑) 長えし、キャラがまったく生きてない!

団長 え、そう? 今回の作品はX JAPANがしたかったんです。X JAPANになりたかったんです!

家でももクロの映像でも観ながら

──インディーズ時代の楽曲を改めてレコーディングし直す作業はいかがでしたか?

Kyrie(七弦団員)

kyrie 「あの日の空は極彩で」と「彩白」は現メンバーになってからの音源が存在するので、それを1つの正解としつつ、そこに今なりのアプローチを加えていった感じでしたね。逆に「櫻」に関しては、現メンバーでレコーディングした音源がなかったので、今のNoGoDとしてのアレンジを完成させようっていう試みを行いました。以前のメンバーで作られたバージョンのままライブでやることに対して少なからず違和感もあったので、それをここでしっかり精算しようと。

団長 俺はいかんせんアレンジができないので、そこはもうkyrieさんにおまかせしました。もしかしたら今後、kyrieさんが急にR&Bとかヒップホップに目覚めて、それをNoGoDに持ち込んできたときにはまた新しい「櫻」が生まれるんでしょうけど、今の時点ではこれが「櫻」のあるべき姿というか、最高傑作になったと思いますね。

──アレンジに関して団長さんからリクエストをしたりは?

団長 俺はたまに来て嫌味だけ言って帰る会長みたいなポジションなんで、気に入らないところがあれば「なんか違うな」って言うことはありますけど、基本的には彼に任せとけば大丈夫っていう絶対的な信頼がありますからね。黙って上がってくるのを待つのみです。家でももクロの映像でも観ながら。

kyrie スタジオでみんなが「ここどうしようか?」みたいなことしてるときも、1人で外でケータイとかパソコンいじってるもんね。

団長 だいたいそうですね。ずっとファミコンやってたりとか。そこはもう絶対的な信頼を置いているメンバーたちなので安心です!

ミニアルバム「四季彩」 / 2014年3月5日発売 / キングレコード
[visions] [CD+DVD] / 2810円 / KIZC-245~6
[sounds] [CD2枚組] / 2810円 / KICS-3027~8
[visions] CD収録曲
  1. 千夜を越えて花束を
  2. あの日の空は極彩で
  3. 彩白
[visions] DVD収録内容
2013年12月2日【神髄】ツアー・ファイナル@赤坂BLITZ公演よりライブ映像
  1. FRONTIER
  2. 慰みの空
  3. Carnival
  4. Ring-a Ring-o
Music Video
[sounds] DISC 1収録曲
  1. 千夜を越えて花束を
  2. あの日の空は極彩で
  3. 彩白
  4. FRONTIER(live version)
  5. 慰みの空(live version)
  6. Carnival(live version)
  7. Ring-a Ring-o(live version)
[sounds] DISC 2収録曲
  1. 櫻(acoustic version)
  2. 千夜を越えて花束を(acoustic version)
  3. あの日の空は極彩で(acoustic version)
  4. 彩白(acoustic version)
NoGoD(のーごっど)
NoGoD

2005年に「新興宗教樂團NoGoD」として結成。2007年より団長(ボーカル)、Kyrie(七弦団員)、Shinno(六弦団員)、華凛(五弦団員)、K(太鼓団員)の現メンバー構成となり、2010年6月にシングル「カクセイ」でメジャーデビューを果たす。2010年8月には通算3枚目のフルアルバムとなるメジャー第1弾アルバム「欠片」、2011年8月には4thアルバム「現実」を発表。2013年2月6日に5thアルバム「V(ファイヴ)」をリリース。ヴィジュアル系の枠に収まらない個性的なスタイルと確かな演奏力で人気を集めている。2014年3月、四季をテーマにした楽曲を集めたコンセプトミニアルバム「四季彩」をリリース。