ナタリー PowerPush - NoGoD

V系バンドの極北、原点回帰の自信作完成

ヴィジュアル系アーティストの中でもひときわ異彩を放つバンド、NoGoDの約1年半ぶりとなるニューアルバム「V」がリリースされた。通算5枚目のフルアルバムとなる今作は、ライブを積み重ねることで強力なチームワークを得た5人のポテンシャルが余すところなく発揮された充実作に仕上がっている。

ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、アルバムの制作エピソードのみならず、バンドの成り立ちやスタンスなどについても詳しく聞いた。

取材・文 / 荒金良介

詳しくはWEBで

──今回はナタリー初登場ということで、少し基本的なところから聞かせてください。まずNoGoDというバンド名がすごいですよね。最初からものすごく重い十字架を背負っているなと。

団長(ボーカル) そうですねえ。とにかくバンド名に関しては、ちゃんと意味を持たせたかったんですよ。自分が背負っていくものだし、ちゃんと説明できるものにしたくて。まあ、詳しくはWEBでというか、ウィキペディアを見てもらえると一番わかりやすいと思います(笑)。

──改めて説明してもらってもいいですか?

団長(ボーカル)

団長 どうしてもメッセージソングがやりたかったんですよ。当時、自分がヴィジュアル系バンドをやろうと思ったときに、歌詞は奇抜な人が多かったけど、俺はもっと歌や音楽にメッセージを込めたくて。だから、主義・思想を思いっきりバンド名に込めてやろうと。俺は無神論者ですけど、ヴィジュアル系バンドってすごく神格化されてると思うんですよ、X JAPANやLUNA SEAとか。ここまでアーティストが神様のような扱いをされているのって、ヴィジュアル系しかないなと。俺たちも化粧したら、そういう存在になれるかなって。

Kyrie(七弦団員) 浅はかだなあ(笑)。

K(太鼓団員) 説明したと思ったら、長えなあ。

──ははははは(笑)。

団長 若い頃は神の啓示がうんぬんと言ってたんですけど、最近は深く聞いてくださる方が多いので、ちゃんと答えなきゃいけないなと。僕、もともと宗教学が好きで。宗教って調べると面白いし、ヴィジュアル系も宗教だな、と思うようになって。音楽で人が救われたり、一喜一憂するわけじゃないですか。音楽は押しつける宗教ではなく、リスナーが選んでくれる宗教だから、そこがいいなと。自分もバンドをやるなら、ちゃんとメッセージで人を一喜一憂させたり、人を支えたり、音楽で神様みたいなものを出せるようになりたい……という意味を込めて付けたんですけど、これ話すと長くなるんですよね(笑)。しかもバンド名の由来を話すと、メンバーが誰も興味持ってないのが一番つらくて。

Kyrie あんまり面白くない。次行こ!(笑)

顔と衣装はキャッチコピー

──バンド名の由来をわざわざ聞いたのは、今作はまさにそういう気持ちやメッセージ性がきっちり音源に落とし込まれているからで。皆さんヴィジュアル系の音楽は好きだと思うんですが、どこか一歩引いた目線も持ち合わせているんですね。

団長 我々、ヴィジュアル系をどっぷり聴いてきた人間がそんなにいないんですよ。別々の畑から来た人間がNoGoDに集まった感じなので、ヴィジュアル系を外から見ていたイメージなんですよね。

Kyrie このメンバーでバンドをやるときに、たまたま団長が当時ヴィジュアル系バンドをやっていたのが入り口なので、そこに対してあまりこだわりがないんですよ。

──団長の化粧の仕方も、どちらかと言えばニューロティカ側と言いますか。

団長 俺は氣志團、ニューロティカ、MAN WITH A MISSION、彼らが正しいヴィジュアル系だと思ってますから。あと、BEAT CRUSADERSも。顔と衣装って、キャッチコピーだから。そういう人たちは全部ヴィジュアル系だと思うんですよ。あ、SLIPKNOTもヴィジュアル系ですからね。だから、ほかの人と感覚はズレてるかもしれない。本当はいわゆるヴィジュアル系バンドになりたかったんですけどね。寄っていきたかったんです、最初は。

──そうなんですか(笑)。

団長 右も左もわからない状態で始めちゃったので。Shinnoさんはヴィジュアル系バンドをやっていたけど、ほかのメンバーは素人の集まりだったので、衣装を買いに行く選択肢も原宿しかなくて。ヴィジュアル系の人たちはみんな原宿で衣装買ってるものだと思ってたから。神宮橋にもコスプレイヤーが集まっていたから、とりあえず行って、ヴィジュアル系の文化を一生懸命学ぼうと思って……。

Kyrie(七弦団員)

Kyrie まあ3、4年バンドをやってるうちに気付いちゃったんでしょうね。「あっ、俺らヴィジュアル系向いてねえわ」って。

──自分たちはヴィジュアル系になりきれないと?

Kyrie なりきれないわけじゃないけど、なりたいものではなかった。ヴィジュアル系ど真ん中みたいな感じではないことは、バンドを始めた頃から薄々わかってました(笑)。

団長 音楽的なまとまりはすごく早かったんですけど、ルックス的にはいまだにまとまらず、2013年です。

──実に腑に落ちる話ばかりです。

全員 はははははは(笑)。

ニューアルバム「V」 / 2013年2月6日発売 / KING RECORDS
初回限定盤 [CD+DVD] / 3780円 / KICS-91881
通常盤 [CD] / 3150円 / KICS-1881
CD収録曲
  1. 現世ホラーショー
  2. 絶望、バイバイ。
  3. 球根
  4. 空の公園
  5. Sabbath
  6. パンドラ
  7. 夢の泡 (instrumental)
  8. IV - 他者/Philosophia
  9. STAND UP!
  10. 鐘を鳴らせ
  11. 感情
  12. 闘争本能 ※通常盤のみ
初回限定盤DVD収録内容
  1. 現世ホラーショー(Video Clip)
  2. Making of 現世ホラーショー
NoGoD (のーごっど)

2005年に「新興宗教樂團NoGoD」として結成。2007年より団長(ボーカル)、Kyrie(七弦団員)、Shinno(六弦団員)、華凛(五弦団員)、K(太鼓団員)の現メンバー構成となり、2010年6月にシングル「カクセイ」でメジャーデビューを果たす。ヴィジュアル系の枠に収まらない個性的なスタイルと確かな演奏力で人気を集め、2010年8月には通算3枚目のフルアルバムとなるメジャー第1弾アルバム「欠片」、2011年8月には4thアルバム「現実」を発表。2013年2月6日に5thアルバム「V(ファイヴ)」をリリースした。