音楽ナタリー PowerPush - 乃木坂46

生田絵梨花が見つめるグループの未来

チャレンジがたくさんのミュージカル初主演

──そういえば生田さんは先日、ミュージカル「虹のプレリュード」で初めて主演を務めたばかりですが(参照:乃木坂46生田、初主演舞台ゲネで圧巻の熱演)。

私、ずっとミュージカルをやりたかったんですけど、まさかこんなに早く、しかも自分が主演でやらせてもらえるなんて、決まったときは驚きしかなかったです。やっぱり自分が好きでずっと憧れてきたステージだからこそ、そこに立つのは緊張しますよね。だからカーテンコールの稽古でも、共演者の方々が立ってる中に自分が出て行くとなんか申し訳ないと思っちゃって、ついつい「すみません」とか言っちゃうんですよ(笑)。

──あはは(笑)。そこは堂々としましょうよ。実際稽古は大変でしたか?

生田絵梨花

そうですね。まずスタッフさんから「動きがヒョロヒョロしてる」って注意されました(笑)。普段アイドルとして活動してるときはそれでもいいのかもしれないけど、今回は特に男装をするので「もっとしっかり立ちなさい!」と言われて。その日から毎日腹筋や体幹トレーニングをしたり、声のトーンも普段よりも抑え気味にしゃべったりするようにしました。

──乃木坂でも「16人のプリンシパル」という舞台を3年連続でやっていますが、そことの違いは?

全然違いますね。プリンシパルと違って今回は1つの役を極める舞台なので、そこで得るものはすごく大きいと思います。それに共演者の皆さんは私よりも年上でずっと舞台に立ち続けている方々なので、いろいろ学ばせていただいているという感じで。そういう差があるから、逆に入っていきやすかったかもしれないです。周りの皆さんもリードしてくださったので、私はそれにおののきながら入っていくっていう感じで(笑)。

──ではとてもやりがいがあったのでは?

はい。「虹のプレリュード」にはチャレンジが必要な部分がたくさんあって、本格的な男装も初めて経験したし。歌も1人で1曲通して歌うことなんて、乃木坂にいたらあまりない経験じゃないですか。しかも歌い方も乃木坂とは違って、舞台では感情をメロディに乗せて歌うことが多いから、慣れなくてなかなかうまくいかなくて。それと今回は音楽院でのお話なのでピアノを生演奏するシーンもあるし、それも演技をしているときからまた気持ちを切り替えて弾かなくちゃいけないから大変です。あと、女になったり男になったりっていう早着替えのシーンがとにかく多いんですよ(笑)。それを20秒以内にやらなくちゃいけないから、そこも大きな課題だし。本当にいろんな挑戦が詰まっていて、やりがいがありました。

余裕がなくなって楽しめなくなるのは恐い

──そして12月には山下敦弘監督による初主演映画「超能力研究部の3人」も公開されます。今年後半、かなり演技づいてますね(参照:乃木坂46秋元、生田、橋本が山下敦弘映画主演)。

本当にありがたいです。でも映画のほうは観てくださったお客さんがどんな感想を持つのか、すごく気になりますね。自分たちが観終わったあとも、感想がまとまらなかったので。この映画は原作のストーリーに加えて「そのストーリーを演じる私たち」という裏側の部分も映像に含まれていて、ドキュメンタリー風だけどちょっと違う不思議な内容なんです。きっと観た人は「これ、どこまでが演技で、どこからが素なんだろう?」って思うんじゃないかなあ(笑)。

──ミュージカルではストーリーに沿って終わりまでを演じるわけですが、映画となると場面ごとに撮影した映像を組み立てていくわけで、そこでの演技の表現方法も変わってきますよね。

映画は難しかったですね。その場で監督に言われたことに応えていくっていう、その瞬発力がすごく必要になりますし。今回は初めて演技のことでいっぱい悩んだ気がします。

──例えばどういうことに悩みましたか?

生田絵梨花

今回演じた役って目立たないグループの女の子なんだけど、でも決しておとなしいわけではなくて、超能力が好きになっちゃうような変人ぶりがある子なんです。だからリアクションも普通とは違った感じで、例えばすごく緊張している演技では緊張しすぎて逆に脱力しちゃうとか。自分の中にはなかった新たな表現を監督から教えていただいて、そこに近付けていくのがなかなか難しかったです。結局最後まで「この役になりきれたのかな?」って迷いながら撮影してました。

──そうだったんですね。でも外から見てるぶんにはすごく堂々としてるように見えるし、すべてにおいていい形で物事が進んでいるように見えますよ。

でも今たまたまなんですよね、きっと。舞台をやらせてもらって、映画もやらせてもらって、しかも初めてセンターにも立たせていただいて。ホントに人生のピークなんじゃないかって思ってるんですよ(笑)。だからとにかく今がんばらないとって。でも余裕がなくなって楽しめなくなっちゃうのは恐いので、そこはこの環境に感謝して、1つひとつのお仕事を大切にして、今を一生懸命生きようと思います。

新曲は「映画を1本観終えたような余韻が残る」

──生田さん初センター曲「何度目の青空か?」もいよいよ発売されます。今作は10枚目という節目の作品であると同時に、結成4年目に突入した乃木坂46にとっても今後の活動につなげる重要な作品なんじゃないかと思います。

そこは自分でもすごく感じます。グループ内でもよく「改めて乃木坂っぽい空気とか雰囲気とか出せたらいいよね」と話してますし。

──確かに今回の曲については、よく「乃木坂らしい楽曲」という表現を耳にします。

ギラギラとかチャカチャカとかしてない、さわやかな風を感じる楽曲だし、聴いてるとなぜか落ち着くような雰囲気が乃木坂らしいんじゃないかなという気はしますね。

──なるほど。では最初にこの曲を聴いたときの印象は?

心に迫り来るようなイントロで、すごくシリアスな曲かなと思ってドキドキしながら聴いたんですけど、そうしたら急にサビで弾けるように明るい曲調になって。そういう波というか起伏が面白い曲だなと思いました。

──緩急の付け方は今までの楽曲以上かもしれませんね。しかもイントロやAメロのデジタルなサウンドと、サビでの抜けのいい壮大なサウンドの対比も面白いし。

そうなんです。まるで映画を1本観終えたような、そういう余韻が残りますよね。

──確かに。しかも生田さんのソロパートから始まるところも印象深いですし。

生田絵梨花

初めて歌割りを知らされたとき、ビックリしちゃって。今までシングル表題曲でソロパートを歌った子がほとんどいないので、「これは大変だ……」と気が引き締まりました(笑)。レコーディングでも「ここは声の表情、どうしたらいいですか?」とか「どう歌い分けたらいいですか?」とか、いつも以上に相談しながら歌いました。

──個人的な印象ですけど、乃木坂らしいのと同時に、曲の持つ透明感がすごく“生田さんらしい”なとも思っていて。

本当ですか? ファンの方も「すごくいくちゃんらしい曲だね」と言ってくださって、すごくうれしいです。すごく乃木坂らしい曲ですし、自分はこの曲でセンターとして、乃木坂のイメージの軸になれたらいいなと思ってます。

ニューシングル「何度目の青空か?」 / 2014年10月8日発売 / Sony Music Labels
Type-A [CD+DVD] / 1650円 / SRCL-8621~2
Type-B [CD+DVD] / 1650円 / SRCL-8623~4
Type-C [CD+DVD] / 1650円 / SRCL-8625~6
通常盤 [CD] / 1050円 / SRCL-8627
Type-A CD収録曲
  1. 何度目の青空か?
  2. 遠回りの愛情
  3. 転がった鐘を鳴らせ!
  4. 何度目の青空か?~off vocal ver.~
  5. 遠回りの愛情~off vocal ver.~
  6. 転がった鐘を鳴らせ!~off vocal ver.~
Type-B CD収録曲
  1. 何度目の青空か?
  2. 遠回りの愛情
  3. 私、起きる。
  4. 何度目の青空か?~off vocal ver.~
  5. 遠回りの愛情~off vocal ver.~
  6. 私、起きる。~off vocal ver.~
Type-C CD収録曲
  1. 何度目の青空か?
  2. 遠回りの愛情
  3. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
  4. 何度目の青空か?~off vocal ver.~
  5. 遠回りの愛情~off vocal ver.~
  6. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた~off vocal ver.~
通常盤 CD収録曲
  1. 何度目の青空か?
  2. 遠回りの愛情
  3. Tender days
  4. 何度目の青空か?~off vocal ver.~
  5. 遠回りの愛情~off vocal ver.~
  6. Tender days~off vocal ver.~
乃木坂46 (ノギザカフォーティシックス)

乃木坂46

2011年8月に「AKB48の公式ライバル」として誕生したアイドルグループ。グループ名の「乃木坂」は最終オーディション会場の「SME乃木坂ビル」、「46」は「AKB48より人数が少なくても負けないという意気込み」に由来する。総合プロデュースはAKB48同様、秋元康が担当。全国規模のオーディションにより、3万8934人の応募の中からスターティングメンバーとして33名が選出された。2012年2月にシングル「ぐるぐるカーテン」で待望のメジャーデビュー。オリコン週間ランキングで初登場2位を記録し、20万枚を超えるセールスを記録した。以降、2ndシングル「おいでシャンプー」から9thシングル「夏のFree&Easy」まですべてのシングルがオリコン週間ランキングで初登場1位を獲得。また2013年10月には国立代々木競技場第一体育館、同年12月には日本武道館、翌2014年2月には横浜アリーナで単独ライブを行い、大成功を収めた。2013年5月には2期生が加入、2014年2月にはSKE48からの交換留学生・松井玲奈も加わり、2014年9月末現在計43名が在籍している。5月30日からは6月15日にかけて、東京・赤坂ACTシアターで劇場公演「16人のプリンシパル trois」を実施。8月には東京・明治神宮球場公演を含む「真夏の全国ツアー2014」を全国5都市で開催し、約10万人を動員した。10月8日に通算10枚目のシングル「何度目の青空か?」をリリースする。