西岡秀記|社長を辞め、音楽に賭けたシンガーソングライターが伝えたいこと

ソングライターとして後世に名を残したい

──お金の話をされたとき、西岡さんはどうするんですか?

西岡秀記

最初は抵抗があったんですけど、これはもう避けては通れない道だと思って、堂々と話すようにしてます。もちろん、お金を稼ぐのは一種の自己実現につながるので、みんな興味があるのは当たり前なんですよ。ただお金を稼ぐだけの人生にあまり意味を見出せなくなったから、俺はこうやってシンガーソングライターをやってるわけなんです。金のために生きることって、終わらないレースを走り続けてるみたいなもので、正直むなしいんですよ。アーティストになる前は、金になりそうな事業とかにもすぐ食いついていたけど、今はだれがどんな事業をやって成功しようがまったく興味がないし、儲かってる話とかを聞かされてもうらやましいと思わない。「一緒にビジネスしませんか?」みたいな話が今でも来るんだけど、キッパリと全部断っています。

──それは西岡さんがシンガーソングライターだからなんですね。

そう。真剣に曲を書いて詞を書いて、情熱を持って歌ってたら、事業に手を出してる時間も余裕もないんです。俺は金のために音楽をやってない。自分の信念を貫き通していれば、金はどうせあとから勝手に付いてくるものだから。今は大阪城ホールとか、横浜アリーナとか、大きい会場を満席にするようなライブをやるのが目標。何かソングライターとして後世に名を残すことをして一生を終えたいんです。

やりたいことに向かっていくべき

──人生経験で得た気付きや教訓が、西岡さんを突き動かす原動力になっているんですね。

自分だけじゃなくて、ほかの人の人生も突き動かしたい。だから曲を書いて歌っているんです。それと、特に若い世代には伝えたいことが多いですね。

──若い世代にどんなことを伝えたいですか?

とにかく20代の人にはお金をいっぱい使ってほしい。そのためにいっぱい稼いで、そのお金で欲しいものをいっぱい買うこと。そして必要とあればお金を武器に社会や権力者と戦って、自分の夢の実現に少しでも近付いてもらいたいですね。若いときに武器にできるものってお金くらいしかないですから。もちろん実力があって、お金以外のものを武器にできるのであれば、それに越したことはないんですけど。

──同世代や、上の世代に伝えたいはありますか?

30代になると死と直面する機会が増えてきて、若いときと価値観が変わってくるんです。思いやりや感情が育ってくるのが30代だと思う。それで、人生はお金がすべてじゃないなって気付き始める。20代の時期のような若さや輝きは失われてしまって「第2の人生をどう生きよう」とか悩んでいるかもしれないけど、10年後にはそんなこと絶対忘れてるから。やりたいことがあるなら、その思いに従って絶対に今すぐ向かっていくべきです。まだいかようにもなりますから。上の世代の人たちに対しては、まだ自分が経験していないので偉そうなことが言えないんですけど、とにかく健康に気を付けてください(笑)。俺も健康には気を付けます。

西岡秀記