ナタリー PowerPush - ニホンジン

仙台発!現在最注目ユニットの横顔を追う

スゲーいい話を聞いたんだから伝えなきゃ!

ニホンジン

──確かに街の料理人や学校の先生から、宮城県知事、お笑い芸人のサンドウィッチマンの働く姿までを歌う「職業ソングプロジェクト」はニホンジンを特徴付ける大きな要素の1つではあるんだけど、さっき今井さんが言った通り「職業ソング」って他人のことを歌う歌ですよね。そこでアーティストエゴとプロジェクトの理念の板挟みになったりはしなかった?

佐々木 並行してオリジナル曲を作ってたので、アーティストエゴが満たされない、みたいなことはなかったですね。

佐久間 あと、これはいいことなのかわからないんですけど、オレ自身には言いたいことってそんなにないんですよ。「これ伝えなきゃ!」っていうことは別になくて。人から聞いた面白い話を伝えるっていうことのほうがオレにとっては、はるかに面白いんです。「スゲーいい話を聞いたんだから伝えなきゃ!」っていう気持ちになったときのほうが曲にも言葉にも勢いが付くんですよね。それに人の話をもとに歌詞を書いているうちに自分にも実は伝えたいことがあったって気付くこともありますし。

──プロジェクトを始めてグループを巡る状況って変わりました?

今井 じわじわ話題を集めてきたプロジェクトなので、目に見えて大きな変化があったわけではないんですけど、例えばもう1つやっている「受験生応援プロジェクト」のために地元の高校に取材のオファーをするとき、「職業ソングプロジェクト」の1曲目の「教師」っていう曲をサンプルとして渡したら先生から「いい曲ですね」って言っていただけたりとか……。

佐久間 「聴きました」「いい曲ですね」って言ってくれる人がだんだん増えてきているっていう実感はありますね。

佐々木 ただ去年の今頃、15人限定ワンマンライブをやって13人しか集まらなかったりもして(笑)。それが去年の12月にはdarwinに360人動員できて。だからホントにじわじわと注目を集めてきたっていう感じなんです。

「キミハツ」コラボ=超ぜいたくな社会科見学

──そしてこのたびオロナミンCブランドの「キミハツ」キャンペーンの企画の一環として、キャンペーンが追いかけている人たちの“職業ソング”を作ることになった(参照:ニホンジン×「キミハツ」キャンペーン)。

佐々木 ただプレッシャーみたいなものは実はなくて。これで多くの人に知ってもらえる!って感じで、すごくうれしいんですよ。

佐久間 あと、“職業ソング”が始まってから「いろんな人の話をどんどん聞きたいな」っていう気持ちになっていたので「これでまたいい話聞ける」っていうワクワクが大きかったですね。

今井 超ぜいたくな社会科見学って感じだよね(笑)。

──あはははは(笑)。で先月、まず「キミハツ」のテーマソング「未来」を発表して、今回は「キミハツ」と「職業ソングプロジェクト」のコラボ第1弾となる楽曲「夢のキックオフ ~でいごの花が咲く日まで~」の配信がスタートしています。この曲の主人公はFC琉球の新垣勇太主務、沖縄にサッカーの女子チームを作るべく奔走している方ですけど、取材はどのようなスタイルで?

佐々木 FC琉球が東京に遠征しているときに1時間くらいお話させていただきました。で、お話を聞きながら、いいフレーズやいいエピソードが出てきたら「あっ、これはAメロの詞になりそうだなあ」って想像したりして(笑)。

人と会うなら意外性があったほうが面白い

ニホンジン

──実はそこが気になってたんです。インタビューした音声やテキストをどうやって詞にするんだろう?って。

佐々木 お話を伺っている最中からイメージが膨らむことがけっこう多いですね。「あっ、けっこうテンションの上がる話だから、これはサビになりそうだな」とか。で「Bメロではちょっとメロディや詞の世界を落ち着かせたいな」なんて感じで曲のアイデアが膨らんだら「ご苦労なさった点は?」なんて聞いてみたりもして(笑)。

佐久間 きちんと詞やメロディになるかどうかは別として、お話を聞いていてグッときたフレーズをとにかく洗い出すんですよ。で、これはオレだけなのかもしれないんだけど、その中でも「ここだな!」っていうポイントをつかんだら、そのフレーズからサビの歌詞とメロディを作って、Aメロ、Bメロって広げていってます。

佐々木 あっ、それは一緒かも。今回の曲って作詞と作曲は僕なんですけど、やっぱりそういう作り方をしてますね。

佐久間 以前、取材前にその人の職種から「この曲はバラードになるんじゃないかな?」ってなんとなくイメージしていったら、実際にお会いした方がすごく明るい方だったことがあって。でもそれがすごく面白かった。せっかく人と会うんだから、そういう意外性があったほうがいいと思ってるので、曲を先にガッチリ書いてから話を聞くようなことはしない。お話を聞きながら意外な発見があったら、そこを頼りに曲に落とし込むって感じなんですよね。

オロナミンC “キミハツ”キャンペーン

「オロナミンC」“キミハツ”キャンペーン

大塚製薬「オロナミンC」ブランドが2014年2月にスタートしたキャンペーン。オロナミンCのキャッチコピー「元気ハツラツ!」になぞらえた「未来をハツラツにできるか。」をテーマにイマドキの働く若者を応援する。公式サイトでは動画、写真、ロングインタビューを通じて、現代のさまざまな職業事情や、ワーキングスタイルをレポートし、また働く先輩からの提言、ライフハック術なども紹介する。6月からはこのキャンペーンの一環として、宮城・仙台を拠点に活動する音楽ユニット、ニホンジンとコラボレーション。ニホンジンの3人が働く若者を直接取材し、その言葉をもとに制作した楽曲の数々を無料配信するサービスを行っている。

ニホンジン

ニホンジン

東北大学在学中にエムサイズ佐久間(Vo)、リュックサック今井(G)、ペンション佐々木(B)が結成した宮城・仙台在住の3人組。さまざまな職業の“想い”を歌にする「職業ソングプロジェクト」を立ち上げ、「知事」「お笑い芸人」「教師」「新聞記者」「タクシー運転手」「美容師」など多数の楽曲を発表中。これらの楽曲を収録したCDは仙台市内のみで手売りするという販売形態をとりながら、その販売枚数は2014年6月現在、累計8000枚を突破。2014年7月、宮城・日立システムズホール仙台で初のホールワンマンライブ「547人限定 夏のニホンジン」を成功裏に収め、2カ月後の9月には宮城・電力ホールで2度目のホールワンマンを実施するなど、仙台で大きな人気を誇るバンドとなっている。また学生ながら嵐やSexyZoneに楽曲を提供し、YouTubeには毎日【今日のニホンジン】という動画をアップするなど多彩な才能も発揮する。