解散だからといって、しんみりするのはイヤ
──5thアルバム「SOAK」に関してはいかがでしょうか?
沙田 「ETERNALBEAT」と同じ2017年に出してるんですよね。「ETERNALBEAT」をリリースしたあとに間髪入れずに制作に入ったんですけど、前作で感じたことを生かせたアルバムだと思います。「ETERNALBEAT」はバチバチに音を入れた感じだったから、「SOAK」ではもっとシンプルなアンサンブルにしたいなと。
蒼山 「DANCER IN THE HANABIRA」「サタデーナイト」「水中都市」は中野さんにアレンジをお願いしたことで、「アシンメトリ」と同じようにスケール感のある曲になりましたね。「水中都市」は曲の後半がバンドサウンドになるんですけど、中野さんがメンバーのカラーを考えながらアレンジしてくれたんです。ライブでも独特のエモさが出てると思いますね。
藤咲 「水中都市」のレコーディングのことはよく覚えてます。中野さんのスタジオに1人ずつ行って録音していったんですが、メンバーの中で私が最後で。録音自体は15分くらいで終わって、あとはずっと世間話しして(笑)。あんなにリラックスしたレコーディングはなかった気がします。
──新曲「LAST SCENE」についても聞かせてください。これがねごとにとって最後の曲になるんですよね。
沙田 はい。結果的に最後の曲にふさわしい曲になったと思います。実はデモは以前からあったんですが、解散を決断した後、話し合いの中で「最後に1曲、ファンにプレゼントしたい」ということになってこの曲が候補に挙がったんです。もともと歌詞に「LAST SCENE」という言葉が入っていたので、それをブラッシュアップしながら作詞しました。
藤咲 もとになる歌詞は瑞紀が書いたんですが、Dメロの歌詞がすごくて。
澤村 「この先でまた会えるように~」のところですね。
藤咲 「ここにこの言葉を入れるんだ!?」ってウルッと来ちゃいました。未来が楽しみになるというか、すごく前向きな歌詞だし、私たちの気持ちを表してくれてるなって。
澤村 解散だからといって、しんみりするのはイヤだねって話してたんですよ。
沙田 「生きていく」ことが人生の最大のテーマだと思うし、最後にジメジメした曲を出したくなかったので。
蒼山 でもこの曲、ライブでやったらエモくなっちゃいそうだよね……。
ねごとらしさとは?
──さて5月28日の東京・LIQUIDROOMを皮切りにラストツアーがスタートします。
澤村 “ありがとうツアー”ですね。
藤咲 私たち全部で80曲くらいリリースしてるんですけど、その中から厳選してお届けする予定です。
沙田 本当は全部やりたいくらいの気持ちなんですけど、それよりはライブとして一番いい形にしたくて。ベストツアーにふさわしい曲でセットリストを組んでいるので、あとはどれだけ自分たちの気持ちを乗せられるかですね。
藤咲 実はスタジオで自分たちの曲をほぼすべて演奏してみたんです。
沙田 「この曲を演奏するのは、もう一生ないかもしれないよ」と言いながらね(笑)。
澤村 記念じゃないけど……。
藤咲 思い出だよねって(笑)。ひさしぶりに弾く曲もけっこうあったんですけど、「なんでこんなアレンジにしたんだろう?」という曲もあって。
蒼山 リハをやりながら、いろんな思い出がよみがえってきましたね。初期の頃はほとんどの曲で私が鍵盤を弾いてるんですけど、音色を数えてみたら100くらいあって。「これだけ作ってきたんだな」と重みを感じるというか。
澤村 最初のほうの曲は速いエイトビートが多くて、最近はミドルテンポが増えていったなとか。「これ、どうやって叩いてたんだろう?」と思う曲もありました。大変だけど、どの時代の曲もしっかり演奏したいです。
沙田 そう言えば、バンドのノリも変わってきたよね。
澤村 以前は思い切りエモーショナルにやっていた曲を意外とサラッとできたりもするし。
蒼山 そう、やりやすくなってるなと感じる曲もあるんです。曲を作った頃とは心境が変わっていたり、今の自分と比べるといい意味で距離やギャップがあったり。ライブでの曲の聞こえ方も違うだろうから、そういう部分も楽しんでもらえたらうれしいです。
──ベストアルバムの制作、ツアーのリハーサルを通して、これまでの楽曲に改めて向き合うことも多かったと思いますが、その中で感じた“ねごとらしさ”ってなんですか?
沙田 そうですね……アレンジが変(笑)。
澤村 ポップなんだけど、ちょっと普通ではないよね。
藤咲 音も儚げだったり、哀愁があったり。元気な曲の中にもそういう要素があるかも。
蒼山 あんまり明るくはないね(笑)。どこか切なくて、エモくて。
沙田 それと何回か聴きたくなる曲が多いと思います。繰り返し聴いて、腑に落ちるというか。
──最後に、皆さんにとってねごととしての12年間はどんな時間でした?
蒼山 いい時代。
澤村 普通に生きていたら、全国ツアーなんてできないですからね。全国各地でおいしいものを食べたり。
沙田 いい時期にバンドをスタートできたと思います。デビューしたあとにパッケージだけじゃなくて、配信の時代に移行して。私自身もそうですけど、音楽の聴かれ方が変わってきたじゃないですか。それを目の当たりにできたのは面白いなって。
藤咲 あと恵まれてたよね。
蒼山 うん。私たちはバンドを組んだ当初プロを目指していたわけではなくて、たまたま「閃光ライオット」に出ることができてデビューすることになって。技術もプロ意識も足りなかったけど、私たちの中にある可能性を信じてくれた人たちがいて、ずっとサポートしてもらいながらここまで来れた。解散を決めてから、これまでのことを振り返ることも多いんですけど、本当に恵まれているなと感じます。
ツアー情報
- お口ぽかーん!LAST TOUR ~寝ても覚めてもねごとじゃナイト~
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- 2019年5月28日(火)東京都 LIQUIDROOM
- 2019年6月1日(土)大阪府 BIGCAT
- 2019年6月2日(日)香川県 DIME
- 2019年6月8日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2019年6月14日(金)北海道 cube garden
- 2019年6月21日(金)福岡県 DRUM Be-1
- 2019年6月22日(土)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2019年6月28日(金)宮城県 darwin
- 2019年6月30日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2019年7月14日(日)京都府 KYOTO MUSE
- 2019年7月15日(月・祝)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2019年7月20日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO