ネクライトーキー|音楽フリークに捧ぐ 人間らしさいろいろ詰まった3rdアルバム

80年代の雰囲気を取り入れる

──今作には「八番街ピコピコ通り」「豪徳寺ラプソディ」とタイトルに地名が入った曲が2曲ありますが、「カニノダンス」にも笹塚や千葉という地名が出てきますね。

朝日 豪徳寺や笹塚は単純にスタジオとか行き帰りのときとかに経由して、なぜか印象に残っている土地で。千葉はなんとなく海を見たいと思ってたんです。九十九里浜とか。印象に残ってる場所の名前を使っちゃうんですよね。電車に乗っていて、なんとなく駅の名前とか眺めながら「あーここが笹塚か」みたいに。昔見たアニメの舞台が笹塚だったな……みたいに頭の中でいろいろ巡って。

──「八番街ピコピコ通り」は「デュワデュワ」とスキャット的なフレーズが出てきて、古めかしい雰囲気があります。楽曲のアレンジも歌詞と同じように浮かんでくるんですか?

朝日 このアレンジはスタジオで合わせているときにふと出てきたもので、80年代の雰囲気にしたかったんです。イントロで鳴るドラムの音とかすごくよくて、「ちょっと80年代っぽさを出しません?」とタケちゃんにお願いして、そういうサウンドにしてもらいました。

カズマ・タケイ(Dr)

タケイ 80年代風をまるまる再現しようとするとこの曲だけ浮くんですよね。なのでアルバム全体のバランスを取ったドラムのサウンドメイキングをしました。

朝日 ほかの曲とサウンド的に差が出すぎてもよくないので、音色のバランスは難しいところなんですよね。振り切ろうと思ったら、電子ドラムでビンテージっぽい音作りもできるけど、ネクライトーキーのアルバムに入るとしたら違うなと。

中村 シンセの音色に関しては80年代の雰囲気を気にせずに、ネクライトーキーのど真ん中という感じ。ドラムとギターが80年代に寄せてたから。ピコピコをいかにうまく弾くかはこだわりました。足のペダルと打鍵のタイミングを間違えるとリズムが崩れやすいんですけど、なんとか人力で弾いてます。

──「豪徳寺ラプソディ」の豪徳寺は招き猫で有名な街ですね。

朝日 この歌詞は本当に豪徳寺を歩いた次の日に書いたんです。この曲は特殊で、ポップスじゃないんですよね。ギターはすごくうるさいし、この曲だけ違うバンドに感じるくらい。ギターリフから作ったからか、本当にギター曲って感じですね。この曲だけジャズマスターを弾いていて、普段と違う感じになったからその部分も気に入ってます。もっさにはけだるく歌ってもらって、Pavementっぽくしてます。

もっさ レコーディングで一番要望が多く出た曲でした。普段はそんなに細かく指示されないんですけど、この曲だけはすっごい言われて、時間がかかりました(笑)。

“かえるくん”は今

──アルバム後半にはインタールード的な楽曲「思い出すこと」が入っています。

朝日 実は「大事なことは大事にできたら」をこういうアレンジにしたかった、というのを形にした曲なんです。歌詞もリズムも違うんですけど、メロディとコード進行が一緒で、ピアノだけで歌うバージョンがすごくよくて、今回インタールードっぽく入れることにしました。曲順を考えたのは曲が全部できてからなんですけど、旅の思い出を語る次の曲「続・かえるくんの冒険」ともつながるし、いいメロディなので入れられてよかったです。

──アンビエントな感じがいいですよね。ピアノのペダルを踏む音なども聞こえて。

朝日 本来なら余計とされる音も全部入れてます。ルームマイクも生かして、むーさんの足音の音もあえて入れて。

中村郁香(Key)

中村 部屋に入ってくるところから音を拾って、弾き始めるみたいな。

──次の「続・かえるくんの冒険」はアイリッシュっぽい曲調で、ノスタルジックな雰囲気もあります。

朝日 昔、コンテンポラリーな生活で「かえるくんの冒険」という曲を書いて。この曲は「若い頃に何も知らなかったかえるくんは、今こうしてるよ」っていう続きの歌なんです。俺の中では「冒険」というとゲームの印象があって、特にファンタジー系のRPGとアイリッシュ音楽は相性がいいと思うんですね。自分はRPGがすごく好きで、ゲーム内の冒険での感動を曲にできたらいいなと。ゲームを進めていく中で新しい世界がグワーッと開けていく瞬間をイメージして作りました。あとMVは車に乗ってキャンプしに行くという内容なんですけど、もっさの目が一番開く瞬間はマシュマロを食べた瞬間(笑)。

もっさ 楽しかったです(笑)。

もっさがギターヒーローだったら

──「Mr.エレキギターマン」は朝日さん作詞、もっささん作曲ですが、この組み合わせは初めてですよね。

朝日(G)

朝日 もっさが「ギターの曲にしたい」と言っていて。

もっさ ふんわりあったイメージでこういう歌詞にしたいって話したら「俺、歌詞書くよ」と初めて言われて、うれしかったです(笑)。まるで応援歌のように感じるので、好きな曲です。シンプルに元気が出る曲を作ろうと思ってたところで、この歌詞が乗ったことで意外と泣ける曲になったなのもよかった。

──「心の中、燃やす音楽を」と熱い言葉もありますし。

朝日 その部分のもっさのボーカル、すごくいいテイクが録れたんですよね。もしもっさがギターヒーローだったらこういう感じかなあと。

もっさ えっ!? 私が煽られてる側やと思ってた。

朝日 いやいや、もっさが煽っている側や。

もっさ そうなんや! それならカッコええな!

──アルバムを締めくくるミディアムチューンの「夢を見ていた」は、ハンドクラップで合唱という新しいスタイルのアレンジになっています。

朝日 全員でこんなに歌うことなかったよね。

タケイ レコーディングブースでも合唱スタイルで録音したんですよ。マイクを2本並べて5人でいっぺんに。

藤田(B)

藤田 もっさが真ん中、タケちゃんとむーさんが前列。その後ろの列に声のでかい私と朝日が立って。

──この合唱アレンジにはどういう経緯で行き着いたんですか?

朝日 イントロのフレーズに歌詞を付けることにして、作っていくうちに「この曲は合唱だな」と。「残りはどうにも少ない水筒」って歌詞のあたりはもっさだけに歌ってもらおうかなって思ったんです。でも聴いているうちに「いや、ここも全員だな」って(笑)。みんなに歌で参加してほしかったから、もっさだけが歌うのは1ブロックのみという珍しい曲になりました。ハンドクラップもギターも一緒に録って。レコーディング自体、楽しくできました。

──アルバムを携えたツアーは、ネクライトーキー史上最大の本数で北海道から沖縄まで23公演あります。

朝日 今回アルバムにライブ映えする曲がたくさんあるので、ぜひ生で聴いてほしいです。もっさの歌が映えることも多いので、いいライブにしたいです。

もっさ アルバムのよさを100%出せるようにライブがんばります!

ツアー情報

ネクライトーキー「FREAK」リリースツアー 「ゴーゴートーキーズ! 2021」
  • 2021年6月19日(土)神奈川県 1000 CLUB
  • 2021年6月20日(日)群馬県 高崎clubFLEEZ
  • 2021年6月26日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
  • 2021年7月1日(木)静岡県 Shizuoka UMBER
  • 2021年7月3日(土)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
  • 2021年7月4日(日)石川県 Kanazawa AZ
  • 2021年7月8日(木)京都府 KYOTO MUSE
  • 2021年7月10日(土)兵庫県 ART HOUSE
  • 2021年7月11日(日)広島県 LIVE VANQUISH
  • 2021年7月15日(木)鳥取県 米子 AZTiC laughs
  • 2021年7月16日(金)岡山県 CRAZYMAMA 2nd room
  • 2021年7月24日(土)香川県 DIME
  • 2021年7月25日(日)愛媛県 松山サロンキティ
  • 2021年7月29日(木)山口県 LIVE rise SHUNAN
  • 2021年7月31日(土)熊本県 熊本B.9 V2
  • 2021年8月1日(日)福岡県 DRUM Be-1
  • 2021年8月24日(火)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2021年8月25日(水)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2021年8月28日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2021年9月4日(土)沖縄県 Output
  • 2021年9月17日(金)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2021年9月19日(日)大阪府 なんばHatch
  • 2021年9月30日(木)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
ネクライトーキー