ネクライトーキー|音楽フリークに捧ぐ 人間らしさいろいろ詰まった3rdアルバム

ネクライトーキーが5月19日に3rdアルバム「FREAK」をリリースする。

「FREAK」は前作「ZOO!!」から約1年5カ月ぶりとなるオリジナルアルバム。ポップでキャッチーな楽曲で多くのファンを獲得したネクライトーキーだが、新作はこれまで以上にさまざまな感情表現に満ちた作品に仕上がっている。音楽ナタリーではアルバムの制作エピソードや楽曲に込めた思いをメンバー全員に聞いた。

取材・文 / 田中和宏 撮影 / Kana Tarumi

ネクライトーキーはキメラっぽい

──アルバムタイトルの「FREAK」には「珍しい、熱狂的」といった意味がありますね。

朝日(G)

朝日(G) 「ZOO!!」を作り終えたあとになんとなく浮かんだ「FREAK」っていう言葉の響きがいいなと思ってまして、メンバーにはずっと言わず温めていて。アルバム制作の中盤を過ぎたあたりで「このタイトルどう?」と相談してこれに決めました。“フリーク”というワード自体はいろんなところで使われてますけど、“音楽フリーク”だと“音楽に熱中している人”みたいな使われ方で。意味合い的にストレートでもなく、かと言って伝わりづらい言葉でもないバランスのいい言葉だなと。あとはなんとなく大文字で並べたときの見栄えが、AとKとRが入ってるから「AKIRA」ぽくていいなって(笑)。

もっさ(Vo, G) ほんまにそれ?(笑)

朝日 うん(笑)。俺はこの黒文字ロゴともっさが描いたジャケットで見たときに「やっぱりAKIRA感あるな」と思ったから(笑)。

もっさ 私は「AKIRA」を意識してないよ(笑)。ジャケットのキャラクター(フリークくん)は私の中だとちっちゃいキメラみたいなイメージで。

──キメラは別々の生き物が合体した異質同体のことですよね。

もっさ 厳密に何と何とは言わないけど、キメラってバンドっぽいなと思ったんです。それを表現しようと思ってネクライトーキーの一眼マークをモチーフにしました。

──イラストのテイストや色使いには少しおどろおどろしさもありますね。

もっさ(Vo, G)

もっさ このアルバム自体があっけらかんと明るいイメージじゃなかったので、こういうイラストになりました。アルバムを作っていく中で、今までよりちょっとだけ暗く感じて。悲しくはないけど、寂しげな印象があって。フリークくん自体はアルバムの楽曲だけではなくて、ネクライトーキーというバンドをイメージして作りました。鳥みたいな足の人がいて、チョウチンアンコウみたいな人もいて、そういういろんな個性が集まるからバンドなんだなって思ったんですけど……伝わりにくい?

──もっささんの感じるネクライトーキー像でもあるということですね。

もっさ そうです。あと脆い感じにしたかったからすぐ殺せそうなところに心臓があるんです。

朝日 ああそういうことなんだ。心臓がど真ん中にあるのが印象的だなって思ってた。

もっさ すぐ死んじゃうくらいのちっちゃくてかわいいキメラを描きました。

ネクライトーキー

超怖い人かと思ったらすごく優しい人でした

──アルバムの全体像としては、バンド初期からあるポップさがありつつ、これまでよりもコミカルな要素が減って少し落ち着いた雰囲気があります。

朝日 曲を作るにあたって、「FREAK」以前まで真剣さの強い曲をあんまり作らなかったのは理由があるんです。曲には作った人のパーソナルな面が出るから、絶対に自分の人間性からは外れないと思っていて。俺だって冗談を言うこともあれば冗談じゃない部分もあるし、別に普段から暗いタイプの人間でもない。だから8割は明るく、2割は真剣に歌おうかと思っていたバランスが年齢を重ねて変化していることを含めて、俺の人間性そのままになってるんです。歌にしたいことが複雑になってきているけど、シンプルでキャッチーなパンチラインがあっていいし、ふざけててもいい。もっと言うなら伝わらないようなことがあってもいい。でも大事なことは大事にしたいという思いが今はけっこう強くて。そのバランスが、勢い付けて駆け抜けてきた20代の頃から変わってきて。だんだんと自分の作りたいアルバムにすごく近付いていってる感じはあります。

カズマ・タケイ(Dr) 歌詞を見て、今までと雰囲気が違うと感じましたよ。より根っこの部分のことを書いてるような。

藤田(B) 朝日は以前からやっているバンドの泥臭くて人間臭い感じを、ネクライトーキーではあんまり見せなかった。でも、このアルバムに関しては“人”が見える歌詞が多いなって。20代の頃のアウトプットとは違って、人間臭いところが今回けっこう出てるような。

もっさ 私は昔の朝日さんは知らないけど、朝日さんが作ってきた曲は昔から知ってます。その曲と歌詞だけで見たら、すごく優しい人になった感じがします。初めて会うまでは、超怖くてギャーギャー愚痴を言ったりヘイトをぶちまけたりするような人なのかなって勝手に思ってたんですけど(笑)。意外とそうでもなくて、会ったらすごく優しい人でした。今回の曲たちは会ったときの印象に近いです。

中村郁香(Key)

中村郁香(Key) 前作までは昔のこととか、相手に対して思った嫌なことを曲にぶつけるイメージが確かにありました。相手に対してこうできたら、みたいな気持ちが増えてるような。朝日さんの印象が優しい人になった感じはする。

藤田 コンテンポラリーな生活に「かえるくんの冒険」という曲があって、その歌詞は投げやりなんですよ。何も世間を知らない若者をちょっと軽視するような曲で。今作の「続・かえるくんの冒険」という曲は、その若者が大人になって、優しさを手に入れている過程を歌ってるんです。朝日さんが年齢を重ねてこの歌詞を書くようになったというのが、なんだか面白かったです。

朝日 分析されると恥ずかしいな(笑)。

一同 (笑)。

──朝日さんの場合、喜怒哀楽の中だと怒りの感情が一番曲に落とし込みやすいのかなと思ってました。

朝日 昔からヘイトを曲にしてたので、確かに周りからはそう見えてたと思います。でも当時からそれに対して違和感はあって。最近は、「わからないことがあるってわかってきた」という歌詞が書けるようになりました。モヤモヤしてた自分の正体は、怒りとか不安とかそういうものだと思ってたけど、それだけじゃないんだなって。