ネクライトーキーがテレビアニメ「秘密結社 鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~」のオープニングテーマ「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」を配信リリースした。この曲は3月に行ったプリプロの生配信企画「無観客REC生配信」でのセッションを経て完成したキャッチーな楽曲。繰り返される「チャカポコ」というフレーズが強烈なインパクトを放っている。
「秘密結社 鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~」では、悪の秘密結社・鷹の爪団がたったひと言で人間を意のままに操れる太古の呪文「ゴールデン・スペル」を蘇らせることに成功し、世界征服を目論むも、何者かによって盗まれてしまう。そのスペルを取り戻すために調査に乗り出す中で鷹の爪団が徐々に巨大な陰謀に巻き込まれていくというストーリーで、“言葉”をテーマにした「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」の歌詞は番組の内容と絶妙にリンクしている。
音楽ナタリーではメンバー全員にリモートインタビューを実施。楽曲についてのサウンド面でのこだわりや、歌詞に込めた思いなどを掘り下げた。さらに9月に東京と大阪で行ったワンマンライブ「ゴーゴートーキーズ! 2020 野外音楽堂編」で7カ月ぶりにファンの前で演奏した際の心境、12月に行われる5都市ツアー「ゴーゴートーキーズ! 2020 師走」への意気込みを語ってもらった。
取材・文 / 田中和宏 ライブ撮影 / 垂水佳菜
演奏する楽しさが詰まった新曲
──テレビアニメ「秘密結社 鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~」のオープニングテーマに採用された新曲「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」(以下「CHAKAPOCO」)が配信リリースされました。スタジオ音源ながらライブバンドの魅力が凝縮されたような愉快な雰囲気の楽曲ですね。
朝日(G) 演奏するのがすごく楽しい曲になりました。これまでラフの状態から勢いだけで作っていく曲がなかったんですけど、この曲はあんまり難しいことは考えずに作れたかな。バンドとして楽器を鳴らすという方面の幸せを探ったというか、単純にみんなで音を鳴らすのが楽しいな、リフを弾くのもワウを踏むのも楽しいな、鍵盤の音が鳴ってて気持ちいいなという、「演奏する楽しさ」が第一にあればいいなと思って作った曲です。
もっさ(Vo, G) 3月にレコーディングの様子を生配信したときに作った曲なので、制作過程もありありと露見させながら、隠すことなく作ったんですよね。
──この曲の種になるものは、生配信の前にもうあったんですか?
藤田(B) 朝日が「こんなんやりたい」とイントロリフだけ弾いて、それに「いいリフだね」なんてやり取りをしたことはありました。
朝日 レコーディング配信の前日に、ギターのコード弾きと鼻歌くらいは教えたかな。
中村郁香(key) 配信レコーディングでは今までで一番、好きなように弾けた感じがします。合わせ始めた時点で鼻歌とコード以外に形がなかったこともあって、わちゃわちゃ楽しくできました。
カズマタケイ(Dr) いつもは朝日がかっちりデモを作ってくるんですけど、今回は本当にラフスケッチだけで。ネクライトーキーとしては新しい試みで、作る過程も楽しかったです。
遊び半分に聞こえる楽しい掛け合い、実はシビア
──「演奏する楽しさを意識した」とのことですが、できあがった楽曲のアレンジや構成はなかなか複雑ですよね?
朝日 完成してみたら化け物クラスで難しかったです(笑)。サビのキャッチーさを気にしすぎるとアレンジの選択肢が減るので、「曲のここだけ覚えてね」というキャッチーな部分は全部チャカポコという言葉に託すことにしました。それ以外のパートがどんなに難解なアレンジになっても、結果としてみんなチャカポコで覚えてくれるだろうと思って。キャッチーなフレーズの力に頼ったからこそできた小さなチャレンジが積み重なってこういう構成になりました。
──アレンジについてもお聞きしたいんですが、冒頭でもっささんが思いっきり「チャカポコー!」と叫ぶパートがありますよね。あれは叫んでというディレクションがあったんですか?
朝日 デモ段階ではそういう形ではなかったんですけど、歌録りのときにもっさがやり始めて。
もっさ 私には朝日さんが作ったデモの段階で叫んでいるように聞こえたんですよ(笑)。朝日さんのうなり声も入ってたから、それに負けないようにしたからああなったんです。
──なるほど。もっささんとほかのメンバーによるコミカルな掛け合いパートは曲にゆるい空気感をもたらしていますが、どういうシチュエーションで録ったんですか?
朝日 実はその部分、けっこうシビアなレコーディングになったんですよ。もっさが言うチャカポコにニュアンスを寄せてほかのメンバーがレスポンスするというだけなんですけど、意外とリズムがバラけやすくて難しかったです。
藤田 音程はみんな気にしないでレスポンスしてよかったんですけど、リズムと言葉をしっかり合わせないと、ゆるいけどまとまった感じにならなくて。「Say CHAKAPOCO」なのか「Hey CHAKAPOCO」なのかも聴き間違えないように。
朝日 もっさがなんてコールしてるのかメモったよね(笑)。
中村 もっさの歌をよく聴くと「チャカポコ」と言えてないところもあるんですよ。
もっさ え、あった?
藤田 あるある(笑)。
もっさ 私はラフに楽しく歌っただけなのに、そのあとメンバーにめっちゃ分析されててちょっと恥ずかしかったです(笑)。
──ほかには、エンディングでフェードアウトかと思いきやフェードインして曲が終わるというアレンジも珍しく感じました。
朝日 あれはエンジニアの遊び心ですね(笑)。いつのまにかフェーダーを上げ下げしてたんですけど、「いいじゃんこれ」ってことで採用になりました。
タケイ 僕はエピローグ的にチャカポコのコール&レスポンスでフェードアウトしていくというのをやりたくて提案してたんですよ。そしたら思った以上にエンジニアが遊んでくれて、すごく面白い仕上がりになってました(笑)。
「俺は吉田くんの声をミックスしてるぞ!」
──「鷹の爪」とはミュージックビデオでもコラボをしているそうですね。
朝日 MVではアウトロにおまけパートがあって、そこで総統と吉田くんにしゃべってもらえないかなとミュージックビデオの監督と話していて、お願いするだけしてみたら本当にやっていただけました。小ネタなんですけど、動画上で音量がピークを超えないように音源と総統と吉田くんのセリフをパラデータでもらって、俺がCubaseで総統と吉田くんの声を取り込んでミックスしたんです。まさか人生で総統と吉田くんの声にリミッターをかける日が来るとは思ってなかったな(笑)。で、吉田くんの声にはリバーブとかもかけちゃって。
もっさ そうなんや(笑)。
朝日 ノリノリで総統と吉田くんの声を左右に振って。最初の「吉田くんのカットでーす」と言ってるのは遠くにいるイメージだからリバーブを強めにして、カットインしてからはリバーブを切るとか。作業しながら高校生のときの自分に教えたくなりました。「俺は吉田くんの声をミックスしてるぞ!」と(笑)。
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初めてのワウペダルでチャカポコ