音楽ナタリー Power Push - Nothing's Carved In Stone

ストイックかつ自由に “NCIS”流最新バンドサウンド

4人の音で完結させよう

──続いてニューアルバム「MAZE」の話を。本作はマンスリーライブ中もレコーディングしてたんですか?

うん、やってましたね。レコーディングも3月くらいから始めたから、ちょうどライブやってた時期と重なってます。ライブの影響はけっこうデカかったんですよ。「ライブで何を見せたいのか?」というのが、制作にとってすごく大事なので。Weezerのリヴァース・クオモ(Vo, G)って、すごく面白い曲を書くけど、ライブで演奏してみて、お客さんの反応を確かめた上で「このアレンジは正解」「この曲はOK」って判断してたらしくて。俺らも6年間の中で同じことをやってきたつもりだけど、マンスリーライブによって、自分たちがやりたいこと、ライブで見せたいものを再確認できて。それはすごく大きかったですね。

村松拓(Vo, G)

──そこで気付いたことは音作りにも反映されてるんですか?

そうですね。俺らはバンドサウンドを売りにしてるけど、例えば「円環-ENCORE-」に入ってる「Out of Control」とか「Idols」とか、エレクトロの要素やサイバーなテイストの音も重要な要素の1つになってるんです。レコーディングではそういう音も自分たちで作ってるけど、ライブではシーケンスで出すしかないじゃないですか。その音をステージで聴いてるとね、もちろんボルテージも上がるんだけど、同時に「音を出すのが待ち遠しい」と感じることもあって。

──「早く弾かせろ」みたいな?

そう、もどかしくなっちゃって(笑)。そういう感じが、「MAZE」には出てるかもしれないですね。シーケンスの音を減らして、できるだけ自分たち4人の音で完結させようっていう。その上で、足りない音だけを足していこうという考え方だった気がします。だから、すごくソリッドですよね。研ぎ澄まされてる。

──マンスリーライブの前にリリースされたシングル「Gravity」(2015年1月リリース)のときはどうだったんですか?

レコーディングした時期はちょっと前なんですけど、それもアルバム用にミックスし直したんですよ。アルバムの制作のタイミングで、普段使ってるスタジオの機材が変わって、音もかなり変わったんです。よりクリアになって、奥行きも出るようになって。あと、今回はそんなに音を詰め込んでないんですよね。「Gravity」のアルバムバージョンも、シングルと聴き比べるとかなりシンプルに聞こえるようになってると思います。

──なるほど。

実は俺らって、音を抜くってことをがんばってきたバンドなんですよ。アイデアはたくさんあるからどうしても詰め込みたくなるんだけど、基本的には「この音は必要ないでしょ」みたいに削る作業をして。そういうことを続けてきたんだけど、今はお互いの音作りだったり、やろうとしてることがより正確にわかるようになっていて。例えば「こういう音を足したい」と思ったときに、そのイメージに一番近い音は誰が出せるか?ということを考えて、それを試して。メンバーそれぞれの役割が明確になっているから、曲を完成形にまで持っていくスピードも速くなってるんですよね。それもバンドの成長だと思うけど。

──6年間の活動の中で「このバンドでやるべきこと」がはっきり見えてきた?

村松拓(Vo, G)

そうですね。1年に1枚のペースで作れてるのもあるし、「同じようなものを作りたくない」という意識もいいほうに作用してるんじゃないかな。飽きちゃいますからね、俺らも。「驚かせたい」という気持ちも強いし……。ウチのベースのひなっちとか、サービス精神の塊ですから。インタビューでも面白いことばっかり言ってるんですけど、あれって別に深い意味はないんですよ、たぶん。ただ面白いことを言って、周りの人を笑わせたり、喜ばせたりしたいだけで。そのほうが自分も楽しいっていう感覚もあるんだと思いますけどね。

──ベーシストとしても強烈な個性を持ってますからね。もしかしたら、日向さんのパフォーマンスも「驚かせたい」「新しい音を聴かせたい」というサービス精神なのかも。

そうですね(笑)。ひなっちのベースって、あまりロー(低音域)を出してないんです。ラインがはっきり見える音作りだし、ギタリスト的なアプローチが多いんですよね。俺に「こういう音を鳴らして」って言って、自分はまた違うアプローチでベースのフレーズを考えたり。アレンジャー的な部分が強い気がしますね。今回のアルバムもすごくいいんですよ、ひなっちのベース。リズム隊がさらに覚醒していると思うし、そこだけ聴いていてもヤバいと思う。

──「The Poison Bloom」の研ぎ澄まされたグルーヴなんて、ホントにすごいですよね。

「The Poison Bloom」は僕もめっちゃ好きですね。あと「Discover, You Have To」「Go My Punks!!!!」はリズム隊の2人から生まれた曲だった気がする。2人から「こういうリズムでやってみない?」っていうのがあって、そこに俺と真一が音を乗せて。そういうやり方で新しいバンドの流れも感じれたし、すごく面白かったですね。

もっと自由でいいや

──ダンスミュージックの要素も増幅されてると思うのですが、そこも意識してました?

ここ数年、「無条件で踊れるサウンドがいいよね」という方向になってるのはありますけど、それよりも単純に「こういうリズム、よくない?」っていう思いのほうが強いかな。全体を通して、考えすぎずに“素”に近いところでやれたんですよね、今回。Nothing's Carved In Stoneって、冷たいとか怖いっていう印象もあるロックバンドだと思うんです。そのイメージとか枠組みっていうのは、俺ら自身が作ってきたものでもあるんですけど、今回はそこにとらわれずにやれたというか。

──バンド全体の自由度が上がっているのかも。

村松拓(Vo, G)

何がきっかけかはわからないんですけど、もっと自由でいいやって思うようになったんですよね。何をやっても大丈夫じゃないかなという自信もあるし。バンドもそうですけど、レコーディングのスタッフも含めた“チーム力”が上がってるんですよ。さっき「スタジオの機材が変わった」って言いましたけど、スタッフが作る音もすごくいい音になってるし、俺らの要望に対するレスポンスも早くて。ずっと同じチームで録ってるから、一緒に成長できてる感じがあるんですよね。なれ合いにならず、言いたいことは言わせてもらって、そのうえでちゃんと信頼関係があって。エンジニアの人も俺が調子が悪いときは「拓ちゃん、今日全然ダメでしょ?」って言いますからね。

──音作りに関しても、新しいチャレンジがある?

うん。特にドラムの音は今回が一番いいと思う。録りの前の段階からすごくこだわっていたし、例えばトリガー(生ドラムと打ち込みのドラムを同時に鳴らす機材)を使うときも、打ち込みの音ではなくて、実際に叩いたスネアの音を加工してたり。スネアの位置とかにもこだわってるし、実は繊細に作ってますからね、Nothing's Carved In Stoneの音は。いろいろ面白いことをやってるので、そのあたりも聴いてほしいですね。

──音のバランスやミックスもすごく個性的ですよね。

そうですね。あと、いつも曲を聴きながら面白いなって思うのは、僕の声とギターの音が似てるってことなんですよね。真一がどうして俺をバンドに加入させたかというと、たぶん自分のギターの音に俺の声が似てるからだと思うんです。それがいいのか悪いのかはわからないですけど、最近は声とギターのバランスに関してもすごく広がりが出てる気がしてます。

ニューアルバム「MAZE」 / 2015年9月16日発売 / 2700円 / Dynamord Label / GUDY-2016
「MAZE」
収録曲
  1. YOUTH City
  2. The Poison Bloom
  3. Milestone
  4. Perfect Sound
  5. デロリアンを探して
  6. MAZE**
  7. Discover, You Have To
  8. Calling Behavior
  9. Go My Punks!!!!
  10. Gravity(Album Mix)
  11. Thief
ライブアルバム「円環 -ENCORE-」 / 2015年8月19日発売 / 2808円 / Dynamord Label / GUDY-2015
「円環 -ENCORE-」
収録曲
  1. November 15th
  2. Isolation
  3. Brotherhood
  4. きらめきの花
  5. Spirit Inspiration
  6. Diachronic
  7. Out of Control
  8. Shimmer Song
  9. Sands of Time
  10. Rendaman
  11. Around the Clock
  12. Sunday Morning Escape
  13. 村雨の中で
  14. ツバメクリムゾン
  15. Idols
  16. Red Light
  17. Chain reaction
Nothing's Carved In Stone MAZE×MAZE TOUR
  • 2015年10月8日(木)東京都 Zepp Tokyo
  • 2015年10月11日(日)北海道 サッポロファクトリーホール
  • 2015年10月13日(火)宮城県 Rensa
  • 2015年10月16日(金)大阪府 Zepp Namba
  • 2015年10月17日(土)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2015年10月23日(金)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2015年10月24日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
LIVE ALBUM再現ライブ「円環 -ENCORE-」

2015年11月6日(金)東京都 豊洲PIT

Nothing's Carved In Stone
(ナッシングズカーブドインストーン)
Nothing's Carved In Stone

2008年に生形真一(G)が在籍するELLEGARDENの活動休止を機に、日向秀和(B)、大喜多崇規(Dr)、村松拓(Vo, G)で結成。各メンバーの持ち味を活かしたキレのよいバンドサウンドが持ち味。2009年2月に初ライブを行い、5月に1stフルアルバム「PARALLEL LIVES」をリリースした。同年夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」などの大型ロックフェスに出演し、そのパフォーマンスが好評を博した。毎年オリジナルアルバムを1枚リリースするなどコンスタントに作品を発表。2015年8月に初のライブアルバム「円環-ENCORE-」、同年9月に7作目となるアルバム「MAZE」をリリースした。