Nothing's Carved In Stone「By Your Side」 PR

Nothing's Carved In Stone|リスナーがいることで完成する 音楽的探究心が生み出した進化の1作

Nothing's Carved In Stoneが10thアルバム「By Your Side」を完成させた。

自主レーベル「Silver Sun Records」設立後初のアルバムとなる本作には、シングル「Beginning」、先行配信された「Who Is」などを収録。制作環境の変化に伴い、曲作り、サウンドメイクを含め、このバンドのさらなる進化が実感できる作品となっている。

音楽ナタリーでは、メンバーの村松拓(Vo, G)、生形真一(G)、日向秀和(B)、大喜多崇規(Dr)にインタビュー。村松曰く「人に聴いてもらうことで完成に近付く作品」という「By Your Side」の制作、対バンおよびワンマンを含めた全国ツアー「By Your Side Tour 2019-20」について聞いた。なお、特集の最後には「By Your Side Tour」に対バン相手として参加するバンドのコメントを掲載する。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 福本和洋

ウチのバンドにしかできないだろう

──通算10作目となるオリジナルアルバム「By Your Side」が完成しました。今年2月に立ち上げた自主レーベル「Silver Sun Records」初のアルバムとなりますが、制作の環境もかなり変わったそうですね。

生形真一(G)

生形真一(G) 使っているスタジオと、お願いしたエンジニアが今までと違いますからね。これまでの9枚のアルバムは、すべて同じスタジオ、同じスタッフで作っていて。それはそれでよかったんだけど、それが全部変わったわけだから、その影響はめちゃくちゃデカかったと思います。まず、スケジュールをきっちり決めたんですよ。「この日までに作る」という期限を付けたことで、今まで以上に集中して制作できたんじゃないかな。

大喜多崇規(Dr) エンジニアの方も、自分たちが出したいサウンドに対して、「だったら、こういうやり方もある」とプラスして返してくれて。自分たちは「艶っぽい音」「モチっとした音」みたいにイメージでしか伝えられないんだけど、そのニュアンスを理解してくれて、「こういう音じゃない?」と具現化してくれるというか。音作りに関してはまったくストレスがなかったし、その分、プレイに集中できたと思います。

──確かにすごくいい音ですよね。モダンだし、臨場感もあって。

日向秀和(B) 生々しいですよね。

生形 エンジニアが新しい音に敏感で、今の音というか、「この時代のロックの音はこれでしょ」というサウンドを提案してくれて。そのイメージを共有して、お互いに擦り合わせながらブラッシュアップできましたね。

日向 いい意味でラウドじゃないんですよ。チューニングを下げてもヘヴィロックになりすぎてないし、しかもサウンドが耳に刺さってくる。そのバランスはかなり気を使いましたね。

──なるほど。具体的に「こういう音に近付けたい」とリファレンスしたものはあったんですか?

生形 それぞれの嗜好が混ざってますね。最近聴いてる音楽もメンバーによって違うんですよ。ひなっち(日向)はヒップホップが多いし、俺はロックやエレクトロ、オニィ(大喜多)は何を聴いてる?

大喜多 エレクトロも聴くし、いろいろ。リズムを探求してると、ジャンルを超えていくから。

村松拓(Vo, G) 俺もいろいろ聴いてますね。最近は古いものを聴くことが多いかな。

生形 そういうやり取りもしてますからね、制作中に。

──今回のアルバムの音は、現行のヒップホップ、R&Bに近いイメージもあって。

生形 低音もだいぶ出てるんですよ。聴覚上は聴こえないレベルの音も入っているし。

日向 立体的だし、奥行きもあって。それをロックバンドとしてやるのがカッコいいなと。

村松 うん。毎回そうだけど、今回もいろいろと実験してますからね。例えば「Still」はシンセベースを使って、メロディを際立たせてたり。ひなっちが持ってきた曲なんですけど、今の音にアプローチした最たるものじゃないかなと。

日向 そうかもね。あと、全体的に踊れる感じにしたくて。それは自分の中でずっとテーマになってるんですけどね。どこかダンサブルな匂いがするっていう。

生形 ロックも踊れる音楽だからね、もともと。

日向 「ホントに演奏できるのか?」っていう曲もありますけどね(笑)。1曲目の「Who Is」とか、けっこうヤバいでしょ。

──「Who Is」のイントロはかなり複雑ですよね。あれはポリリズムになってるんですか?

日向 ギターがポリってますね。

生形 基本的には普通の4拍子なんだけど、ギターの拍の取り方が違っていて。

日向 ベースはわりと普通なんですよ。大きな波で支えたかったから、ずっと同じことを弾いていて。

生形 「ウチのバンドにしかできないだろう」という感じもありますね、この曲は。

──なるほど。このトラックに歌を乗せるのも相当難しいような……。

村松 でも、ナッシングスっぽいですよね。いろんな要素を詰め込んでるだけではなくて、それを踏まえて、普遍的な歌を作れるようになったのかなと。実は使ってる音数も少ないんですよ。

日向 そう、すごくシンプル。同期の音も使ってないし、クリックを使わなくても演奏できると思います。

生形 ギターのフレーズもそこまで重ねてないですからね。

シンプルな曲はそのままでいい

日向秀和(B)

日向 ほかの曲もそうですけど、全体的に音数が少ないんですよ。「シンプルな曲はそのままでいい」という解釈ができるようになって、それをメンバー全員が同じ目線で捉えているというか。以前だったら「もっと弾いたほうがいい」とか「音で埋めなきゃ」という作業があったんだけど。

生形 そうだね。1990年代後半から2000年代前半までのオルタナティブロックみたいに、音の壁を作りたくなったり。

日向 それがなくなって、音の隙間が気持ちよくなってきて。それはこのアルバムにも出ているんじゃないかなと。この先はわからないけど、今はシンプルで立体的な音像が新鮮だし、面白いんですよね。マスタリングのときもビックリしたんですよ。「これ、全部入ってる?」って。

村松 そうかも。前はシンセっぽい音で空間を広げることも多かったけど、それもやってないしね。

生形 以前はマスタリングのときに、音量をさらに上げたり、歪ませたりしてたんですよ。今回はそれもなくて。

日向 そういう意味で、80'sっぽい雰囲気もあるかも。

大喜多 「Kill the Emotion」は特にそうですね。あの曲のキックは、808(Roland TR-08)なんですよ。生ドラムはハイハット、スネア、シンバルとかだけで。ここ3作くらいは生音にこだわってたんですが、今回は打ち込みの音も取り入れてみたくて。メンバーに「どう?」と提案して、判断してもらいました。

生形 うん。

大喜多 今回はそういうことも多かったですね。「こういう音はどうかな?」とメンバーにジャッジしてもらって、採用するかどうか決めて。基本的には作曲者の意思を尊重したいんですよね。そうすることで、曲の純度だったり、ストーリー性が高まればいいなと。

村松 そうだね。俺も今回のレコーディングはギターを弾いてないんですよ。そういう話をしたわけではないけど、歌に徹したほうが曲のよさが出せるかなと。

──アコギと歌を軸にした「Bridges」は、ボーカルの魅力がしっかり伝わる曲だと感じました。

村松 それは俺が持っていった曲ですね。アコギの曲って、どのアルバムにもだいたい入ってるし(笑)、それが自分の役割なのかなと。実はこの曲もだいぶ実験的なんですけどね。サビの入りにメジャーコードを使ってたり、Aメロの譜割がちょっと変わってたり。最近、The Beatlesをよく聴いてるから、その影響もあるかも。ジョン・レノンの曲をコピーしてると、いわゆる音楽のセオリーを無視してるところもあって、「これを自分なりにやってみたら、新しい感じになるかな」と。The Beatlesを好きになったのは最近なんですけどね(笑)。