「REDLINE ALL THE BEST 2019 ~10th Anniversary~」 PR

「REDLINE ALL THE BEST 2019 ~10th Anniversary~」特集 鈴木健太郎(JMS)×渡辺旭(THE NINTH APOLLO)対談|インディーズシーンから音楽業界に物申す! 打ち上げまで気合いの入った“異種格闘技”イベント

ライブイベント「REDLINE ALL THE BEST 2019 ~10th Anniversary~」が12月1日に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールで行われる。

「REDLINE」は2010年から毎年開催されてきた、ジャパンミュージックシステム(JMS)主催のライブイベント。今回はイベントの立ち上げから10周年を記念して過去最大規模となる幕張メッセ国際展示場9~11ホールを舞台に、THE NINTH APOLLO所属のMy Hair is Badを始め、SiM、クリープハイプ、MY FIRST STORYらが出演する。

音楽ナタリーではJMSの専務取締役であり、ライブイベント「REDLINE」の創始者でもある鈴木健太郎氏と、THE NINTH APOLLOを主宰する渡辺旭氏との対談をセッティング。仕事のやり方は違えど見据えている先や着地点は同じで、2015年には共同レーベルsmall indies tableを立ち上げた鈴木氏と渡辺氏。彼らに「REDLINE」についての話はもちろん、出会ったきっかけやレーベル事情、昨今の音楽業界に対する思いまでをざっくばらんに語ってもらった。

取材・文 / 酒匂里奈 撮影 / 後藤倫人

1日のうち4時間エゴサ

──まずはお二人の経歴について聞かせてください。渡辺さんは1999年にTHE NINTH APOLLOを立ち上げられました。

左から鈴木健太郎(JMS)、渡辺旭(THE NINTH APOLLO)。

渡辺旭 はい。その頃僕は大学生で、バンド活動をしていて。自分のバンドのCDを流通させるために立ち上げました。当時は会社の名前がないと流通できない風潮があって、「1円で会社が作れるなら、作るか」みたいなノリでしたね。それで2004年に法人化しました。

鈴木健太郎 じゃあ設立からは20年経ってるんですね。

渡辺 まあね。節目の年とかばれないように過ごしてます。もちろん会社を作ってすぐに安定した収入を得られるわけではないので、設立当初は助走期間みたいなもので、しばらくはレンタルビデオ屋でバイトしていましたね。ライブハウスでイベントをやらせてもらって、少なからず利益は得ていましたけど。最初は会社の名前と名刺を作るという目的のためだけでした。

──鈴木さんは株式会社ジャパンミュージックシステムに入社されて今年で15年目だそうですね。

鈴木 そうなんです。会社自体は17年目で、僕は気付けばうちの代表よりも長く会社にいますね。JMSに入社する前は、ライブ会場の警備のバイトをしていました。それからイベント制作会社に入社したのですが、辞めてしまって。でもやっぱり音楽業界で働きたくて、Musicman-NETで未経験可の音楽関係の会社を探していたらJMSを見つけたんです。当時は“ディストリビューション”の意味もわからなかったんですけど、“未経験者優遇”と謳っているのが面白いなと思って応募しました。最初はタワーレコードさんやHMV record shopさんに行って営業をかけたりしていましたね。

──現在はどんな業務を?

鈴木 流通業務は引き続き行いつつ、レーベル事業やライブ制作事業、マネジメント事業もやっています。あとはアパレルや飲食、映像の仕事もやっていますね。業務内容的には……所属バンドが多いので、SNSのエゴサは1日4時間くらいしてるかもしれません。

渡辺 もっとやることあるやろ(笑)。

鈴木 あるんですけど、リリース後や新しいミュージックビデオが解禁されたあとはリスナーの反応が気になってしまって。

渡辺 iPhoneのスクリーンタイム見たら、SNSを見てる時間がめちゃめちゃ長そう。

鈴木 そうですね(笑)。僕はお客さんの反応を知っておくことが大事な仕事の1つだと思っていて。あとはデスクワークをしたり、MVなどの撮影現場に同行したり、レコーディングに行ったりですかね。

渡辺 俺はSNSはわからへんし、MVとかの撮影現場にもほとんど行かんけど、レコーディングにはよく行きますね。健太郎は撮影現場にいっぱい行ってるよね。

鈴木 そうですね。メンバーが思い描いていることをできる限り具現化してあげたくて。メンバーが言いにくいことを代弁するのはもちろん、予算の管理などもあるので基本的に撮影には立ち会うようにしています。僕は反対にレコーディングにはあまり行かなくて。楽器を弾けるわけではなく専門的なことを言えないので、そこは周りのプロの方々に任せています。

最近の音楽業界は朝が早い

渡辺 俺はライブ現場に行くのが好きで、リハを観る、近くのラーメン食べる、本番を観る、打ち上げがんばるっていうのがルーティーンワークなんですよ。撮影って、アホみたいに朝早くからやるよね。

鈴木 そうなんですよね。だいたい朝から晩まで。

渡辺旭(THE NINTH APOLLO)

渡辺 だいたいライブの打ち上げを朝5時までやってるから、やっぱり俺は撮影現場には行けない(笑)。同じように、フェスの現場も朝が早いからあまり行かないんです。そもそも夜帯に働ける仕事がしたくてライブハウス周りをうろちょろし出したので。というか年々音楽業界が朝早くなっていってない?

鈴木 確かに。でも撮影ぐらいだと思いますけどね。レコーディングは朝からはしないじゃないですか。

渡辺 ライブの入り時間も早くなってる。例えばZepp系列でのワンマンって、スタッフは10時入りですよね。早い。

鈴木 いろいろできることが増えたからじゃないですか? 仕込みや演出とか。その分スタッフの入りも早くなったんだと思います。

渡辺 同じワンマンでも下北沢SHELTERでやるときは16時入りやのにな。

鈴木 確かに、千葉LOOKとかもそうですよね。

渡辺 Zepp系列でワンマンのときは、10時に行っても12時まで弁当食べるくらいしかやることがない。

鈴木 あと挨拶くらいですよね。

渡辺 それで昼過ぎにメンバーが来て、挨拶して、お昼ごはんを食べる。

鈴木 食ってばっかですね(笑)。

渡辺 うん。そのあとはリハを観て、夜ごはんを食べて、本番を観て、打ち上げ。

鈴木 ライブの日ってなんだかんだデスクワークできないですよね。僕も旭さんも当日に実務でやることはないので、時間はあるはずなんですよ。でもなぜかデスクワークが進まないんですよね。

渡辺 確かに。もっと言うと、フェスは7時入りとかやし……10年前とかこんな朝早かったっけ?

鈴木 昔より出演アーティスト数が増えたからじゃないですか?

渡辺 まあフェスはそうかもしれないけど、ワンマンは?

鈴木 先行物販ができてからじゃないですかね。昔は先行物販ってなかった気がします。

渡辺 ああ、そうかも。本当にライブの入り時間が早いのをなんとかしたいな。あともう1つ悩んでるのは、照明スタッフが「明日朝早いので」と言って打ち上げに来ないこと。全然おもんない……手に職ある人は飲んでほしい。

鈴木 旭さん、ここフルでカットしないと(笑)。照明スタッフさんが打ち上げに来られないのは、入り時間が一番早くて、撤収時間も一番遅いからだとは思いますけど。

渡辺 わかってはいるんですけどね……とりあえずここの見出しは「最近の音楽業界は朝早い、どうにかしろ」でお願いします。

初対面の打ち上げで複雑骨折

──お二人はどんな出会いをされたんですか?

鈴木健太郎(JMS)

鈴木 EGG BRAINのツアー「START OFF WITH MUZIC TOUR 2014」の、大阪・梅田CLUB QUATTRO公演で出会いました。打ち上げのときに松原(裕 / 兵庫のライブハウス・music zoo KOBE 太陽と虎や、音楽レーベル兼マネジメント事務所・パインフィールズの代表取締役社長。4月に腎臓ガンのため死去)さんに紹介していただいて。このときの打ち上げ、本当にすごかったんですよ。旭さんはお店から出禁を通告されていました(笑)。松原さんと旭さんの打ち上げ芸みたいなのがあるんですけど、僕はそれにカルチャーショックを受けたんです。「東京はだめだな、カッコつけてるな」って。

渡辺 東京は打ち上げ面白くないんで。

鈴木 そうなんですよね。そのときは、旭さんが醤油をボトルでイッキしてたんですよ。

渡辺 あー……醤油イッキはけっこうやってますね。

鈴木 あと居酒屋のテーブルって、板の一部分が取り外せるタイプのやつあるじゃないですか。その板を松原さんが持って、旭さんが鉄拳突きをするというネタをやっていて。それで旭さんは複雑骨折していました。

渡辺 あのときか! 関係者じゃないけど打ち上げ行ったときや。あのときが初めましてなんや。

鈴木 はい。THE NINTH APOLLOの人はすごいなと思いました。

渡辺 ひさしぶりに思い出したわ。初めて自分で救急車を呼んだ日ですね。

鈴木 拳が板に当たったときの音がすごかったですもん。「バーン!」とかだったらわかるけど、「ボキボキボキボキー!」と音が鳴ってました。当時の関西方面の打ち上げは大変参考にさせていただきましたね(笑)。松原さんと旭さんが2人そろったら、バンドマンがざわつくんです。2人がそろうとそこはもう戦場になるので。9、10年前の関西の打ち上げシーンはライブよりライブでした。

渡辺 9、10年前はパンチがもっとも重要でしたからね。そのあとはとんちの時代が来て、今は両方です。とんちとパンチを両立しているやつがすごい。

鈴木 初対面のときは、そんな様子を傍目から見ていただけで、あまり話はしなかったですね。でもいじられてはいました。「おい、東京!」みたいな感じで(笑)。

渡辺 あのとき健太郎はまだ20代か。

鈴木 そうですね。26、27歳くらいでした。

渡辺 俺と松原は30歳になりたてくらいかな。

鈴木 しかもその日、旭さんは骨折して打ち上げを早退するのに、松原さんに「先帰るなら金払え」と言われて、全員分のお金を払っていて。むちゃくちゃですよね(笑)。

渡辺 「早退するなら全額払え」ってやばくないですか? マジで財布も開けない状態なのに、7、8万は払ったな。

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