音楽ナタリー Power Push - Nothing's Carved In Stone
ストイックかつ自由に “NCIS”流最新バンドサウンド
Nothing's Carved In Stoneがニューアルバム「MAZE」を完成させた。シングル「Gravity」を含む本作は、生形真一(G)、日向秀和(B)、大喜多崇規(Dr)のテクニックと個性がせめぎあうサウンド、そして生々しさを増した村松拓(Vo, G)のボーカルが融合したソリッドなロックアルバムに仕上がっている。
音楽ナタリー初登場となる今回は、フロントマンである村松に単独インタビューを実施。「これまで以上に“素”が出ている」という「MAZE」の話を軸に、バンドの変遷、作詞家としての自らの変化などについても語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 福本和洋
ベスト盤のような初ライブアルバム「円環-ENCORE-」
──ニューアルバム「MAZE」の話を伺う前に、8月にリリースされたライブアルバム「円環-ENCORE-」のことから聞かせてください。Nothing's Carved In Stoneがライブアルバムをリリースするのはこれが初めてですよね?
そうですね。ライブ映像作品は4枚出しているんですけど、ライブアルバムは初です。
──今年3~5月に東京・渋谷CLUB QUATTROで行われた「Monthly Live at QUATTRO」の音源が収録されていますが、なぜこのライブシリーズを音源化しようと思ったんですか?
まずマンスリーのライブに関して説明したいんですが、「面白いライブをしたいね」というところから始まったんですよ。「Strangers In Heaven」(2014年リリースのアルバム)を出したあとのツアーのときだったと思うんですけど、楽屋で「対バンライブ『Hand In Hand』以外に何か面白いライブってやれないかな」っていう話になって、「自分たちの曲を全曲やるのはどう?」というアイデアが出て。アルバムを6枚も出しているし、なかなか日の目を見ない曲もありますからね。それを3カ月に分けてやったんですけど、その際に「せっかくだったら録っておく?」「だったら、音源として出したいよね」みたいにうまく転がって。
──貴重なライブでしたからね。ひさしくやってない曲もあったでしょうし。
6年ぶりくらいにやった曲もあるし、「Terminal」(2012年リリースのアルバム「Silver Sun」収録)みたいに一度もライブでやってない曲もあったし。ライブの準備はけっこう大変でしたけど、実際にやってみると思ってた以上に面白くて、「なるほど、この曲ではこういうことをやりたかったんだな」って演奏しているときに改めて発見したところもあったんです。リハーサルをやっていても、リリース当時とは全然感触が違う曲もあったり、「ちゃんとグルーヴが生まれてるな」っていう実感もあったりして。
──当然これまでの音源も聴き直しただろうし、いろいろと発見はありそうですね。
ええ。リハーサルのときも、1曲ずつ聴いて、その都度みんなで合わせていったんですけど、自然とそのアルバムを作っていた頃のことを思い出すし、「俺たちが積み上げてきたものはこういうことだったんだな」って再確認もできて。最初の頃って、思ったよりも壮大な曲があったりするんですよ。いろんなタイプの楽曲があって、常に自分たちの中で新しい音を作り出そうとがんばってきたんだなって。まあ、どうやって弾いてたか忘れちゃってる曲もあったけどね(笑)。
──「円環-ENCORE-」の収録曲はファンからのリクエストの上位曲です。
ホントは全曲入れたかったんですけど、ボックスセットになっちゃいますからね。自分たちはそれでもいいんだけど「CDのボックスセットはちょっと難しいかな」ということになり、じゃあ投票して収録曲を決めようと。これ、けっこうベストな感じなんですよ。大体の曲がミュージックビデオになってたり、ライブでよくやってる曲なので。1人につき5曲投票できることになってたから、みんな2曲くらいはそういう曲を選んだんでしょうね。MVとかフェスとか、リスナーとの出会いのきっかけになった曲というか。初めてNothing's Carved In Stoneの音楽を聴く人にもプレゼンしやすいし、ファンと一緒に作ったアルバムという感じがして俺もすごく気に入ってます。
ライブが楽しい
──「円環-ENCORE-」というタイトルからも、バンドとオーディエンスのエネルギーの循環が伝わってきます。村松さんも以前よりライブで積極的にファンとコミュニケーションを取っている印象もあって。ライブに対する考え方は、結成した頃から変わりましたか?
そうですね。前とは全然違うんじゃないかな。最初の頃は……もちろん目の前に人がいるので、それを意識はするんですけど、それよりも「俺、今バンドやれてる!」「生きてる!」っていう思いだけだったから。「こういうことをやったらお客さんに響く」とか、ライブのマナー、ライブでのコミュニケーションの仕方みたいなものをあまり自覚してなかったんですよね。それはこの6年間でだいぶ教えてもらいましたね、メンバーにも、お客さんにも。俺たちも嘘がつけないし、ちょっとでも迷ったりしてると、すぐにオーディエンスに伝わってしまって、お客さんが「あれ?」って顔になるんですよね。こっちが迷ってると盛り上がれない人もいるだろうし、剥き出しの感じでやらないと楽しくないですからね、自分たちも。今はライブが楽しいですよ。お客さんから素晴らしいものをもらえている感覚もあるし、俺らも「それに応えたい」って思うし。ワンマンライブでステージに出て行って、1曲目が始まったときの空気って最高ですよ。一瞬でスイッチが入って、すべてを忘れられるというか。たぶん、お客さんも同じだと思いますけどね。
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収録曲
- YOUTH City
- The Poison Bloom
- Milestone
- Perfect Sound
- デロリアンを探して
- MAZE**
- Discover, You Have To
- Calling Behavior
- Go My Punks!!!!
- Gravity(Album Mix)
- Thief
収録曲
- November 15th
- Isolation
- Brotherhood
- きらめきの花
- Spirit Inspiration
- Diachronic
- Out of Control
- Shimmer Song
- Sands of Time
- Rendaman
- Around the Clock
- Sunday Morning Escape
- 村雨の中で
- ツバメクリムゾン
- Idols
- Red Light
- Chain reaction
Nothing's Carved In Stone MAZE×MAZE TOUR
- 2015年10月8日(木)東京都 Zepp Tokyo
- 2015年10月11日(日)北海道 サッポロファクトリーホール
- 2015年10月13日(火)宮城県 Rensa
- 2015年10月16日(金)大阪府 Zepp Namba
- 2015年10月17日(土)愛知県 Zepp Nagoya
- 2015年10月23日(金)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
- 2015年10月24日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
LIVE ALBUM再現ライブ「円環 -ENCORE-」
2015年11月6日(金)東京都 豊洲PIT
Nothing's Carved In Stone
(ナッシングズカーブドインストーン)
2008年に生形真一(G)が在籍するELLEGARDENの活動休止を機に、日向秀和(B)、大喜多崇規(Dr)、村松拓(Vo, G)で結成。各メンバーの持ち味を活かしたキレのよいバンドサウンドが持ち味。2009年2月に初ライブを行い、5月に1stフルアルバム「PARALLEL LIVES」をリリースした。同年夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」などの大型ロックフェスに出演し、そのパフォーマンスが好評を博した。毎年オリジナルアルバムを1枚リリースするなどコンスタントに作品を発表。2015年8月に初のライブアルバム「円環-ENCORE-」、同年9月に7作目となるアルバム「MAZE」をリリースした。