パーソナルな歌詞
──それだけさまざまな変化がある一方、歌詞に関していかがですか?
難波 今回は自分以外のストーリー、短編映画を観ているような気分になってほしいなっていう気持ちで書いた曲がいくつかある。それが自分の中では新しいかな。今回は女性が主人公の曲(「PUNK AND RULES」)もあるしね。
──「2001」のようにかなりパーソナルなものもあります。
難波 自分の母親に向けて歌った「SHINE ON ME」も含めてすごくパーソナルな歌詞だし、こういう曲をバンドで歌っていいのかなっていう気持ちもあったんだけど、俺がリアルな気持ちを歌うことで、そこに自分の思いを投影できるリスナーもいるんじゃないかなと思ったんだよね。パーソナルであればあるほどそこに感情移入できると言うか。
──ko-heyさんは難波さんのこういった歌詞をどう受け止めていますか?
ko-hey 俺は大好きですね。
難波 俺も聞いたんだよね、「こういう歌詞だけどいい?」って。
ko-hey 俺は難波さんのリアルな気持ちが反映された歌をもっと聴きたいです。曲作りもそうなんですけど、今回は歌詞に関しても無理していない感じがあったんですよ。あとで聞いたら、難波さんは予定の半分ぐらいのスケジュールで歌詞を書き終えたみたいで、それぐらい無理せず出てきた言葉だからスッと入ってくるんだなって。
──「SHINE ON ME」は本当にいい曲ですよね。NAMBA69のメインになる曲ではないですけど、エレキギターが鳴っているのにリズム隊がいないというアレンジが斬新だし、メロディもすごくいい。
難波 ただのスリーコードなのにね。最初は鍵盤を入れることも考えたし、ハモも入れたけど、結局「いらないね」ってことになって。あと、サビのメロディも最初は違ってたんだけど、何か物足りないなと思ってたらメロディが降りてきたのよ。歌詞はそのあとに書いた。今、俺の母親が病気で大変で、生きてるうちに自分の気持ちを届けておきたいなと思ってそういう歌にしたんだよね。すごく自分のことを歌いたくなった。
──最初はほかの音も入ってたんですね。
難波 今回はこの曲に限らず、思い付いたものはどんどん入れていったんだけど、最終的にはかなり抜いた。
──いろんなことに挑戦したんだろうなということは伝わってきます。
難波 よく聴くといろんなアレンジが入ってるんだよ。
──だからと言って、練りに練ったという感じでもない。2人の話を聞いていてその理由がわかったような気がします。
難波 それはジャッジが早かったことも大きいかもね。「ああ、これはどうなんだろうなあ」って俺が悩んでても、ko-heyが「いや、別にいいっしょ」って言ってくれたり。そういうふうにジャッジが早いと物作りが加速するんだよね。
BABYMETALから受けたインスピレーション
──「I DON'T WANNA KNOW」がインスト曲に挟まれているのも面白いです。
ko-hey それは難波さんの閃きです。俺は最後まで「それはどうなんだろう?」って言ってたんですけど(笑)、難波さんが考えた曲順で並べたときに意味を感じたんですよね。
──曲順もいいですよね。前半と後半で色が違っていて。
難波 ハードコアのルーツを感じさせたいと思って、前半はイケイケにしたんだよね。「I DON'T WANNA KNOW」のあとに「new wave」を入れたのは、そうすることで作品としての深みというか、ストーリー性が生まれるんじゃないかと思って。
──そういうアイデアも経験からくるものだと思いました。
ko-hey 実際、難波さん以外からあのアイデアは出なかったですから。インスト2曲はどうしても分散したくなるんですよ。前半の曲順も攻めすぎだと思ってたし。だけど、みんなが考えた曲順で聴いてみた結果、難波さんの案が採用されたんですよ。
難波 アルバムを通して聴く人が今どれぐらいいるかはわからないけど、なるべく通して聴いてほしいね。……あ、今回のアルバムのコンセプト、1つあったわ。俺たちは日本人で、小さい頃からアニメとアイドルで育ってるから、洋楽に寄せるっていうことじゃなくて、あくまでも俺たち自身の感覚で挑戦したかったんだよね。俺が今回、このアルバムが最強だと思えてる理由はそこ。洋楽に寄ってない。例えば、「MANIAC III」はBABYMETALの「ギミチョコ!!」からインスピレーションを受けてるんだよ。
──そうなんですか!?
難波 あの曲を初めて聴いたときはすごい衝撃で。だから俺らも、主にアイドルで使われるようなメロディを自然と出したかったんだよね。あと、「BLOOD SUCKING DOG」はBiSHっぽくない? すごく意識したんだよね。松隈(ケンタ / SCRAMBLES)くんに「ヤベえ」って思われたくて。
──あはは!(笑)
難波 だから、アイドルとか歌謡曲が好きな人にも聴いてもらいたいな。
ko-hey 時代は違えど、みんなJ-POPで育ってるんですよ。俺はJ-POPみたいに一度聴いて歌える曲が最強だと思ってるし。
──今回はあらゆるものを自然に表現できたんですね。
難波 開き直っちゃった。パンクやハードコアではあるけど、それだけではない。
──難波さん個人の話になりますけど、今作は難波さんがこれまでやりたかったこと、やってきたことが音楽的にも精神的にもすべてハマった感じがしますね。
難波 そうなんだよ。実は全部つながってるんだよね。みんなからはいろんな顔を作ってきた人のように見えてるかもしれないけど、俺の中では全部同じ線上にある。このタイミングでそういう感覚になれてすごくよかったと思う。もちろん、ko-hey、サンちゃん、K5にもそれぞれの人生があって、ko-heyは前にやってたARTEMAっていうバンドを通過したうえで今ここにいる。俺はko-heyのこれまでのキャリアはあまり知らないけど、今が一番才能を発揮できてるんじゃないかな。
ko-hey 本当にそう思います。難波さんは、俺がこれまで積み上げてきたものを一番引き出してくれてると思います。さっきも話しましたけど、「それはどうだろうね」って言われるより、「いいねいいね、やってみようか」って言われるほうがこっちもアイデアを出しやすいんですよ。
難波 もし、ko-heyと俺の年が近かったら今みたいにはなってなかったと思うし、すごくいいバランスなんだろうね。NAMBA69じゃなくて違うバンド名を付けてたら、K5とサンちゃんの立ち位置も変わってたかもしれないし。責任を背負いすぎて変になっちゃったり。
──確かにそうかもしれないですね。いやあ、バンドって面白いですね。
難波 本当に面白いね!
ツアー情報
- NAMBA69「CHANGES TOUR 2019」
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- 2019年5月18日(土)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2019年5月26日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2019年6月7日(金)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2019年6月21日(金)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
- 2019年7月4日(木)長野県 LIVE HOUSE J
- 2019年7月5日(金)石川県 vanvanV4
- 2019年7月18日(木)京都府 KYOTO MUSE
- 2019年7月20日(土)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2019年7月21日(日)島根県 アポロ
- 2019年7月23日(火)山口県 LIVE rise SHUNAN
- 2019年7月25日(木)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2019年7月26日(金)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
- 2019年9月3日(火)愛媛県 WStudioRED
- 2019年9月4日(水)香川県 DIME
- 2019年9月13日(金)北海道 CASINO DRIVE
- 2019年9月14日(土)北海道 BESSIE HALL
- 2019年9月18日(水)宮城県 仙台MACANA
- 2019年9月19日(木)秋田県 Club SWINDLE
- 2019年9月29日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2019年10月18日(金)福岡県 LIVE HOUSE CB
- 2019年10月19日(土)熊本県 Django
- 2019年10月25日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2019年10月26日(土)大阪府 心斎橋CLUB DROP
- 2019年11月3日(日・祝)東京都 TSUTAYA O-EAST(※ワンマンライブ)