さわやかな青春を感じる曲に
──では、1曲ずつお話を聞かせてください。まず「カラフル」はどのような取っ掛かりで作っていったんですか?
これはギターを弾きながらイントロから作っていきましたね。「あ、この感じさわやかだな。これでいこう!」みたいな。普段の僕はこんなに真っすぐで明るい曲は書かないタイプなんですけど、案外スムーズに書けて。自分でも新鮮でしたね。
──Bメロでちょっとリズムのノリが変わるところが曲としてのフックになっていますね。
真っすぐな曲ではあるけど、一辺倒になるのはつまらないなと思ったので、そういった耳が楽しいギミックを盛り込むことにしました。リズムでも曲の世界をカラフルに彩っていけるように。僕はアコギ1本でデモを作るんですけど、この曲のBメロはデモの段階からノリを変えて弾いていましたね。制作の過程で「ちょっと違和感があるかも」という話になった瞬間もあったんですけど、「これでいかせてほしいです!」と言わせていただいて。結果、正解だったなと思います。
──アレンジは村山☆潤さんが手がけられていますが、仲村さんから具体的なイメージを投げてお願いしているんですか?
そうですね。自分の中にあるイメージはしっかり伝えさせてもらっています。この曲に関して言うと、汗臭さをまったく感じさせないアレンジをお願いしました。さわやかな青春を感じる曲にしたかったんですけど、それって場合によっては汗臭い青春を感じさせるアレンジになる可能性もあるわけで。今回はそうじゃないなと思ったので、そこはしっかりお伝えしました。ギターソロについても、汗臭くないものをリクエストして。僕の意向をしっかりくみ取っていただけたので、すごくいいアレンジになったと思います。
──真っすぐな恋愛の感情を描いた歌詞も、まさに青春感があります。言葉を紡いでいく際に、こだわった部分はありましたか?
曲がすごくポップだから、いろんなところで韻を踏んでみたり、言葉選びもポップさやキュートさを意識しました。この曲の主人公はすごく猪突猛進な人なので、なんのひねりもなく「君が好きだよ」と言っちゃっていますよね(笑)。ものすごくストレート。
──そういうストレートな部分がこの曲における仲村さんのノンフィクションなんですかね? 「動いてから決めりゃ良いか」というフレーズも仲村さんらしいなと感じました。
あははは(笑)。まさにそうですね。あれこれ考えすぎて頭でっかちになるくらいだったら、まず行動だよなと思うタイプではありますね。改めて自分に言い聞かせる意味合いも込めて、そういうフレーズを入れたような気もします。あと歌詞に関してこだわった部分で言うと、案外どの曲でもそうなんですけど、1つの音符に対していくつもの文字を詰め込むということをしているんですよ。
──確かに英語っぽいニュアンスで、流れるように歌詞が乗せられている部分が多いかもしれないですね。
日本語は角ばって聞こえる言葉が多いので、どうすればなめらかに聴こえるかなということはすごく考えますね。作詞に関してはそういう意識が強いタイプかもしれないです。
まず一度やってみる
──歌録りはどうでしたか?
自分で書いた曲だからしっかり解釈ができていたので、めちゃくちゃスムーズでした。全体的にはサウンドに寄り添って明るい表情で歌うことを心がけて。中でも真っすぐな思いを届けているサビは、グッと気持ちを込めて歌うように強くこだわりました。
──ファルセットを混ぜることで、勢いだけに任せない繊細な表現もされていますよね。
ありがとうございます。僕はファルセットを使うとけっこう高いところまで声が出るんですよ。なので前回の「ゆらゆら」もそうでしたけど、楽曲に盛り込むことはけっこう多いんですよね。歌に関しては、チームのみんなからのアイデアも積極的に試してみるんですよ。結果的に採用されないものもありますけど、どんなことでもまず一度やってみるということを大事にしている現場だと思います。やってみたことは絶対に無駄にはならないですからね。
──まさに「動いてから決めりゃ良いか」の精神ですね。そしてこの曲はミュージックビデオもすごく素敵な仕上がりになっています。
はい。楽曲にマッチした、彩り豊かなMVを撮っていただきました。たくさんの色のないマネキンの中に、1人だけカラフルなリボンのドレスを着た女性がいる。それって恋に落ちる感覚を見事に表現してくれていると思うんですよ。そんな解釈をしながら撮影に臨みましたね。ダンサーの櫻井(香純)さんが僕の曲に合わせて舞い踊ってくれている姿を見たときは、ものすごく感動しちゃいましたね。
──さまざまな色があふれる中、仲村さんは白い衣装で白いギターを弾いています。そこには、これからどんな色にも染まっていけるという可能性が込められているようにも感じました。
うん、そうですね。人間って、ベースとなる白い自分の上に、生きていく中でいろんな色が足されていくものだと思うんですよ。それによって新しい自分がどんどん見えてくる。だから僕自身、いろんな色を重ねてなんぼかなという思いで日々生きていますね。
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思い切り自暴自棄な終わり方に