仲村宗悟|こだわり尽くした3曲の恋の歌

思い切り自暴自棄な終わり方に

仲村宗悟

──2曲目の「imitation」も仲村さんが作詞・作曲を手がけた楽曲ですが、この曲の主人公は自分を押し殺して生きているのか、それとも本能のままに生きているのか。どっちにも受け取れる書き方がされていますよね。

この曲のミソはまさにそこですね。「もうよくわかんねえや」と思う狭間の感情を描いているというか。けっこうな毒を込めた歌詞になったので、これをキレイにまとめて終わりにするのも違うなと思ったんですよ。なので、最後はもう思い切り自暴自棄な終わり方にしていますし(笑)。この曲を書けたことで自分の殻がまた1つ破れた気もするので、ファンの方には驚いてもらえたらうれしいですね。

──急に変拍子になったりと、この曲にも飽きさせないギミックが盛り込まれています。

グルーヴ感を大切にしながら、バンドの皆さんにはめちゃくちゃクレイジーな演奏をしてもらったんですよ(笑)。その雰囲気を僕の歌で壊すわけにはいかなかったから、レコーディングはものすごく難しかったです。バンドのノリをしっかり確認しながら、とはいえ頭で考えすぎてもダメだから、とにかく感情の赴くまま、振り絞るように声を出していきました。変拍子になるところはクリックがあるとノリが出ないので、バンドの演奏だけを聴くようにしたりとか、自分なりにいろいろ試行錯誤をしつつ。

──コーラスが重ねられたDメロで景色が一瞬変わるところもいいですよね。

愛の言葉をささやきながら抱き合っていたとしても、その思いはまがいもの(=imitation)かもしれない。しかも、自分だけじゃなく、相手もまた嘘をついているのかもしれない……そんなことを表現するために、ここでは主メロのオクターブ下と、かなり高いキーの声を重ねているんですよね。そうすることによって男女の姿が思い浮かんだらいいなという。

──そしてラストは「壊しちゃったっていいや」と叫んでバシッと曲が終わります。

あそこは何回もテイクを録りましたね。OKが出ても自分的に納得がいかず、「もう1回やらせてください!」ってお願いしたりして。「先生 バカにつける薬はないんだって本当?」とか「ルラルラルラルラル」とか、聴いていてちょっと楽しめる言葉をあえて使ったりもしているので、そういうところにも注目して聴いてもらいたいですね。自分で聴いても最高にカッコいいなと思える曲になりました。

仲村宗悟
仲村宗悟

引き算で仕上げていった曲

──そして3曲目には片山義美さんが作詞・作曲を手がけた「風花」も収録されています。

切ない恋の歌を書いていただきました。アレンジはこちらも村山さんが担当してくださっています。最初の段階ではバンドの音がけっこうしっかり入っていたんですけど、なんとなく僕のイメージとは違っていたので、現場で話し合いながら音を抜いていってもらいました。結果、弦の生演奏を軸にしたシンプルなサウンドに仕上がって。そういう意味では思い切り引き算をして仕上げていった曲ではありますね。その分、ライブで歌うのが怖い曲にもなってしまったんですけど。逃げられねえぞという(笑)。

──ごまかしが効かない感じはありますからね。でも、柔らかなトラックの雰囲気に寄り添って、ほかの2曲とはガラッと違った歌声になっていますよね。

サウンドが持っている生音の温かさを大切にしたかったので、息遣いまで感じてもらえるような歌にしようと思いました。ピッチも大切だけど、それ以上に生々しい雰囲気を出したいなって。初めてレコーディングブースを暗くして歌ってみたり、曲の世界にしっかり寄り添えるように自分なりのトライをいろいろしてみた曲でもあります。今回の3曲は“恋”という共通したテーマがあるんですけど、「こんなに違ったタイプになるのか!」というくらい三者三様になったと思うんですよね。やりたいことをめいっぱい詰め込むこともできたので、めっちゃ満足してます!

天井なんかねえぜ!

──とはいえ、まだまだやりたいことはご自身の中にたくさんあふれているわけですよね。

仲村宗悟

そうですね。まだ何も決まってないですけど、3枚目のシングルでもやりたいことを思い切りやってやろうという気持ちではいます(笑)。「天井なんかねえぜ!」という勢いで、ここからも右肩上がりに進んでいきたいです。

──4月にはリリースイベントの開催を予定されています。

1stシングルのリリースイベントのときは義美さんと2人でいろんな場所を回らせてもらって、めちゃくちゃ楽しかったんですよ。歌を通してお客さんと思いを共有できているというんですかね。それは決して目には見えないものだけど、でも確実にそこには存在しているというか。そんなことを感じられたんです。だから僕はライブという空間が大好きなんだと思います。今回のリリイベもアコースティックスタイルになるとは思いますが、各地でまたどんな思いを交換できるかが今から本当に楽しみです。

──バンドスタイルでのライブにも期待したいところです。

そうですよね。今回で言えば「カラフル」や「imitation」なんかは、やっぱりバンドでもライブをしてみたい。夢である日本武道館はもちろん、ワンマンでがっつりライブができることになったら曲順や構成、演出に関しても、めちゃくちゃわがまま言うんだろうなあ(笑)。やりたいことがたくさんありすぎるので。やっぱり音楽は楽しいですよ。声優の仕事に加えて、こうやって音楽をやれている今は本当に貴重だし、ありがたいことだなと改めて思いますね。