仲村宗悟|こだわり尽くした3曲の恋の歌

仲村宗悟が3月11日に2ndシングル「カラフル」をリリースした。

声優として活躍をする中で、昨年10月にシングル「Here comes The SUN」で念願のアーティストデビューを果たした仲村。今回発売された3曲入りの2ndシングルでは、表題曲を含む2曲の作詞・作曲を自ら手がけている。

音楽ナタリーでは、“恋”を共通のテーマにそれぞれ異なる表情が見られる3曲について、こだわりを本人に聞いた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 斎藤大嗣

今の状況はめちゃくちゃ楽しい

──昨年10月のアーティストデビューから約5カ月が経ちました。手応えはいかがですか?

仲村宗悟

応援してくださっている皆さんはもちろん、普段いろんなお仕事をご一緒している声優業界の方々からも「デビューシングル買ったよ」「すごくいいね!」という声をたくさんいただくことができて、それがまずうれしかったですね。声優という職業においてはキャラクターソングなどを歌わせていただく機会はこれまでもあったわけですけど、アーティスト・仲村宗悟として音楽をやらせていただくことはまた全然違うものだなと実感できたというか。リリースイベントで歌わせていただいたことで、それぞれの曲への解釈がより自分の中で深まったりもしたんですよ。だから次に皆さんに会うときは、きっとまた違った僕を見せることができるんじゃないかなという期待もしています。

──仲村さんの表情を見ていると、「音楽活動が楽しくてしょうがない!」といった感じですよね。

そうですね(笑)。もともと僕は音楽がやりたくて上京してきているので、今の状況はやっぱりめちゃくちゃ楽しいです。1stシングルを出したことで、さらにやってみたい音楽が自分の中にあふれてきているし、それをもっともっとわがままに出していきたいなという気持ちにもなっているんですよね。

仲村宗悟

どの自分も嘘ではない

──それを証明するように、今回リリースされた2ndシングル「カラフル」では表題曲を含む2曲で作詞・作曲を手がけられています。

はい。デビューシングルではカップリングの「ゆらゆら」という曲を書かせてもらいましたけど、今回は2曲なのでより気合いが入りましたね。今回のシングルに向けてイメージを膨らませたときに、僕は1stシングルの表題曲だった「Here comes The SUN」とはまったく違ったベクトルのものにしようと思ったんですよ。それで、まず最初にバッキバキなロックサウンドで歌う大人のラブソングとして「imitation」を書いたんです。

──さわやかな雰囲気を持っていた「Here comes The SUN」とはある意味、対極の楽曲で2ndシングルは勝負しようと。でも「imitation」はカップリング曲になっていますが……。

仲村宗悟

チーム内で話し合った結果、言ってもまだ2枚目なので今回も引き続きさわやかな曲をかまそうぜという話になりました(笑)。その提案には僕も「確かにそうだな」と納得することができたので、そこから表題曲にする「カラフル」を書き始めたんですよね。結果的に、まったく違った2つの表情を見せることができるいい内容になったと思います。

──前作からの流れで本作を聴いた人は、「imitation」でびっくりするでしょうね。

そうですね。引き続きさわやかな路線かと思わせつつ、カップリングで「えっ、こんなに毒が詰まった曲も書けるんだ」とびっくりしてもらえたらなという。ライブを想定しても、この2曲の振り幅はいいバランスになると思うので。

──仲村さんにはさわやかで明るくて元気というパブリックイメージがあると思うんですけど、音楽においてはそれ以外の部分も積極的に見せていきたいという思いが強いのでしょうか?

確かに僕は「さわやかですね」と言っていただけることが多いのですが、そうじゃない部分ももちろんあるわけですよ。ラジオを聴いてくれている人はわかると思うけど、実はすっごいふざけたがりだったりするし、「それどうなの?」みたいなことを言ったりすることもある。でも、どの自分も嘘ではないんですよね。それと同じように、これから僕が作っていく音楽にはいろんなタイプがあると思うけど、そのすべてが仲村宗悟でしかないというか。いろんな自分を印象付けたいという思いもあるけど、それよりは僕から出てきたどんな表情にも嘘がないんだよということは言いたいかな。嘘をつくことが得意じゃないタイプなので、楽曲にもそのときの感情がそのまま出ているだけなんだよという。

──ということは、自作曲に関してはすべてがノンフィクションということなんですか?

いや、すべてをノンフィクションとして書くこともしないし、逆にすべてをフィクションとしても書くこともないという感じですかね。曲によってその分量に違いはあるけど、ほんのひとさじでもノンフィクションが入ったものでないとダメだなとは思っています。全体の9割がフィクションであったとしても、残りの1割に僕のリアルな体験や思いが入れば曲がグッと締まるし、歌の輪郭もはっきりする。そういう音楽じゃないと、聴いてくれる皆さんに寄り添うことはできないんじゃないかなと思うんですよね。

──すべてをノンフィクションで書かないということは、フィクションを創造するスキルも必要になってきますよね。

そうなんです。だから僕は常にいろいろなところにアンテナを張って生きている感じなんですよね。日常って、そんなにドラマチックなことだらけではないじゃないですか。でも、ふと空を見上げたり、横道を覗いたりすると、意外な発見があったりするもので。僕は日々、そういうところをすくい取ることで想像力を養い、そこに自分の感情を加えて曲にしている感じだと思います。