ナタリー PowerPush - 中田裕二
歌謡曲の輝きを俺が受け継ぐ
ベースを弾いてるのが一番楽しい
──確かにこのアルバムって、ベースは聴きどころですよね。表題曲の「MY LITTLE IMPERIAL」とか「UNDO」とか、中田さんがベーシストとして開眼してる感じがする。
(笑)。ありがとうございます。
──これまでベースってこんなに弾いてました?
まあ、バンドのときからベースのアレンジはずっとやってるんですけど、実際弾き出したのはソロになってからで。ちょっと目覚めちゃいましたね、ベーシスト中田裕二に(笑)。ベースを弾いてるのが一番楽しいですし、そこはすごく聴いてほしいんですよ。
──今回のアルバムはゲストミュージシャンも豪華ですよね。ホーンセクションを招いた曲もあるし、ストリングスも、パーカッションも、ウッドベースとトランペットの曲もある。こういうふうに作っていった理由は?
生楽器をいろいろ入れたいっていうのがありまして。やっぱ70年代のポップスをいろいろ聴いてると、名曲と呼ばれているものって生楽器が豊かなんですよね。分厚いコーラスとかパーカッションも入っている。それが自然なことのように思えてきたので、曲が呼んでる楽器は全部入れちゃおうっていうところでこうなりました。ポップスを追究していこうとするとどうしてもいろんな楽器が欲しくなる、という。
──なるほど。このアルバムで目指していた“本物の歌謡曲”のためには必要だった、と。
必要でしたね。なんというか、自分がやるポップスの完成形をひとつ作っておきたいなっていうのはありました。
あの時代にあった輝きを俺が受け継ぐ
──ただ、中田さんが実際に影響を受けた昭和の時代の歌謡曲と、中田さん流の歌謡曲には、違いもありますよね。
そうですね。
──その違いはどういうところだと思います?
それはもう、生きてる時代が違うってところだと思います。あの時代の歌謡曲はあの時代のムードがあった上で生まれてるものなんで。でも、俺はそれが時代と共になくなっていくものとは思いたくないんです。あの時代にあった輝きとか、人間の核心を突いた歌詞だったりメロディだったりを、俺は受け継ぐべきなんじゃないかなという思いがあって。今の時代に生きてる俺が、それを必要だと思ってやってることが大きな違いになっていると思います。
──なるほど。時流に逆らっても自分の追求したいことをやるって、僕は正解だと思うんですよ。流行に乗っかろうとしても、その先端には決して追いつけないわけで、逆に今は古いと思えることも、長期的に考えたらそのうち時代が追いついてくると思うから。
ありがとうございます。そう信じてますけどね。いつか亜流が主流になることだってあるかもしれないんで。まあ俺はそうやっていくべき人間なんだろうなって、最近はすごく実感してます。
ニューアルバム「」/ 2012年月日発売 /
CD収録曲
- MY LITTLE IMPERIAL
- DANCE IN FLAMES
- デイジー
- FUTEKI
- 灰の夢
- ノスタルジア
- UNDO
- 春雷
- 話をしないか
- 女神のインテリジェンス
- セレナーデ
- 静寂のホリゾント
- つかずはなれず
中田裕二(なかだゆうじ)
1981年生まれ。熊本県出身。2000年に宮城県仙台にて椿屋四重奏を結成する。2003年のインディーズデビュー以降、2007年にはメジャーシーンへ進出。自身はボーカル&ギターを務め、歌謡曲をベースにした新たなロックサウンドで多くの音楽ファンを獲得したが、2011年1月に突然の解散発表。同年3月に新曲「ひかりのまち」を中田裕二名義で配信リリースし、本格的なソロ活動を開始する。11月に1stソロアルバム「ecole de romantisme」をリリース。2012年9月には2ndアルバム「MY LITTLE IMPERIAL」を発売する。