ナタリー PowerPush - ムック
新機軸シングル第2弾で15周年イヤーの幕開け飾る
ムックの2012年第1弾シングル「ニルヴァーナ」がリリースされた。昨年11月に発表されたシングル「アルカディア featuring DAISHI DANCE」ではアレンジャーにDAISHI DANCEを迎え、リスナーに新境地を提示した彼ら。続く今作「ニルヴァーナ」は、独特なサンプリングループを用いた、疾走感あふれるムックらしい王道ロックナンバーに仕上がっている。さらに、初回限定盤など各仕様のカップリングにはMoonbugによる同曲のリミックスバージョン、代表曲「最終列車」のクラブリアレンジバージョン、そしてタイトルがネット上で大きな反響を呼んだ新曲「バルス」をそれぞれ収録。バラエティに富んだ、4曲4様の側面を楽しむことができる。
今回のインタビューでは、メンバー4人が各曲の制作の裏側を説明。「要はインパクト重視だったんです」とミヤ(G)が語る「ニルヴァーナ」のタイトルや、逹瑯(Vo)がTwitter上でタイトルをフライング発表していた「バルス」について、さらには6月9日の「ムックの日」に千葉・幕張メッセで行われる15周年ライブについて、その内容の一部を明かしてくれた。
取材・文 / 西廣智一 撮影 / 平沼久奈
インパクト重視で決めたタイトル「ニルヴァーナ」
──新曲「ニルヴァーナ」は田中義人さんをアレンジャーに迎えていますが、どんなきっかけで一緒に仕事することになったんですか?
ミヤ(G) 元々「アルカディア」と「ニルヴァーナ」はアレンジャーを立てて制作したいっていう話をスタッフとしていて、それで紹介されたのが「アルカディア」を手掛けたDAISHI DANCEさんと、今回の田中さんだったんです。2人ともきらびやかさをうまく出してくれたので、結果としてはすごく良かったなと。
──新曲のタイトル「ニルヴァーナ」は涅槃や安らぎを意味する仏教用語ですが、なぜこのタイトルを付けたんですか?
ミヤ バンドのNIRVANAとは全く関係なくて。ニルヴァーナって単語自体は知ってたんですけど、調べるまでは意味を知らなかったんです。だからインパクトがある言葉だなと思って意味を調べたら、たまたま似た意味合いの言葉だったと。
──この曲は「壊れた世界の隅っこで 僕らは空を見上げてる」という歌詞も印象的ですね。
ミヤ 実は歌詞とタイトルは全く関係ないんです。歌詞には「ニルヴァーナ」という言葉は出てこないし、内容も「ニルヴァーナ」という言葉には結びつかないんだけど、曲が完成した後にこのタイトルを付けてみて、なんとなく合うなって思っただけで。要はインパクト重視だったんです。
──そうだったんですね。ほかの皆さんはこのタイトルを聞いたときの印象は覚えてますか?
YUKKE(B) メールで「タイトルが『ニルヴァーナ』に決まりました」って知らされたんですけど、めっちゃ面白くてキャッチーだなと。わかりやすくて覚えやすいタイトルなので、この曲に合ってるのかなと思いました。
完成した歌詞はストレートだけど丸くてやさしいものになった
──歌詞の世界観自体は、なんとなく東日本大震災以降の日本をイメージさせるというか。
ミヤ 歌詞を書いたのが震災の直後で、去年の4月くらいだったかな。なので、そういう心境だったんでしょうね。当時の心境はそのまま歌詞に出てると思います。
──当時の心境を歌詞に込めようと思った?
ミヤ いや、たまたま曲を作っていて、仮の歌詞を付けようと思ったときにフッと出てきたものだったんです。「こういう曲調だしこんな歌詞がいいな」って書く内容を決めているわけじゃなくて、本当にたまたまそのときの心境が歌詞に表れただけで。だから、作詞する時期が違ってたら内容も変わってたかも知れないですね。
──逹瑯さんは歌詞を含め、この曲を最初に聴いたときの印象って覚えてますか?
逹瑯(Vo) すごくストレートだなと思いましたね。最初の仮の歌詞はもうちょっと英単語が入っていて、どこか角張ってるように思えたんですけど、完成した歌詞はストレートだけど丸くて、やさしくなったなって。
──サウンドやメロディ自体はエモーショナルで、これぞムックの王道路線と呼べる楽曲ですが、歌詞は確かに柔らかさややさしさに満ちていますね。
逹瑯 ストレートに伸びていくゆったりとした感じは、歌っていてすごく気持ちいいですね。
──SATOちさんはドラムをレコーディングする際、注意したことはありますか?
SATOち(Dr) すごく伸びやかなイメージの曲ですけど、実際にはスピード感がすごく大事な曲だとスタジオで気付いて。最初はそのギャップに苦労しました。
Moonbugリミックスはマスタリングで初めて聴いた
──ところで、Moonbugさんにはどういう「ニルヴァーナ」の経緯でリミックスをお願いすることになったんですか?
ミヤ 俺がMoonbugさんのファンで、クラブに行ったときに紹介してもらって。DJイベントでも競演してるんですけど、そこから知り合いになってオファーしました。
──リミックスをお願いするときに、事前にこうしてほしいということは伝えましたか?
ミヤ 一切してないです。「この曲リミックスしてもらえますか?」「いいですよー」で終わり。余計なことは言う必要はないし、できあがってきたトラックも一切チェックしてないですからね。マスタリングの際に初めて音源を聴いたくらいですから。「この人だったらお願いしても大丈夫だろう。この人だったらこういうアプローチをしてくれるだろう」というイメージがなんとなくあったけど、予想どおりだった部分と「ここはそうきたか」という予想外の部分があって。ほかのDJとはちょっと違ったセンスの持ち主だと信頼してたので、お願いして良かったですね。本人は「ちょっと真面目にやりすぎた」って言ってましたけど。
──音の使い方がロック畑の人とはまたタイプが違うというか。
ミヤ そうなんですよ。タイプも違うんですけど、俺らの想像を絶するアイデアをたくさん取り入れていて、そういうセンスも面白かったです。
──ロックのイメージも残しつつ、それでいてクラブミュージックとしても成立してるのが面白いですね。
ミヤ このテンポのクラブミュージックっていうと、ドラムンベースやダブステップくらいなのかな。そういう部分のカッコ良さはロックに通じるものがあると思います。
初回限定盤CD収録曲
- ニルヴァーナ
- 最終列車 -WAREHOUSE FLAVORED VER.-
初回限定盤DVD収録内容
- ニルヴァーナ(VIDEO CLIP)
- ニルヴァーナ(SHOOTING AND MORE)
- 路地裏 僕と君へ(JACK IN THE BOX 2011 LIVE(2011.12.27@日本武道館))
- アルカディア FEATURING DAISHI DANCE (JACK IN THE BOX 2011 LIVE (2011.12.27@日本武道館))
- ニルヴァーナ(JACK IN THE BOX 2011 LIVE(2011.12.27@日本武道館))
通常盤収録曲
- ニルヴァーナ
- バルス
- ニルヴァーナ -MOONBUG REMIX-
期間限定盤収録曲
- ニルヴァーナ
- ニルヴァーナ(TV EDIT)
- ニルヴァーナ -MOONBUG REMIX-
LIVE INFORMATION
- MUCC 15th Anniversary year Live -
「MUCC vs ムック vs MUCC」
2012年6月9日(土)千葉県 幕張メッセ国際展示場ホール1~3
OPEN 14:39 / START 16:09 / END 20:00(予定)
一般発売日:2012年4月14日(土)
ムック(むっく)
1997年に茨城で結成された4人組ロックバンド。水戸・千葉・東京を中心にライブ活動を展開。日本語にこだわった文学性の強い歌詞と、従来のヴィジュアル系サウンドに欧米ヘヴィ / ラウドロックからの影響をミックスした独自の音楽性が高く評価されている。インディーズでの活動を経て、2003年5月にシングル「我、在ルベキ場所」でメジャーデビュー。同年8月にはドイツのメタル系フェス「Wacken Open Air」に出演するなど、海外での活動も積極的に行っている。2006年には初の日本武道館公演を敢行したほか、初のアメリカライブを開催。また2007年7月にはGUNS N' ROSESのジャパンツアーでオープニングアクトを務め、話題となる。2008年には海外のバンドと北米、ヨーロッパ、日本を回る大規模なツアー「Rockstar Taste Of Chaos 2008」に参加。2011年5月に初の日本武道館2days公演を行い、大成功を収める。同年11月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ移籍第1弾シングル「アルカディア featuring DAISHI DANCE」を発売。2012年3月にはテレビアニメ「妖狐×僕SS」のオープニングテーマ「ニルヴァーナ」をシングルリリースした。