メンバーよりお客さんのほうが度胸があった

──他にもレコーディングライブ当日に印象的だったことはありますか？

出口　やっぱり、すごく印象に残ってるのはbloodthirsty butchersの吉村（秀樹）さんと（田渕）ひさ子さんと一緒にできたことですね。ゲストを招いての一発録音っていう緊張感もあるし、それ以前に、吉村さんは高校の頃から観てきた人だったので。同じ北海道出身とはいえ大先輩ですし、伝説をいろいろ聞いていたし、その人と一緒にできるっていうのは光栄であると同時に、自分の培ってきたもの全部出さなきゃいけねえなっていう緊張感と一体感があって。

ヒダカ　だから2人と共演した「ソシアル」は1日目も2日目もどっちも良かったよね。

桃野　そう。どっちも緊張してたという（笑）。

松下　緊張感って曲や表現に対してすごい大切なんだなっていうのを再認識しましたね。

──僕は2日目にいたんですけれど、客席からに吉村さんに「可愛い！」って声が上がってるのが、すごく新鮮でした。

出口　あれはちょっと衝撃ですよね。ニコ生で中継してたんですけど、そこのコメントも吉村さんが出てきたときに「可愛い」ってコメントが圧倒的に多かった。

──ステージ上のメンバーはめちゃくちゃ緊張しているのに（笑）。

ヒダカ　面白かったよね、あの扱われ方。ステージ上ではライオンが1匹放たれてるみたいな感じなのに、年下の人にとってはレジェンドどころかお父さんみたいなもんだから。

──お客さんの感じはどうでした？ 普通にライブを観にきたのとは全く違う体験だったと思うんですけど。

ヒダカ　びっくりするぐらい混乱してなかったよね。もっと困惑すると思ってた。

松下　僕らも、いろんなシミュレーションをしたんですよ。「まずは曲を聴いてもらう？」「いやそれもどうかなあ」みたいな。でも、何も説明せずにいきなり登場したらお客さんがすごく盛り上がってくれて。

ヒダカ　メンバーよりお客さんのほうが度胸があったというか。

松下　おかげで助けられましたね。

参加する、自分も作る、自分も考えるっていう時代

──ここからは今回のアルバムそのものというよりも、もう少し大きな話になるんですが、実は「レコーディングライブ」って、音楽業界やエンタテインメント業界の新しい潮流の一つだと思うんですよ。

桃野　ほうほう。

──単にコンテンツやパッケージを手に取るだけじゃなく、そこに自分が参加するタイプのエンタテインメントが、いろんな分野で生まれている。アイドルの握手会とかハイタッチ会も、アニメの「聖地巡礼」もリアル脱出ゲームも、そうだと思うんです。そういうものが人気を集めてきている。

出口　それは、ここ数年でFacebookとかTwitterとかのツールがすごく浸透してきたせいかもしれないですね。全ての人が発信者になった時代だっていう。受けとるばっかりではなくて、それについてどう思うか、それを発信することで楽しむようになってきた。参加する、自分も作る、自分も考えるっていうのが今の時代の流れになってきたという。

ヒダカ　特にTwitterはそれが顕著だもんね。

──そう、明らかにTwitter以降のエンタテインメントの変化なんですよね。

出口　だから、今回の「新造ライヴレーションズ」も、ライブレコーディングが終わった後に、思った以上に楽しかったとか、反応がリアルに見えて。

ヒダカ　リアクションをお互いにシェアしやすくなったよね。

──で、一方では「お持ち帰りCD」というものもあるんですよね。ライブをやって、その音源がその場でパッケージになったものを買うことができるような試みもある。ライブの体験とパッケージの購入がシームレスになっている。そう考えると、MONOBRIGHTが今回やった試みって、音楽業界における「参加型エンタテインメント」の新しい潮流を示すアイデアかもしれない、と。

ヒダカ　多分、みんな向いてる方向が揃ってきたんでしょうね。

出口　あれもできない、これもできない、何もできないじゃなくて、「これができるじゃん！」っていう。

ヒダカ　そういうベクトルがみんな無意識のうちに揃ってきてるのかもね。

やっぱり最近はちょっと浮気が過ぎるぞ

──ちなみに、この5人のMONOBRIGHTとしては丸2年が経ったわけですが。どうでした、2年間は？

桃野　我々、嫁としてヒダカさんを迎え入れて、盛り上がって子作りしてきたわけなんですけど──。

ヒダカ　アルバム2枚、シングル2枚、ミニアルバムが1枚。すごい子沢山だよね。

出口　そうなんですよ。サッカーチーム作れるぐらい子沢山（笑）。

ヒダカ　だから、濃厚な2年でしたよ。早かったよね？

出口　早かったですね。全然2年経った感じがしない。

ヒダカ　ほんとは半年ぐらいしか経ってないんじゃない？（笑）

桃野　でも、やっぱり最近はちょっと浮気が過ぎるぞ、っていう（笑）。

出口　たまに家を空けがちなんですよね。

ヒダカ　ニコ生のレギュラーにいなかったりするからね（笑）。

桃野　だから、浮気が丸見えなのはどうかっていう話し合いが今度始まるんじゃないかな（笑）。

──確か、2年前の「MINAMI WHEEL」でヒダカさんの加入を発表したんでしたっけ？

桃野　そうですね。そこで結婚発表でした。今年はどうなるのかな？っていう。

ヒダカ　解散する？

──いやいや！

桃野　まあ、MONOBRIGHTは何が起こるかわからないですからね（笑）。