ナタリー PowerPush - MONOBRIGHT

壮絶ライブレコーディングの裏側を語る

構想1年、制作2日、盤になるまで1カ月

──レコーディングライブは8月にあったわけですけれども。そこに至るまでの準備は長かったわけですよね。

ヒダカ そうですね。構想1年、制作2日(笑)。

松下 そして、盤になるまで1カ月(笑)。

──準備は大変でした?

出口 大変でしたね。

ヒダカ 全部で40~50曲は作ったからね。

インタビュー写真

出口 しかも、前例がほとんどないことでしたからね。メンバーとスタッフの意識の共有から始まって。だから、まずは似たアプローチの作品を探したんです。ああいう名盤もあるぞ、この人たちもこういうやり方でやってるぞって。

松下 まずお勉強からやりましたね。

出口 で、「こういう曲を作ろう」って手探りでやっていった。大変でしたけど、面白い作業でした。

──同じようにライブ録音された過去のいろんな作品を参考にした、と。

松下 そもそも、昔のレコードってちゃんとレコーディングされていない音源も多いんですよね。だから、マイク1本立ててその空間で鳴らすのが音楽なんだなとか、本質的なところから考えましたね。もちろんいろんなやり方はあるけど、根底はそういうところにあるのかなって。

ヒダカ だから、これって、多分MONOBRIGHT版ルーツバックなんだよね。もろに泥臭い音楽をやろうとかじゃなくて、過去の音源を聴いた結果、どういう"泥"が出てくるか?みたいな。俺らなりに1回それをやってみたっていうことなんでしょうね。

その曲の立ち位置を参考にして曲を作った

──このアルバム、収録曲にそれぞれ"参考曲"があるんですよね。たとえば1曲目「FUNKTOPIA」はウィルソン・ピケットの「ダンス天国」、2曲目の「E.Z.O」はMC5の「Kick Out the Jams」を参考にしている。そのリストを記事に載せたいと思って、念のためスタッフの方に「この情報は公開していいんでしょうか?」って訊いたんですけど、「全然構いません」と 。

ヒダカ いいと思います。まんまなわけじゃないし。パクッたわけではないからね。

──そうそう。「パクリじゃなくてオマージュだ」っていうのはこういうことだ、という。元の曲を再解釈して新しい曲を作っているわけで。

松下 別に曲を真似してるわけじゃないですからね。オマージュっていうのがほんと正しいと思う。

ヒダカ 立ち位置を狙って作ったっていう感じ。

桃野 そうそう、そのバンドのそのアルバムのその曲の立ち位置。そこを結構参考にしたっていう。

ヒダカ 「えっ、これが参考だったの?」みたいに思う曲もあると思うんですよね。「全然ちゃうやん!」みたいな。

「新造ライヴレーションズ」参考曲一覧

曲名 参考曲タイトル 参考曲アーティスト
1. FUNKTOPIA ダンス天国 ウィルソン・ピケット
2. E.Z.O. Kick Out The Jams MC5
3. DEEP TRICK 透明少女 NUMBER GIRL
4. ハートビート Basket Case GREEN DAY
5. SHOUT TO THE TOP Wake Up Boo! THE BOO RADLEYS
6. 感情GUN, 薄情DIE Rocks PRIMAL SCREAM
7. アブラカダブラ 人生は上々だ ユニコーン
8. ウォークウォークウォーク ばらの花 くるり
9. ソシアル Waterfall THE STONE ROSES
10. ACTION! You Made Me Realise MY BLOODY VALENTINE
11. 旅立ちと少年3 Only In Dreams WEEZER
12. ゆあそう・びゅーちふる You are so beautiful ビリー・プレストン
13. ココロニー Denise FOUNTAINS OF WAYNE
14. ジャイアントステップ Monkey Wrench FOO FIGHTERS

──当日実際にやってみて、ライブレコーディングならではのことはありました?

ヒダカ 今回、タッキー(瀧谷翼)のドラム、クリックを使わなかったんですよ。

──通常のレコーディングだったらコンピュータでメトロノームの音を出してそれに全員が合わせるというのが一般的な手法ですよね。今回はそれを使わなかった、と。それはなぜ?

インタビュー写真

瀧谷翼(Dr) やっぱり、ライブレコーディングなので、お客さんと一緒にみんなで作るっていうのをやりたくて。

ヒダカ 今回タッキーが言ってたので、一番印象的だったのは、「自分がクリックを聴くならみんなにも聴いてもらわないとやりたくない」っていう。珍しく、タッキーが男らしいことを言ったな、と。最初で最後の男らしさでした(笑)。

瀧谷 終わっちゃったんですね(笑)。

松下 もうない。あとは髪型変えるぐらいしかない。

──ははは!(笑) 実際に録音した音を聴いてみた感触はどうでした?

ヒダカ 意外だったのは、2日間やったんですけど、2日目の方が慣れてるからいいテイクが多いんだろうなと思っていて。でも、聴いたら1日目のほうが緊張感と勢いがあって良かった。

松下 そうなんです、不思議なんですよこれが。

ヒダカ 演奏してる最中も「これは2日目のほうがいいな」と思ってた曲も、実際に聴いたら1日目のほうが良かったり。8割くらいは2日目だと思ってたら、実際は半々だった。

松下 よく「1発目のテイクがいい」っていうじゃないですか。それって、こういうことなんだなっていう。

ニューアルバム「新造ライヴレーションズ」/ 2012年10月10日発売 / DefSTAR Records

CD収録曲
  1. FUNKTOPIA
  2. E.Z.O.
  3. DEEP TRICK
  4. ハートビート
  5. SHOUT TO THE TOP
  6. 感情GUN, 薄情DIE
  7. アブラカダブラ
  8. ウォークウォークウォーク
  9. ソシアル
  10. ACTION!
  11. 旅立ちと少年3
初回限定盤ボーナストラック
  1. ゆあそう・びゅーちふる
  2. ココロニー
  3. ジャイアントステップ
銀さん盤(DVD付き初回限定盤)CD収録曲
  1. ムーンウォーク
  2. 旅立ちと少年3(スタジオREC ver.)
  3. アンチ・ヴァイオレント・セクシー
  4. FUNKTOPIA(instrumental)
  5. ムーンウォーク(less vocal)
銀さん盤(DVD付き初回限定盤)DVD収録内容
  • 「ムーンウォーク」ライブ映像(8/14@新代田FEVER)
  • 「旅立ちと少年3」ライブ映像(8/14@新代田FEVER)
  • 「ハートビート」ビデオクリップ
金さん盤(フルヴォリューム盤)CD収録曲
  1. ムーンウォーク
  2. 旅立ちと少年3(スタジオREC ver.)
  3. LET IT RIDE
  4. ムーンウォーク(LIVE ver.@新代田FEVER)
  5. ムーンウォーク(less vocal)
MONOBRIGHT(ものぶらいと)

2006年、桃野陽介(Vo, G)、松下省伍(G)、出口博之(B)、瀧谷翼(Dr)の4人で結成し、2007年7月にシングル「未完成ライオット」でメジャーデビュー。2010年2月には「DO10!!攻約宣言!」と題し、10項目に及ぶライブ・リリースプランを公約として発表。さらに同年11月、新メンバーとしてヒダカトオル(Vo, G, Key / ex. BEAT CRUSADERS)が加入し、ファンを驚かせた。2011年5月に、5人体制で初のフルアルバム「ACME」をリリース。2012年10月にはライブレコーディングで制作したニューアルバム「新造ライヴレーションズ」を発表する。