音楽ナタリー Power Push - MONGOL800

今の日本に鳴り響く警鐘「People People」(ピーポーピーポー)

MONGOL800の通算7枚目のオリジナルアルバム「People People」が完成した。戦後70年という節目の年に発表される本作は、慰霊の日に先行公開された「himeyuri ~ひめゆりの詩~」をはじめ、沖縄に対する言及が多分に含まれた作品であると同時に、「ピーポーピーポー」と読むタイトルからもわかるように、今の日本社会に対して強烈な警鐘を鳴らしている作品でもある。一方、サウンドに関しては3ピースバンドならではのソリッドさが際立ち、キヨサク(Vo, B)はその手応えを「『MESSAGE』を作り終えたときの感触に似ている」と話してくれた。

この特集ではキヨサクの単独インタビューを中心に、儀間崇(G)と高里悟(Dr)のコメントも掲載。このテキストを通して、モンパチの今が凝縮された作品をぜひじっくりと味わってほしい。

取材・文 / 金子厚武 撮影 / 広川智基

 
mixiチェック

今生きてる人たちへの警鐘“ピーポーピーポー”

──「People People」は強いメッセージ性が感じられるアルバムで、戦後70年という節目の年に出ることがとても意義深い作品だと思いました。

狙ったわけではないんですけど、結果的にはうまくハマったかなって。ホントはもっとポップなやつを作りたかったんですけど、ふたを開けてみると「あれ?」っていう(笑)。

──なぜ当初ポップな作品を作ろうと思ったのですか?

前作の「GOOD MORNING OKINAWA」は、結成15周年っていうのもあって、自分たちの生まれ育った沖縄をもう一度見つめ直すっていう意味があったし、ツアーも1年かけてライブハウスとホールを回って、そのときやりたかったことは消化できた感じがあったんです。なので、次はメッセージ性というよりは、もうちょっと聴いてて明るく楽しくなれるようなものを作りたいと思って。ただ、いざ制作の段階に入ってみると社会情勢とか時代背景がまた変わってきていて、結果的にラブソングが3曲しか入ってなかった(笑)。

キヨサク

──沖縄の問題はもちろん、今の日本全体のムードを反映させたときに、自然とメッセージ色が強くなっていったと。

たぶんそうでしょうね。いい意味で、ラブソングはいつでも歌えると思うんですけど、今はそうじゃないのかなって。「People People」っていうタイトルとジャケットのイメージは早い段階で見えてたんです。今生きてる人たちへの警鐘というか。それでタイトルの読みは救急車のサイレンみたいな「ピーポーピーポー」にして、ジャケットも自分の中では日の丸のイメージで。とにかく情報が交錯してて、どれが正解なのかもわからない。そのもがいてる感じも含めて歌になるというか、素直に作っただけと言えばそれだけなんですけどね。みんながみんなこういうアルバムを出すべきかっていうと、そういうことでもないと思うし。

──昨年横山健さんに取材をさせていただいたときに、「現状こんな日本で生きてたら、怒らないほうがウソでしょ?って気もする」っておっしゃっていて、表現の仕方はそれぞれだけど、共通するムードはあるように感じます。

そうかもしれないですね。年をとればとるほど理不尽な状況も見えてくるし、「政治ってこんな感じで回ってるんだ」っていうのは、20歳ぐらいじゃわかんないことで、そこに警鐘を鳴らす人たちがいてもいいんじゃないかと思います。前作までは「皆さんどう思ってるんですか?」って投げかけて返事待ちする時間があったんですけど、今回はそこを端折ってこっちからアクションを起こしたっていうか。「僕たちはこう思ってます、以上!」っていう、そういう感じかもしれないですね。

──そういえばアルバムをリリースする前に昨年、シングル「OKINAWA CALLING」が出ていて、これは沖縄で流れるCM用に書き下ろした曲だったんですよね?

あの曲は沖縄の若い人を応援するっていうテーマがありつつ、タイトルはもちろん「LONDON CALLING」にかかっていて、沖縄の現状に対するメッセージでもありました。3番くらいでちょっとシニカルなこともしれっと入れてますけど(「右の翼も 左の翼も 関係ないだって 僕ら飛べない鳥」)、あれは沖縄のヤンバルクイナとかけてて、一歩一歩歩いていくしかないっていう。そういうことを提示できるのが沖縄だと思うんですよね。いや、長崎もだろうし、広島もだろうし、日本がそうだってことでもあると思うんですけど。

ニューアルバム「People People」 / 2015年8月19日発売 / 3024円 / TISSUE FREAK RECORDS / HIGH WAVE / HICC-4001
「People People」
収録曲
  1. himeyuri ~ひめゆりの詩~
  2. OKINAWA CALLING(Seasir Mix)
  3. Love is guilty
  4. D・I・Y
  5. NANKURU
  6. Window
  7. STAND BY ME
  8. People People
  9. MONSTER GOVERNMENT
  10. いったーあんまーまーかいが
  11. Beach
  12. to be continued
モンパチNEWS

「to be continued」ミュージックビデオ公開!

MONGOL800×ヴィレッジヴァンガード限定Tシャツ発売決定!

MONGOL800×ヴィレッジヴァンガード
MONGOL800(モンゴルハッピャク)
MONGOL800

キヨサク(Vo, B)、儀間崇(G)、高里悟(Dr)による沖縄在住のスリーピースバンド。高校在学中の1998年に沖縄で結成。1999年に沖縄限定で「GO ON AS YOU ARE」をリリースするが、あまりの反響の大きさから2000年に全国発売となる。2001年に発売したアルバム「MESSAGE」は収録曲がCMソングに使用され、インディーズレーベルからの発売としては異例のメガヒットを記録。幅広い世代に響くキャッチーなメロディとストレートな歌詞でリスナーを魅了している。2015年8月に通算7枚目となるオリジナルアルバム「People People」をリリース。9月末より新作を携えてのリリースツアーを開催する。