音楽ナタリー Power Push - MONGOL800
今の日本に鳴り響く警鐘「People People」(ピーポーピーポー)
「MARCH 11」から「continue」に
──ラストの「to be continued」は、キヨサクさんが参加されているTHE King ALL STARSの「continue」のモンパチバージョンですね。
もともと加山さんのTHE King ALL STARSに楽曲提供するっていう話があって、せっかくあのバンドでできるんだったら、いろんな意味で大きなメッセージの曲にしたいと思って、モンパチでは選びそうにない言葉も恥ずかしがらずに書けたんですよね。実は、最初の4行ぐらいは震災のあとに書いたもので、タイトルも「MARCH 11」とかを考えてたんです。ただ、今年の初めに母親が亡くなったり、いろんなことがつながっていって。不思議な職業だなって思うんですけど、それを歌ってもらえる、発信してもらえるっていうのはありがたい環境だなって思います。まさかの、今度THE King ALL STARSでMステ出るんですけど(参照:次週MステにKANA-BOON、関ジャニ、加山率いるTHE King ALL STARSら登場)。
──あ、そっちで出るんですね(笑)。
加山さんが気に入ってくれて、この歌をやるんです。で、タイトルは「continue」が先にあったんで、俺らのバージョンはそれに続く「to be continued」にして、それが結局アルバムの最後に収まりました。
──結果的には「ここしかない」っていう感じですよね。いろんな問題を含みながらも、それでも続いていく、未来はあるっていうか。
そうですよね。「MARCH 11」だったら、1つのメッセージにしかならなかったと思うんですけど、もの作りってホント不思議だなって。
作り終わったときの感覚が「MESSAGE」に近い
──THE King ALL STARSだったり、上江洌.清作 & The BK Sounds!!だったり、あとは東京スカパラダイスオーケストラや怒髪天、加藤登紀子さんとか、近年のキヨサクさんはいろんな人と関わりながらもの作りをしていて、それが結果的にモンパチに還元されている部分も大きいのかなって思うんですよね。
スケジュールが完璧に無理っていうとき以外は、依頼が来たからには力になりたいと思ってて。それをやると何を求められているかを確認することにもなるし、自分の武器を再確認することにもなって、巡り巡ってモンパチに還元されてると思います。これまでは音源とライブの差を意識してて、ライブは3人でどこまでできるかを突き詰める一方で、音源はいろんなことを試してきたんですけど、今はまたシンプルに削ぎ落としていく方向になってるんですよね。それがちょうどいい塩梅になったのが今作かなって思ってるんですよ。面白いのが、今回ギターソロがほぼないんです。いい意味でパパッと作ったというか、テイクも少なめで選ぶ癖をつけるようにしたり。そういう意味では、作り終わったときの感覚が2枚目(「MESSAGE」)に近いんですよね。
──「MESSAGE」に近いっていうのは、もう少し詳しく言うとどういう部分ですか?
いい意味で放り投げた感じがあって、責任を持ちすぎてない。昔は「これがどうなろうが知ったこっちゃない」って感覚で作ってたけど、だんだんパッケージがうまくできるようになってきて、仕事はしやすくなるんだけど、その分つまらない作品になってしまう危険性もある。そういう中で、今回はあえてゴチャッとしたまま作ったっていう、その後味がちょっと似てるんですよね。しっかり作り込んだのが意外とスカッと空振りして、何も考えずに作ったときに「よかったです」って言われたりもするので。
──名曲と呼ばれてる曲って、実は「5分でできた」みたいな話もよくありますもんね。
その方法が一番ピュアなのかもしれないですよね。俺らは3人で右も左もわからないままオリジナルを7枚作ってきて、いろんなミュージシャンとセッションしたりもして、それによって引き出しが増えて、やっと自分たちのいいところが自分たちでもわかったっていうタイミングなのかもしれない。ザ・クロマニヨンズとかって、ステレオですら録ってないじゃないですか? あの振り切り方は自分たちの魅力をわかってやってるわけで、それに対してお客さんも「これだよ!」って喜んでる。そういう需要と供給みたいなのが、うちらもやっと合致し出したのかな(笑)。
──いわゆる原点回帰ではなくて、いろんなことを積み重ねてきた、その先のシンプルさなんでしょうね。秋からはツアーもあるので、新曲がライブでどう響くかも気になります。
今回は今書けることを書いた作品なので、どんなリアクションがあるかは期待半分不安半分なんですけど、わりとシンプルに作ってる分、ツアーに関してはそんなに大変そうなイメージってないんですよね。おじさんたちがいい意味で中指立ててるようなエネルギーが出てると思うし、逆に言うと、その中に何曲かあるラブソングを大事に歌ってあげたい。そういうツアーになるんじゃないかと思いますね。
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- ニューアルバム「People People」 / 2015年8月19日発売 / 3024円 / TISSUE FREAK RECORDS / HIGH WAVE / HICC-4001
- 「People People」
収録曲
- himeyuri ~ひめゆりの詩~
- OKINAWA CALLING(Seasir Mix)
- Love is guilty
- D・I・Y
- NANKURU
- Window
- STAND BY ME
- People People
- MONSTER GOVERNMENT
- いったーあんまーまーかいが
- Beach
- to be continued
MONGOL800(モンゴルハッピャク)
キヨサク(Vo, B)、儀間崇(G)、高里悟(Dr)による沖縄在住のスリーピースバンド。高校在学中の1998年に沖縄で結成。1999年に沖縄限定で「GO ON AS YOU ARE」をリリースするが、あまりの反響の大きさから2000年に全国発売となる。2001年に発売したアルバム「MESSAGE」は収録曲がCMソングに使用され、インディーズレーベルからの発売としては異例のメガヒットを記録。幅広い世代に響くキャッチーなメロディとストレートな歌詞でリスナーを魅了している。2015年8月に通算7枚目となるオリジナルアルバム「People People」をリリース。9月末より新作を携えてのリリースツアーを開催する。