ももいろクローバーZ結成15周年特集 玉井詩織×伊藤沙莉|アイドル活動15年と俳優活動20年、仲良しな2人が語り合う仕事観 (2/2)

「いろんなお仕事をやりたい」と簡単には言いたくない

玉井 そんな中で、実は演技に対しては苦手意識が強くて。ただ、興味はすごくある。そういう感じの仕事の話はよくするよね。「何したいの?」って沙莉から聞かれたり。

伊藤 「幕が上がる」でしおりんが演じたユッコ先輩もそうだったけど、演技に関しては、演じようという意識が出すぎていない感じが素敵だと思う。

玉井 そうかな。お芝居は苦手意識にプラスして、そこの畑を生業にしてる人に対しての緊張感があって。でも俳優をしてる友達が多いから、そんな簡単なものじゃないと思いつつ、近くで見ているとやっぱり興味は出てきますね。

玉井詩織

玉井詩織

──玉井さんの特徴を表すとき、オールマイティ、オールラウンダーという言葉が使われることが多いですよね。実際、演技も含めて今幅広くいろんな仕事をやっていきたいという気持ちがあるんでしょうか?

玉井 そうですね……。でも、私は少し頑固なところがあって、やるからにはどれもちゃんとやりたいんです。だから、「いろんなお仕事をやりたい」と簡単には言いたくなくて。

伊藤 でもさ、アイドルの本業ってなんなんだろうね。歌と踊りもやれば、バラエティ番組に出ることも多いじゃない。

玉井 確かにそこは難しいよね。感覚的にはライブが本業かなと思ってる。

伊藤 そっか、そうだよね。そんな中、バラエティとかに出ているのを観ていても、しおりんはすごくうまいんですよ。立ち回りとか、今何が必要かを把握することが。MCや場を回す役回りをやるときもあるし、毎日違うことが起きる仕事に対応していくのは本当にすごいと思う。チャーミングだけど、根っこがしっかりしていて。そういう人に育っていく環境なんだろうね、ももクロって。いろんな活動をやっていく中で、ちゃんと考えて動かなきゃとか、逆に考えないようにしようとか、そういう判断ができるようになっていく。新しい場所に飛び込むのは最初は誰でも怖いけど、そういうところに何度も何度も立ち続けたら、どんどん皮が厚くなって強くなっていくんだろうなと思う。その強くなっていく様が見ていてカッコいい。

伊藤沙莉

伊藤沙莉

──ももクロは今年で結成15周年、伊藤さんは今年で俳優活動20周年になりますが、活動を長く続けられている理由を挙げるとしたらなんでしょうか?

玉井 この話題、前に会ったときに沙莉と話したよね。私、人生設計をちゃんとしてこなかったタイプなんですよ。何歳のときにどうなっていたいか、昔から明確に考えてこなくて。「今ももクロという活動が楽しい」という気持ちでいるうちに、新しく興味が湧くことが見つかってきた。そしてそれがすべてももクロをやりながらでもできるものだったという。「私と仕事どっちが大事なの!?」みたいな状況にならなかったというか。「ももクロとこれどっちが大事なの!?」って(笑)。だから私は続けてこれたのかなと思います。辞めようと本気で悩んだタイミングもなかったかな。

伊藤 なるほど。自分は……「好きだから」という理由しかないですけど、私もしおりんのその考えに似たところあるっていう話をしたんだよね、この前。もともとダンサー志望だった中、あれよあれよとお芝居をするようになっていったので、役者という職業を自分で選択したタイミングは一度もないんですよ。選んでない。活動を始めた頃はまだ子供でしたし。でも何をするにも3日坊主で、継続してできたことがほとんどない中、興味が尽きたことがないのはお芝居ぐらいで、自分に備わってないと思ってた感情や感覚が湧き上がってきたきっかけもお芝居なんです。悔しいという気持ちも、自分がこうしたいんだという主張も昔は自分にはないと思っていたんですよ。だから伊藤沙莉という人間を形成していく中で、確実に必要な要素だったんです、お芝居って。ただ、お芝居の世界がないと自分の中の何かが欠けちゃうという感覚はありつつも、いつ辞めてもいい、辞めたくなったら辞めようと思っているから続いている部分もありますね。

2人の将来

──仕事観についてたっぷりと語り合っていただいたところで、お互いに自身の最近の活動について告知をしていただければと。

玉井 ももクロは「いちごいちえ」という結成15周年記念ソングのミュージックビデオをYouTubeで公開しまして。「いちごいちえ」はこの15年間に“いちごいちえ”があり、そのおかげで今の私たちがあるから、今まで出会った人たちに感謝の気持ちを伝えようという曲です。

伊藤 私はまだMVを観てなくて……すみません!

玉井 大丈夫だよ(笑)。

伊藤 その代わりじゃないけど、私、ももクロのライブに行くとどのお客さんより全力で楽しんでいるんですよ。これは本当、(百田)夏菜子ちゃんのお母さんに聞いてほしい。同じ列で観ていてすごく驚いていたから(笑)。それに私も一応ね、ももクロの架空のメンバーなので。

玉井 ももクロの隠れメンバー、“茶色担当ちゃいり”だからね(笑)。あと、私個人としては「SHIORI TAMAI 12 Colors」と題して、今年1月から12カ月連続でソロ曲を配信リリースしていて。うちのグループは、(高城)れにちゃんやあーりんがソロコンサートをやったり、ソロ曲を出したりしているし、リーダー(百田)も2021年にソロコンを開催しましたが、そういう音楽の部分でのソロ活動って“自己発信制”なんですよ。事務所側から強制されることもなければ、レコード会社から「やってください」と言われることもなくて。そんな中、私は自分から発信をするというタイミングが今までなかったのでソロでの音楽活動をやってこなかったんですけど、ソロ曲を待ち望んでくれてる方がいるということは知っていました。でも、自分の中でタイミングが見つからなかったというか。私、そういうところは頑固なんですよ。変に強いこだわりみたいなのがあって、今のタイミングじゃないな、違うなと思い続けていたんですけど、年齢を重ねたこともあって、自分から発信することが大事だなって去年ようやく思いまして。毎月作品撮りみたいな感じで、一種の表現として写真を撮ってもらってファンクラブサイトに載せたんです。で、その写真を撮っていたら、「あ、写真を曲にしたら面白いかも」と思いついたんですよね。12カ月分、いろんなパターンの写真を撮ることができたし、そこから曲を作るのって、今までほかのメンバーもやってこなかったことだし、これが自分の1つのタイミングなのかもと思いました。

伊藤 ソロ曲をリリースするってニュースが出たときに連絡したよね。「すごいね!」って。私からの告知は、舞台「パラサイト」がしおりんの舞台(熱海五郎一座の新橋演舞場シリーズ第9弾「東京喜劇『幕末ドラゴン ~クセ強オンナと時をかけない男たち~』」)と同じくらいの時期にあるのと、7月からはテレビ朝日系列で主演ドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」が放送されます。

玉井 もちろん観ますよ。

左から玉井詩織、伊藤沙莉。

左から玉井詩織、伊藤沙莉。

──芸能活動が長いお二人が、今後挑戦してみたいことってありますか? ぜひ最後に将来の話を。

伊藤 将来の話……難しい。

玉井 20代ラストでしょ。今年。でも、あまりそういうことを気にして生きてないもんね。

伊藤 そうだね。気にしてないし、まず第一に、私はまだやったことのない役がたくさんあるから、挑戦するとしたらそっちかな。それでいつか「いっぱいやったな」と思えるときが来たら、今までとは違うこともやりたくなるんだと思う。しおりんはどう?

玉井 うーん、そうだなあ……。私も新しくやりたいこと、というより、すでにいろんなことを経験させてもらってきているので、その1つひとつに深みを出していきたいな。あくまで私の主観だけど、アイドルっていろいろなことをやる分、軽く見られやすい職業でもあると思うのね。それは自分が活動している中で感じる部分もあって、そんな中でもちゃんと認められるような存在になりたいという思いがあるかな。どの現場に行ってもちゃんと必要とされたいし、アイドルだからっていう甘えを自分でも許したくない。あと、野望を語るとすれば、私は海外に興味があるので、海外でお仕事をしてみたいな。もちろん日本にもももクロのことを知らない方がまだまだいると思うけど、海の向こうにはそういう人がたくさんいるわけで、新たな出会いをしたいんです。それに、プライベートでもまた海外に行きたいね。2人で休みを合わせて。

伊藤 そうだね。2019年にうちの事務所の堺小春と3人でフロリダのディズニーワールドに行ったんですよ。フロリダもまた行きたいし、ほかにも海外で行きたいところいろいろあるよ。

玉井 私もだよ。この場を借りてお互いに「休みを合わせてください」って言っとこ。

伊藤 (マネージャーに向けて)ぜひ休みを合わせてください。

玉井 あははは。よろしくお願いします。

左から玉井詩織、伊藤沙莉。

左から玉井詩織、伊藤沙莉。

ツアー情報

ももいろクローバーZ 結成15周年ツアー

  • 2023年7月16日(日)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
  • 2023年7月17日(月・祝)愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 2023年8月5日(土)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
  • 2023年8月6日(日)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
  • 2023年9月9日(土)福岡県 北九州ソレイユホール
  • 2023年9月10日(日)広島県 ふくやま芸術文化ホール・リーデンローズ
  • 2023年9月14日(木)大阪府 大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
  • 2023年9月15日(金)大阪府 大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
  • 2023年9月18日(月・祝)宮城県 名取市文化会館 大ホール
  • 2023年9月23日(土・祝)新潟県 新潟テルサ
  • 2023年10月14日(土)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
  • 2023年10月15日(日)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ

プロフィール

玉井詩織(タマイシオリ)

1995年6月4日生まれ、神奈川県出身。2008年結成のアイドルグループ・ももいろクローバーZのメンバーで、イメージカラーは黄色、キャッチフレーズは「ももクロの若大将」。2018年にNHKの連続ドラマ「女子的生活」にメインキャストで出演し、2019年からはフジテレビNEXT「しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村NEXT」のMCを務めている。そのほか、映画やバラエティ番組への出演など、個人での活動は多岐にわたる。2023年6月には熱海五郎一座の新橋演舞場シリーズ第9弾「東京喜劇『幕末ドラゴン ~クセ強オンナと時をかけない男たち~』」に出演。また1月にソロプロジェクト「SHIORI TAMAI 12 Colors」を始動し、12カ月連続でソロ曲を配信リリースしている。ももクロとしては4月に結成15周年記念ソング「いちごいちえ」を配信リリースし、5月に東京・国立代々木競技場第一体育館で結成15周年ライブ「代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary」を開催。7月から15周年記念ツアーを行う。

衣装協力
ホワイトリネンブラウス / 33000円
デニムパンツ / 35200円
パールピアス / 10450円
以上すべて(G.V.G.V. / k3 OFFICE)
シューズ / 8900円(CHARLES & KEITH / CHARLES & KEITH JAPAN)
※価格は税込

伊藤沙莉(イトウサイリ)

1994年5月4日生まれ、千葉県出身。2003年、ドラマデビュー。2020年以降、確かな演技力と出演作品での活躍を評価され、ギャラクシー賞テレビ部門個人賞、エランドール賞新人賞、ブルーリボン賞助演女優賞、山路ふみ子女優賞、文化庁芸術祭放送個人賞、橋田賞新人賞ほか受賞歴多数。近年の出演作は映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」「ちょっと思い出しただけ」「すずめの戸締まり」「宇宙人のあいつ」、ドラマ「ミステリと言う勿れ」「拾われた男 LOST MAN FOUND」「ももさんと7人のパパゲーノ」、テレビアニメ「映像研には手を出すな!」(主人公の声)など。今年は6月から舞台「COCOON PRODUCTION 2023『パラサイト』」、主演映画「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(6月30日公開)、「ミステリと言う勿れ」(9月15日公開)、7月期主演ドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」(テレビ朝日系列)に出演。2024年度前期NHK連続テレビ小説「虎に翼」で主役を務める。

2023年6月5日更新