ももいろクローバーZ結成15周年特集 高城れに×吉田沙保里|30歳ももクロ最年長のお悩み相談

今年5月17日に結成15周年を迎えたももいろクローバーZ。これを記念し、音楽ナタリーではももクロのメンバーがそれぞれ異なる相手と対談する連載企画を展開している。3本目の記事となる本特集では、先日30歳になったばかりの高城れにが、元レスリング選手で、現在はバラエティ番組やテレビCMなどで活躍している吉田沙保里を対談相手に迎えた。2人はプライベートで遊びに行く仲で、ときに高城から悩み相談をすることもあるという。アイドルとアスリート、それぞれ活躍してきたフィールドは違えど、現役引退後も大衆を楽しませ続ける吉田に対し、女性アイドルとしてのキャリアが成熟の域に達しつつある高城は友情と同時にリスペクトの心を抱いているようで、今回の対談でもある相談事を持ちかけた。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 入江達也

共通点はカラオケ好き

吉田沙保里 私たちの出会いってどこでしたっけ? 最初は、ももクロのイベントだよね。

高城れに はい。ももクロの「七番勝負」(2017年に開催されたトークイベント「ももいろクローバーZ 試練の七番勝負・番外編」。参照:ももクロ「試練の七番勝負」で全力トーク、吉田沙保里選手とデート約束)というイベントにゲストで来てくださって。いろいろなお話をして、そこで沙保里さんがカラオケが好きということを知ったんです。私もカラオケがめっちゃ好きだから、「一緒に行きましょう!」ってお話しして。でも、そこから実際に遊びに行くまで何年も空いたんですよね。

吉田 そうそう。イベントのときに連絡先は交換したんだけどね。

高城 あれよあれよと時間が経っていって。やっと2人で会えたと思ったら、そのあとコロナ禍になってしまって、なかなか遊ぶ機会を作れなかったんですよね。

左から高城れに、吉田沙保里。

左から高城れに、吉田沙保里。

吉田 でも、そのあとはカラオケに一緒に行くのも実現したし、買い物にも行ったよね。おそろいの指輪を買ったり、ごはんに行ったりもして。

高城 バッティングセンターにも行ったり、野球の試合を観に行ったり。

吉田 れにちゃんが普段もこういう明るい感じだから、最初に会ったときからなんだか同じ匂いがするなと思ってたんです。れにちゃんのほうから話しかけてくれて、「私もカラオケ好きです」「えー! 行きましょう!」という感じで話が弾みました。私としては、アイドルの方と一緒にカラオケに行くなんていいのかなって畏れ多い気持ちもあったんですけど、すごくうれしかったのを覚えてますね。

高城 いやいや、逆! 私こそですよ。こちらから誘ったはいいけど、実際に2人で会うときはすごく緊張しました(笑)。 何を話せばいいんだろうってドキドキしてたんですけど、沙保里さんもこの通り気さくなキャラクターで、「タメ口でいいよ! 同い年だと思って接して」と言ってくださって。

吉田 でも、同い年とは思ってもらうには無理があるよね(笑)。10歳も離れてるんだから。

高城 そんなことないですよ!(笑) 沙保里さんが世界で戦う姿を、テレビを通して見ていましたし、メンタル的な部分だったり、お仕事に対する姿勢だったり、いろんな面で尊敬しています。現役を引退されてからマルチに活動されている姿はすごく勉強になりますし、プライベートで会っていても刺激を受けますね。

高城れに

高城れに

──「七番勝負」で出会うまで、吉田さんはももクロのことをどれくらい知っていました?

吉田 正直、そこまで詳しくはなくて。あのイベントはリオのオリンピックが終わったあとだったのかな。まだ現役で、レスリングに集中していました。でも、テレビでももクロさんの活躍は見ていたし、ファンの方の熱量がすごいというイメージがありました。お客さんが色とりどりのペンライトを持って大きな声援を響かせる光景を「七番勝負」のときに初めて見て圧倒されましたね。「わー、やっぱりすごいアイドルなんだな」って。メンバーのみんなとはステージ裏でもしゃべった記憶があるんですけど、その中でもれにちゃんといろいろお話ししたんです。

高城 やっぱり、カラオケっていう共通の趣味があったからだと思います。キーワードはカラオケ(笑)。

吉田 カラオケが私たちをつなげてくれました(笑)。私は昔からカラオケが大好きで。

高城 でも、カラオケ好きという共通点があって仲よくなったのに、最初に会ったときに行ったのは焼肉屋さんだった。

吉田 そうそう(笑)。なんでだったんだろうね。

高城 3回目ぐらいでようやくカラオケに行って。すごく楽しかったです。2人とも恋愛系の歌が好きなんですよね。誰に見せるわけでもないのに、歌いながら動画を撮ったりして。単なる自己満の動画(笑)。

吉田 思い出を記録にも残そうと思って(笑)。バッティングセンターに行ったのも、お互いに野球好きという共通点があったからで、野球の試合を観に行く前にバッティングセンターに寄ったんだよね。

高城 やっぱり共通の趣味が多いから、グッと距離が縮まったんだと思います。

──吉田さんは普段からアスリート以外の著名人の方とプライベートで仲よくなることが多いんでしょうか。

吉田 けっこうありますね。仲よくなったら一緒に遊びに行って。女優さんのお友達もいます。

高城 沙保里さんは本当に顔が広くて。コロナ禍のときに1回インスタライブでコラボしたんですよ。そしたら、最後に平祐奈ちゃんも参加してくれたんです。すごく驚きました。

吉田 そのインスタライブを祐奈ちゃんが観てくれていたので、「祐奈ちゃんも参加して!」って呼んで3人でインスタライブをしました。

高城 平祐奈さんとはお仕事でご一緒したことがなくて、そのインスタライブがほとんどはじめましてだったんです。

吉田 でも、そういう機会につながると、次に仕事とかで会ったときに話しやすいでしょ。私は知り合いが特別多いわけではないと思うけど、誰でもウェルカムというか、人見知りしないんです。

高城 私は逆に仕事で共演した方、特に異分野の方とプライベートで会うことはなくて。いまだに沙保里さんくらいですね。

吉田 えー、本当? それはうれしいですね。

左から高城れに、吉田沙保里。

左から高城れに、吉田沙保里。

第一線で活躍し続ける極意

高城 今回、どんな人と対談したいか考えたときに、“現役”をテーマにしたいと思ったんです。沙保里さんはレスリングの現役は引退されてますけど、芸能界の第一線で活躍されていて。その極意を知りたいなと思って、対談相手としてお声がけさせていただきました。

吉田 ありがとうございます。私を選んでいただいて。

高城 レスリングを引退したあとの道って、もともと考えていたんですか?

吉田 オリンピックで金メダルを獲ったことで、現役のときからバラエティ番組に呼んでいただいて。それがすごく楽しかったんです。レスリングとはまったく違う世界、違う楽しさを知って、レスリングのおかげでこういうこともできるんだなと気付きました。また呼んでいただけるようにレスリングもバラエティもがんばろうと思ったし、背中を押してくれた感覚があったんですよね。こっちの世界でもこういうふうに認めてもらえるんだって、現役中からちょっとずつ知ることができて。だからレスリングを引退したときは、「私はこれをやりたい!」と新しい道を考えるというより、このテレビの世界で生きていけるならこれを仕事にしたいと思いました。

高城 そうなんですね。でも、やっぱり最初は違いに戸惑うこともありました? レスリングの世界と、バラエティの世界の違い。

吉田 それは全然。周りはテレビを通して見てる人たちばっかりだから最初はやっぱり緊張したし、「わー、テレビってこうなってるんだ」と驚いたけど、現場を見ながら「こういうふうにしゃべれいばいいんだな」と覚えていったというか。なんでも経験が大事だと思うから、経験を重ねることで自分の成長を実感していきました。フィールドが全然違うからこそ、めちゃくちゃ楽しいと思えたんですよね。周りが盛り上げて優しく接してくれるし、つらいと思うことがなくて。それはもう本当にありがたいことです。

吉田沙保里

吉田沙保里

高城 テレビを観ていて本当にすごいなって思うんですよ。私は自分のライブでも緊張するんですけど、ライブのお客さんは味方ばっかりだから、ステージに出ちゃえば平気な部分はあるんです。一方、バラエティ番組とかって、どんな人が観てくれているかわからないし、メンバーだけじゃなく、ほかの演者さんもいる環境だからめちゃくちゃ緊張しちゃうんですよ。沙保里さんはいつどの番組でもトークが上手ですし、存在感がすごいじゃないですか。

吉田 あははは! 存在感!(笑) たぶん、しゃべることや人を笑わせることが昔から好きだったんだと思う。だから、テレビが向いてるのかもしれないですね。私の話で笑ってくれること、人の笑顔を見ることがうれしいし気持ちいい。小さい頃からそういう性格で生きてきたから、バラエティでも普段と同じことをやってるだけで。あと、私はあまり勉強のほうは得意ではないんだけど、頭の回転は早いほうなのかも。司会者の方や芸人の方がいる中、こういうタイミングで話に入ればいいんだとわかるようになったというか。最初は「いつ入ったらいいんだろう?」とわからないことも多かったけど、「あ、これどんどん言っていいんだ」と気付いていきました。

高城 すごいなあ。

吉田 いやいや。れにちゃんはまた立場が違いますし、アイドルはアイドルで大変なことがいろいろあると思います。それぞれの人生があって「みんな違ってみんないい」と思っているので、比べることじゃないかもしれないけど、れにちゃんがやってることは自分にはできないです。アイドルってすごくキラキラしているから、生まれ変わったら一度なってみたい(笑)。