ももいろクローバーZ結成15周年特集 佐々木彩夏×植村あかり(Juice=Juice)|2人が話すスタダとハロプロそれぞれの色

今年5月17日に結成15周年を迎えたももいろクローバーZ。これを記念し、音楽ナタリーではももクロのメンバーがそれぞれ異なる相手と対談する連載企画を展開している。2本目の記事となる本特集では、佐々木彩夏が植村あかり(Juice=Juice)を迎えてトーク。スターダストプロモーションのスターダストプラネットとアップフロントプロモーションのハロー!プロジェクト、それぞれ所属も違えばアイドルとしての活動歴も異なる2人だが、プライベートでごはんを食べに行くなど以前から親交があるという。さらにJuice=Juiceも今年結成10周年という節目を迎えたり、佐々木が「あーりん」、植村が「あーりー」という似たニックネームで呼ばれていたりと、2人には意外と共通点が多い。そんな彼女たちに事務所の垣根を越えた自由なアイドル談義を繰り広げてもらった。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 入江達也

2人の出会いは

佐々木彩夏 今日はアイドル同士の対談ということでよろしくお願いします。

植村あかり お願いします……! 私でよかったんですか?

佐々木 もちろん! Juice=Juiceは今年で結成10周年ということで、おめでとうございます。武道館での10周年ライブ、行きたかったなあ。スケジュールが合わなくて、ごめんなさい。

植村 とんでもない! その分、「AYAKARNIVAL」が楽しみですね(Juice=Juiceは6月16、17日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催された佐々木彩夏主催のライブイベント「AYAKARNIVAL 2023」の初日公演に出演した。取材はこのライブの開催前に実施)。

左から佐々木彩夏、植村あかり。

左から佐々木彩夏、植村あかり。

佐々木 そもそも私たちが出会ったのって何年前だっけ……?

植村 5年前かな? 東京ドームでのももクロさんの10周年ライブを観に行かせていただいたときが、はじめましてでした(参照:新「Z伝説」で幕開け!ももクロ、32曲メドレー×2で10年振り返った東京ドーム初日 / 結成10周年ももクロ、満員御礼の東京ドームで決意新たに「お前ら全員付いて来いよ!」)。私は当然ももクロさんのことを前からずっと知っていたんですけど、ももクロさんもJuice=Juiceのことを知ってくださっていて、めちゃくちゃうれしかったのを覚えています。

佐々木 それで、私たちに共通の友達がいて。一緒にごはんを食べようという話になったんだよね。それがいつだったけ……3年前くらいかな?

植村 確か、コロナ禍になる前くらいだったと思う。

──その共通の友達というのは、東京女子流の山邊未夢さんですよね。2020年2月に山邊さんが3人の自撮り写真をTwitterに上げてましたが、それが最初にごはんを食べに行ったときですか?

植村 それは2回目だったかなあ。

佐々木 でも、なんで3人でごはんを食べに行く流れになったんだろうね。

植村 未夢ちゃんがあーりんとごはんに行くという話で、そこに私も誘ってくれたんだと思う。

佐々木 女子流ちゃんはデビュー当時からの同期みたいな存在で。さらに、みーゆ(山邊)とは高校でも一緒になって仲よくなりました。アイドル同士だと土日の予定は合わないし、3人ではそんなに頻繁に会えてないんですけど。

植村 私の誕生日付近にごはんに行ったとき、2人がお祝いしてくれてすごくうれしかった。そのときの写真をまだどこにも載せてなくて、なんだかもったいないことしてるなと思ってるんですけど(笑)。

佐々木 3人のLINEのグループがあって、そこで連絡を取り合ってるんだよね。

アイドルとして出会うと仲よくなるのが難しい

植村 Juice=Juiceとしては、ハロー!プロジェクトの子以外のアイドルの方と交流することが珍しくて。自分の思ってることを内に秘めちゃうタイプの子が多いんです。

佐々木 でも、それってアイドルあるあるじゃないかな。私は芸能コースがある高校に通っていたので、そこで仲よくなったアイドルの友達はいるけど、例えばアイドルフェスに出たとしても、私は周りの子よりだいぶ先輩で。みんな「連絡先を教えてください」って私に言いにくいだろうし、私から聞くのも恥ずかしいんだよね(笑)。フェスではだいたいグループごとに楽屋が用意されているし、現場でほかのアイドルグループと仲よくなることってほとんどない。ハロプロの現役アイドルさんで連絡先を知っているのも、プライベートで遊んだことあるのも、あーりーだけです。

植村 そうなんだ! 私の場合は、スターダストさんで言うと私立恵比寿中学の安本彩花さんがJuice=Juiceの結成当時からずっと推してくださっていて。それを知ってかなり時間が経ってからやっと連絡先を交換して、ついこの間、ようやく一緒にごはんに行きました。仲よくなるまですごく時間がかかるタイプなんですよね。

佐々木 緊張しちゃうんだよね。お互いアイドルとしての姿を最初に見てるから、プライベートで会うのがなんだか恥ずかしい(笑)。

佐々木彩夏

佐々木彩夏

植村 あーりんって自分のコンサートや楽曲のセルフプロデュースもしているし、グループとしてはもちろん、ソロとしてのアイドル像がすごくしっかりしていて。アイドルという職業の中のトップ……例えるなら社長さんみたいなイメージなんですよ。

佐々木 そんなことないよ!(笑)

植村 だから「タメ口でいいよ」と言ってくれていたものの、知り合って最初の頃はなんだか申し訳なくて敬語が抜けなくて……でも気軽にいろいろお話ししたい気持ちもあって、ジャブのようにちょっとずつタメ口を挟みつつ(笑)、2回目のごはんから普通にお話しできるようになりました。今日は改まっちゃって敬語が多いですけど(笑)。

佐々木 アイドルの先輩後輩の関係って同じ事務所内でも難しいからね。芸歴なのか、事務所に入ってからの歴なのか、デビューしてからの歴なのか……。ほかの事務所のアイドルさんだとなおさらどう接していいのかわからなくて、なかなか仲よくなれない。アイドルとして出会っちゃったらホントに難しい気がする。だから、あーりーとはこうやって仲よくなれてよかったです。

植村 こちらこそです! 共通の話題があって、そこから話題が膨らんでいった感じだよね。

佐々木 アイドルに関するトークはやっぱり盛り上がるもんね。アイドル自身もかわいい女の子が好きだから若手のアイドルさんの話もしたり、美容とかおしゃれの話とか、基本的に好きなものも似ていて。それに、あーりーって呼ばれてることにすごく親近感があって。あーりんとめちゃくちゃ似てるじゃないですか(笑)。というか、あーりーってニックネーム、かなり珍しくない?

植村 あははは、そうだよね(笑)。

佐々木 まず、あだ名が似ている子っていうのが第一印象だったかもしれない。耳で聞いたらほぼ一緒だからね(笑)。あと、ロングヘアなところとかにも勝手に親近感が湧いていたり。その一方で、私とあーりーではグループの中での立ち位置みたいなものがだいぶ違うと思うんです。私はずっとももクロの最年少メンバーだけど、ハロプロさんの場合はメンバーの卒業や加入に伴って、自分のポジションが変わってくるじゃないですか。それは私たちにはない文化だからすごいなって。そういうアイドルという職業ならでは目線で思わず見ちゃうこともありますね。でも、あーりーは見た目は大人っぽいけど、それとのギャップというか……中身がその、おちゃめなので、そこがかわいいなとも思ってる。ホントにいい子。

植村 (照れた様子で)ありがとうございます……!

──植村さんはマイペースで天然なところが魅力だと、ファンの方によく言われることが昔から多いですよね。

佐々木 リアクションがすごく大きいんですよ。特にうれしかったときや、何かを食べておいしかったとき。誕生日をお祝いしたときもすごくびっくりして喜んでくれました。自分の感情に素直なんだよね。そういうところもかわいい。

植村 リアクション芸人的なところがあるのかもしれないです(笑)。関西人ですし、ジェスチャー含めて大きくリアクションしがちです。

植村あかり

植村あかり

スタダならでは、ハロプロならではのカラー

佐々木 あーりーは今、Juice=Juiceの現役メンバーの中で、唯一のオリジナルメンバーなんだよね。すごい。

植村 いえいえ……! Juice=Juiceが結成された10年前、ももクロさんはすでにとてもビッグな存在で。どこを見てもももクロさんがいるイメージというか、自分たちとは比べられないような、手が届かない存在だったのを覚えてます。もちろんそれは今も同じ感覚で、アイドルって1年先輩なだけでもキャリアの差をかなり感じるので、5年も先輩となるともはや大御所という感じなんですよ。

佐々木 いやいやいや! でも、確かに5年の差って大きいよね。

植村 ももクロさんみたいな唯一無二なグループがアイドルシーンにいてくださるのはとてもありがたいな、と当時から思ってました。東京ドームでライブをやられた10周年のときのももクロさんと、今の私たちを比べるのはちょっと怖くもあるんですけど、頭の中で照らし合わせてみることもありますね。

佐々木 ハロプロさんで言うと、私たちはスマイレージ(現:アンジュルム)さんとほぼ同期で。「行くぜっ!怪盗少女」と「夢見る 15歳」の発売時期がほぼ一緒だった。女子流ちゃんの「おんなじキモチ」も同じ時期だったと思う。

──3作とも2010年5月のリリースですね。

植村 すごい! まさにレジェンドだ。

佐々木 いやいや。その中でもハロプロさんは一番歴史があるし、王道じゃないですか。もし私がハロプロさんのオーディションを受けてたら絶対に落ちていたと思う。ももクロに入る前からダンスを習っていたんだけど、一緒にダンスのレッスンを受けていた子たちの中にハロプロさんのオーディションに落ちた子とかもいたし。私はモーニング娘。さんを見て育ってきたし、ハロプロさんの大きさ、偉大さにはホントに憧れますね。アイドルを志す人みんなにとっての憧れですよ。でもその分、大変なこともあるだろうし、デビューするまでにもきっと苦労があるよね。しかも、先輩たちの大きすぎる背中を追わなきゃいけないわけで。

植村 私もモーニング娘。さんのオーディションを受けて落ちた経験があるので、先輩たちのすごさは身に沁みてわかっていて。Juice=Juiceは2013年に結成されたときから、やっぱりモーニング娘。さんをはじめとする先輩グループの妹として見られることが多かったんですよ。当時から事務所の方、ハロプロのファンの方にすごく期待されてきたと思いますし、それに応えようとがんばり続けているんですけど、先輩たちとは違う色、Juice=Juiceならではの色を出せたらいいなと考えながら活動してきました。そしてその自分たちの色を出せるようになったのは、やっぱりモーニング娘。さんという存在が私たちの前にずっとあり続けてくれているからだと思いますね。

左から佐々木彩夏、植村あかり。

左から佐々木彩夏、植村あかり。

佐々木 そっかあ。私たちはスタダの女性アイドルグループの中で一番先輩だから、そういうプレッシャーみたいなものは最初からなくて。

植村 でも、それって事務所さんの看板みたいな存在ということで、その大変さも絶対にありますよね。

佐々木 ももクロは自由に活動してきたから。私としては王道アイドルをイメージしてももクロに入ったんだけど、実際に活動してみたらそうじゃなかった(笑)。でも、こうやって改めてお互いのグループのことを考えると活動の環境が違うよね。だからこそ気負わずに接することができるし、事務所の色みたいなものを感じられるから一緒に話していて面白いなって。例えば、自分の後輩たちを見てもスタダっぽいなって思うし、ハロプロさんもハロプロさんならではのカラーがあるし、いろんなグループを知れば知るほどアイドル界は面白いなって感じます。

植村 確かに、事務所ごとのカラーはあるかも。

佐々木 あーりーは、最初にアイドルになろうと思ったとき、ハロプロさん以外の選択肢はまったく思い浮かばなかったの?

植村 私はアイドルに対する知識がそもそもあまりなくて。そんな中で新聞を見て偶然、モーニング娘。さんのオーディションがあることを知ったのがきっかけでした。あーりんはどうしてスターダストさんに?

佐々木 私はアイドルになろうと思ってスターダストに入ったわけではなくて。

植村 えっ、そうなんだ! もともとは何を目指してたの?

佐々木 スターダストの前は子役として活動していて、この事務所に入ったときも女優さんになるイメージを抱いてた。そんな私でも、スターダストのアイドルとしての色が出てると思うから面白いよね。

植村 そういう加入の経緯も色として表れてくるのかもね。