自分の中の自分と戦ってる

──やくしまるさん自身から、歌詞の世界観に関する説明などはなかったんですか？

有安　なかったです。全く。

──皆さんの中では、「Z女戦争」の世界観をどのように解釈していますか？

玉井　あのー、「風の谷のナウシカ」の女の子みたいな。

百田　ラン、ランララランランラン。

──それ……単に中盤の展開のところだけですよね。

百田＆玉井　アハハハハハ（笑）。

──歌詞の世界観もそうだし、MVではさらに顕著に、正体のはっきりしない何かと闇雲に戦ってますよね。これ、何と戦ってるんだと思います？

有安　やっぱ大人？

玉井　今回はリアルに戦ってるイメージですよね。武器を用いて戦うような（笑）。

──よくわからないまま戦場に駆り出されて、わかんないなりに強い使命感を持って戦っている5人、みたいなイメージは、ある意味ももクロそのものという感じもします。

百田　あー。でも聴いた人がどう思うのか、私たちのほうが知りたいよね。

玉井　うん、気になっちゃう。

高城　私が思うに、これは自分の中の自分と戦ってるんだと思います。

全員　おー。

──これからライブなどで披露していくにつれ、メンバーにもリスナーにも新たな意味が生まれてくるかもしれませんね。

高城　そうですね。私も最初聴いたときはホントにイメージが付かなかったけど、今回は早い段階で振り付けが決まったんですよ。振りが付いて自分の中でも変わった部分があったから、これから何回も歌っていくうえでさらに変わってくるかもしれないです。

ボイトレで学んだ「アタック」がポイント

──それではカップリング曲についてもお訊きします。まずは「PUSH」。この曲はロッテのアイス「爽」のCMソングが元になっていて、今回のシングルの中では一番早くライブで披露された曲でもあります。

佐々木　最初にCMのほうで「ウザい先輩ムシムシ」って歌ってて、それがこんなカッコいい曲になるとは思わなかったよね（笑）。

百田　うん。めっちゃカッコいい曲。

──こういうカッコいい路線はみんな好きなんですね。

百田　はい。私たち、なんて言うんだろう……いわゆる普通のいい曲をそんなに歌わないから（笑）、こういうカッコいい曲を歌うとより際立つんだと思います。

──レコーディングはどうでしたか？

佐々木　やっぱ「アタック」じゃない？

全員　そうそうそう！

──アタック？

有安　この曲はボイストレーナーの先生と一緒に練習できたんですよ。横アリの前にボイトレの先生に教えてもらってたんですけど、ちょうど「PUSH」のレコーディング時期と同じで。

佐々木　横アリで「PUSH」を初披露することもあって、特に重点的にレッスンしたんです。そのときに「アタック」というのを習って。

有安　歌のアクセントですね。勢いを付けるところ。レコーディングでもそこは意識しました。

百田　自由な感じがももクロの良さではあると思うんですけど、決めるところが揃わないとだめなんですよ。アタックを合わせて、5人の声がサビでバシッと決まるように練習したんで、「PUSH」はそこの進化に注目してほしいです。

「おれポケモンみてるからうたえるし！」

──では通常盤にのみ収録される「みてみて☆こっちっち」はどうですか？ この曲はアニメ「ポケットモンスター ベストウイッシュ」のエンディングテーマということで、これまでとは違うターゲットが……。

百田　聞いてくださいよ！ こないだ関西テレビさんの番組ロケ（特別番組「ももクロ VS 100人のゾンビ SAVE」）で大阪に行ったんですけど、ちっちゃい子たちが急に「こっちっち」を歌いながら踊ってくれたんですよ！

玉井　ホントびっくりした！「おれポケモンみてるからうたえるし！」とか言って（笑）。

百田　あの日、撮影的にはドッキリにかけられて驚かされたり（ナタリー - ももクロがゾンビに!? 関西テレビで特番オンエア）、いいこと全然なかったからホントうれしくて（笑）。

──「子供に向けて歌う」というのは、やっぱりいつもと違う意識が？

玉井　歌のお姉さんになった気分でレコーディングしました。

有安　歌詞もひらがなだし。

高城　振り付けもいつものももクロと違って、簡単で覚えやすいと思います。

ももクロはももクロのままで

──このシングルを携えた夏のホールツアー「ももクロ夏のバカ騒ぎ Summer Dive 2012 Tour」では、最後にももクロ史上最大規模となる西武ドーム公演が控えていますが、現在の心境は？

高城　想像が付かないですね。

玉井　毎回そうだけどねー。

百田　西武ドームで「Z女戦争」とか「みてみて☆こっちっち」を歌ってる姿もそうだし、そもそも私たちが西武ドームに立ってる姿が想像できない！

佐々木　でも、やりたいことはいっぱいあるよね。去年のサマーダイブ（2011年8月20日に東京・よみうりランド オープンシアターEASTで開催された「ももいろクローバーZ サマーダイブ2011 極楽門からこんにちは」）ではヘンなところから登場したりとか水を撒いたりとか、いっぱいバカなことをやったので、今年はどんな演出があるのか、どんだけバカになれるのか楽しみです。

百田　サマーダイブはとにかく楽しいんですよ。「春の一大事」はやっぱりセレモニー的な感じだったり挑戦の部分が大きくて（2011年「4.10中野サンプラザ大会　ももクロ春の一大事～眩しさの中に君がいた～」では早見あかりが脱退。2012年「ももクロ春の一大事2012 横浜アリーナまさかの2DAYS」2日目には1万6000人がセンターステージを取り囲む「見渡せば大パノラマ地獄」が展開された）、不安だらけだったんです。サマーダイブは普段のももクロを全力で出す、ひたすら楽しいお祭りなので。

──そのサマーダイブも、去年のよみうりランド1公演から、全国ホールツアー＆西武ドームという規模に膨らみました。アイドル界でも1、2を争う動員規模だし、J-POP全体を見てもかなり上のクラスだと思うんですけど……。

玉井　いやいやいや。そんなふうに言わないでくださいよ！

高城　そういうふうに言われると、落ちたときに気まずいから……。

──アハハハハ（笑）。

佐々木　そう言ってもらえることが増えたんですけど、私たち自身は全然変わってなさすぎて。

百田　私たち自身が変わってないから、言われれば言われるほど危機感を感じるんですよ。うれしいんですけど、うれしいだけで終わっちゃいけないと思うし。ももクロはももクロのままで、もっと上を目指していけるようにがんばらないと。