音楽ナタリー Power Push - モーモールルギャバン

最新作でアピールする「活動休止のすすめ」

せめていい歌を書かないとホントに無価値な人間になる

──本格的な制作に入る前にゲイリーさんのデモを聴いたときはどういう感触がありましたか?

ユコ すごくよかったんですよ。らしいデモだなって率直に思って。この曲は理解できないなというものは1曲もなかった。

T-マルガリータ(B)

マルガリータ そうかも。

ユコ 自分の中ですぐに消化できたんですよね。だから選曲も早かったし。

ゲイリー そうだね。デモは全部で17曲くらいあって。

ユコ あと、今回のアルバムはライブを考えずに作ったという実感があります。

──全体的にはこれまで以上に自由なアレンジによって歌が際立ってるなと思いました。ギミック云々で勝負していないというか。

ゲイリー 結果的にそうなってるかもしれないですね。メンタル的に崖っぷちなときに作った曲が多くて。歌詞に関してはほぼ酔っ払いの虚言なんで。もっと言えば、酔っ払ってる自分としらふの自分との対話ですね。歌詞がそんな感じだし、だからこそ、俺が歌でなんとかしないとマズいなという意識があったんですよね。飲んだくれのニートだから、せめていい歌を書かないとホントに無価値な人間になってしまうという危機感があって。今回、歌のメロディや歌詞は誰にも相談しなかったんです。今までは「これどうかな?」ってメンバーにアドバイスを求めていたんだけど、今回は全部俺が責任をもって歌を仕上げるという思いがありました。ユコさんもマルもそれを尊重してくれた感じがありますね。それがサウンドを通して伝わったのならこんなにうれしいことはないです。

──ソングライターとして腹を括ったということですよね。

ゲイリー うん、腹は括りましたね。自分がいいと信じる歌だけを追求しました。

ユコ デモのときからメロのいい曲が多いなって思った。いいメロってアレンジする際にものすごく助かるんです。それだけでいい曲という感触があるから。メロをアレンジでデコレーションする作業はだいたい私がやるんですけど、メロをよりよくしたいという意識が強かったですね。それはすごくポジティブなモチベーションでした。

ようやくシンガーとしての自覚が出てきた

──ゲイリーさんのボーカルのアプローチもクリアになったなって。

ゲイリー・ビッチェ(Dr, Vo)

ゲイリー けっこうカラオケに行ってたからかなあ(笑)。まじめな話をすると、ドラムに関しては若い頃から必死になって練習していたんですけど、歌に関しては「俺はシンガーだ!」というテンションで練習してこなかったんですよね。一応、プロの端くれなので対症療法的な発声練習はしていたんですけど。人前で歌うようになって早10年、ようやくシンガーとしての自覚が出てきたんです。例えばテレビの音楽番組とかに出ても、歌しか聴いてない視聴者のほうが多いだろうし。そういう場面でも説得力のあるバンドにならないと、モーモールルギャバンはSEKAI NO OWARIのようにはなれないなと思って。

ユコ 最近よくセカオワの名前を出すよね(笑)。

──でも、もっともっとバンドの存在を大きくしたいということですよね。ポピュラリティの強化というか。

ゲイリー そうっすね。ツアーの移動が新幹線になるといいなって思うし(笑)。単純に長くバンドを続けるためにはある程度売れないといけないから。ゆくゆくは海外でもライブをやりたいと思ってるし。でも、ただ売れようと思って曲を作っても、そういうスケベ根性ってリスナーに見透かされちゃうから。バンドが100%やりたいことをやった上で認められるのはすげえハードルが高いと思いますけど、それを目指さなきゃいけないって最近よく思ってます。

ニューアルバム「シャンゼリゼ」 / 2015年6月24日発売 / STANDING THERE, ROCKS / KING RECORDS / 2800円 / KICS-3198
「シャンゼリゼ」
収録曲
  1. さらば人類
  2. クレイジーベイビー
  3. ナイトメアダンス
  4. 紅のベッド
  5. 000
  6. あなたに
  7. ザ・ラストトレインスター
  8. ハイパーライター
  9. N
  10. バイララ
モーモールルギャバン Tour 2015
“Would you be my friend?”
~Champs-Elyseés de ツーマン~
  • 2015年9月11日(金)奈良県 奈良NEVER LAND
  • 2015年9月13日(日)京都府 磔磔
  • 2015年9月18日(金)群馬県 高崎Club FLEEZ
  • 2015年9月19日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-3
  • 2015年9月21日(月・祝)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2015年9月23日(水・祝)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2015年9月25日(金)宮城県 仙台MACANA
  • 2015年9月27日(日)岩手県 the five morioka
  • 2015年10月2日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2015年10月4日(日)静岡県 Sunash
  • 2015年10月9日(金)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
  • 2015年10月11日(日)福岡県 DRUM Be-1
  • 2015年10月12日(月・祝)香川県 DIME
  • 2015年10月17日(土)熊本県 B.9 V2
  • 2015年10月18日(日)鹿児島県 SR HALL
  • 2015年10月22日(木)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2015年10月24日(土)愛媛県 松山サロンキティ
  • 2015年10月25日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2015年11月2日(月)広島県 SECOND CRUTCH
  • 2015年11月3日(火・祝)島根県 松江 AZTiC canova
  • 2015年11月6日(金)新潟県 CLUB RIVERST
  • 2015年11月7日(土)石川県 vanvan V4
~ ワンマン á Tokyo et Osaka ~
  • 2015年11月15日(日)大阪府 BIGCAT
  • 2015年12月12日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
モーモールルギャバン
モーモールルギャバン

ゲイリー・ビッチェ(Dr, Vo)、ユコ=カティ(Key, Vo)、T-マルガリータ(B)からなる3ピースバンド。2005年4月に5人編成で活動を開始し、紆余曲折を経て現在の体制となる。関西地区を中心に活動を展開し、インパクトたっぷりのサウンドと破壊力抜群のライブパフォーマンスでリスナーを獲得。2009年11月に初の全国流通作品となるアルバム「野口、久津川で爆死」を、2010年6月にミニアルバム「クロなら結構です」をリリースする。その後、「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」「BeVeci Calopueno」という2作のフルアルバムやシングル「LoVe SHouT!」を発表。2014年5月より制作に集中するためライブ活動を休止するが、2015年3月からのツアー「蘇る無茶と野獣ツアー2015」でライブを再開。2015年6月にレーベル移籍後第1弾作品にして3年3カ月ぶりとなるフルアルバム「シャンゼリゼ」をリリースした。