MIYAVI|つながりが試される時代に一筋の光を

矢沢永吉に最大限のリスペクトを込めて

──そして「TOKIO」と「Tomaranai ha-ha」のカバーが続きます。選曲もアレンジも「こうきたか!」という2曲でした。

いいでしょ?(笑) 糸井さんとは面識があったんだけど、これってラブソングでも何でもなくて、街の歌じゃないですか。それが時代を象徴する歌になったというのは、改めてすごいことだなって。東京オリンピックが開催されるはずだった2020年に歌うことも、僕の中ですごく意味があることだった。海外ツアーで「TOKIO」を歌いたかったんです。

──ああ、海外のステージで歌う「TOKIO」っていいですね。

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カッコいいよね。「Tomaranai ha-ha」は去年の矢沢さん主催のフェス「ONE NIGHT SHOW 2019」で共演させてもらった曲。本番のステージ上が初対面で、いきなり「止まらないHa~Ha」でセッションだった。でも僕のギターを聴いた瞬間、矢沢さんがこっちを見たんですよね。バチっとはまった感じがしました。「来いよ」と呼ばれているような気がして、前に出て、アドリブで絡んでいった。懐の広さも含めてカッコいいです。今回は最大限のリスペクトを込めてやらせてもらいました。

──「Tomaranai」がローマ字表記なのも面白いけど、細かい指摘をすると、「たりないぜHa~Ha 乗りがまだ」の箇所、「まだ」を「まだまだ」2回繰り返して歌っているのが、矢沢さんのライブバージョンに寄せてあってニクいなあと。

もちろん狙いました(笑)。

──9曲目の「Perfect Storm (feat. Amber Liu)」は、f(x)のメンバーでもあるAmber Liuを招いた曲です。このフィーチャリングの経緯は?

昨年末、ロスで米在住のアジア人のためのアカデミー賞みたいなアワード(「The 2019 Unforgettable Gala」)があって、そこで出会って意気投合して、決まったコラボです。マネジメントの意向とかが絡み過ぎちゃう日本のアーティストと違って、海外のアーティストとのコラボは本人同士が意気投合すればさくっと決まる(笑)。彼女は本当に素晴らしい声の持ち主。僕1人だったら絶対に作ることも歌うこともなかったタイプの曲ですね。早くステージで一緒に演奏したいです!

──続く10曲目の「Live To Dream (feat. FÄIS)」ではLDH EUROPE所属のFÄISを招いています。

FÄISくんと一緒にやったのも、タイミングありきでした。年末年始のLDHカウントダウンイベントでも共演して、今回、たまたまこの曲をどうしようかと考えていたところに、彼が「アルバムリリースおめでとう!」みたいな連絡をくれて、「あ、FÄISくんがいた!」と思って連絡して決まりました。彼も、ものすごくいい声の持ち主ですね。

──これ、いいラブソングですね。

実は、この曲は以前からあった曲なんだけど、ヘヴィな内容だったから発表していなかったんです。でも今なら歌えると思えたので。FÄISくんも実際ロサンゼルスという新天地で「異国の空 頼れるのは 何者でもない 自分次第」という歌詞が響くと言っていました。彼も、多分これからこの歌詞のような道を通ると思うので。彼と僕だけじゃなくて、新しい環境で戦う人たちすべてに向けた、夢に生きるための歌です。

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僕たちは“つながり”を試されている

──11曲目の「Hands To Hold」は、BIG ROOM系のEDMを想起させる心地よさとスケール感を兼ね備えたナンバーですが。

僕が親善大使を務める、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のロゴにインスパイアされて作りました。難民支援の活動を通して、ずっと形にしたかった曲で「人と人のつながり」について歌っています。5、6年前ぐらいから手をつけ始めて、Instagramにもアップしたけど、去年の3月、ケニアの子供たちと一緒に歌って初披露しました。人ってやっぱりスキンシップが大事でしょう? 手と手をつなぐと「自分は1人じゃない」と改めて感じることができる。そして連帯の強さを周りに示すことができる。先日、東京マラソンに出場した難民アスリートのヨナス・キンデ選手とお会いしたとき、「僕たちが欲しいのはお金じゃない。人と人のつながりなんだ」と泣きながら語っていました。それが、本当に心にぐさっと刺さってね。

──ああ……。

僕の音楽も、人と人とのつながりのためにやっている。UNHCRの活動も同じです。食料や水を支給するだけじゃなく、現場で難民と呼ばれる人たちに寄り添う。ウイルス感染が深刻な今こそ、僕たちは“つながり”を試されているのだとことさらに感じます。

──そしてラストは「DAY 1 (Reborn)」で締めくくられます。

この曲はライブでも長く演奏しています。今回、Aメロの歌詞も書き換えて、よりパーソナルな歌にしました。「Need for Speed」同様、決意表明の歌でもあります。時代と寄り添いリスナーの心に残る、みんなの人生の一部になれる曲を作りたい、現在の率直な心境を込めました。

──今年、MIYAVIは、本作を含む2枚のフルアルバムのリリースをアナウンスしています。今後については?

新型コロナウイルスの影響で日々の状況が刻々と変わっていくので不透明な部分も大きいけれど、曲はたくさんあるし、「DAY 1」のほかにも“Reborn”させたい曲がたくさんあるので。まずはこの「Holy Nights」を聴いて、楽しみに待っていてもらえたらうれしいです。とにかく早くステージで演奏して、みんなと騒ぎたい!

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