ナタリー PowerPush - ミソッカス
ダサカッコよさを求めて ひねくれバンドの挑戦
オムニバスアルバムより幅が広い「統一された混沌(カオス)」
──先ほど話していただいたような楽曲の幅広さにファンが戸惑うことはありませんかね?
はるきち 「振れ幅広くてすごいやろ」みたいな節はありますね(笑)。確かに振れ幅の広さが必ずしもいいとは思っていないんです。「どの曲も好き」って思ってくれるリスナーの数を限定させてしまうんじゃないかなと。
ノブリル それでも新作はエンジニアさんに「オムニバスアルバムより振れ幅でかいよね」って言われたくらいの振れ幅になった(笑)。
──リスナーの数を減らす懸念を抱きつつも、ジャンルをもっと狭めようとは思わなかったってことですか?
はるきち 俺の音楽の聴き方として、メロディがよければどんなジャンルでもいいと思ってるんですよ。メロディがよかったら全部好きで、メタルはうるさいから嫌いとかジャズは落ち着きすぎて嫌とかまったくない。作品全体を通してすごく芯の通ったものになってるから、ジャンルを限定する必要性はないと思ってます。
ノブリル 「このメロディだったらこのジャンルしかいけない」っていう曲は作りたくなくて、「どのジャンルでやっても弾き語りでやっても似合うメロディ」を突き通してます。それはこのバンドでライブハウスに出始めた頃から、メンバーの中で無意識に流れてるものなんじゃないかな。例えば「太陽の塔」は一回アメリカンポップとか、パンクアレンジとかいろいろ試して、どれでやってもそこそこ形になったけど、最終的に最初作ったシンプルなバラードの形に落ち着いたんです。
和装イメージからの脱却
──今年から和服をやめて洋服で活動していますけど、そもそも和装を取り入れたきっかけは?
はるきち ライブで熱さを出したかったんですけど、スーツとかも違うなって。最初みんなアロハシャツ着てたんだけど、涼しげすぎたんで、やっぱりロックの暑苦しさを出したいなあって思ったときに「着物いいんじゃね?」と。
ノブリル バンドを組んだ動機と似てて、とにかくパンチが出せればいいやって感覚しかなかった(笑)。痛快なことができればいいやって。
はるきち ほかのバンドとは違うことがしたいみたいなことはあった。ほかに着物のバンドがいることもあとになって知ったけど、名古屋中心にやってて、住む世界がわりと狭かったんで。
──和装で4年ほどやってきたわけですけど、目立つことはできましたよね?
はるきち そうですね、「和装ダンスロックバンド」みたいなキャッチで。
ノブリル それはそれでよかったんですけど、色眼鏡で見られてる感じが自分たちの中で出てきた。
──インパクトを狙って着物を着始めたけど、活動を続けていくうちに違和感が生まれたと。
はるきち 和装でライブをやることによって、100人いたとしたら第一印象で興味持ってくれる人が半分くらい減っちゃうんじゃないかなってあるとき感じたんですよね。そもそも和装にあわせて曲をやってたわけではなかったので、「三次元への回帰」(2013年10月リリースの3rdミニアルバム)の頃に「着物を着ている意味はあるのか」って違和感を覚えた。着物を着てバラード歌ったら宴会の余興みたいになっちゃうんじゃないかって(笑)。
──去年の段階でメンバーの中に「和装を続けたい!」って人はいなかったんですか?
はるきち いなかったですね、全員一致で(笑)。
ひらがなよりカタカナのほうがソリッドで攻撃的
──和装脱却案が出始めた頃に、改名計画も同時進行で進んでいったんですか?
はるきち そうですね。最初は全然違うバンド名にしようって話もあったんですけど、持ち寄ったバンド名が奇抜すぎた。センスがちょっと中二病くさいというか……候補に上がったバンド名が「Cell of The Another Dimension」とかで。
──なんですかそれは。
はるきち 「別次元からの細胞」みたいな(笑)。どこのメタルバンドだよって。でも最初は「これカッコいいかもね」って言ってたんですけど、一晩考えたら「いや、絶対ないでしょこれ」って(笑)。もともとひらがなのバンド名を付けたのは、当時ほかにあんまりいなかったからなんです。「三次元への回帰」を作ってたときにもっとソリッドな音楽をやりたいと思っていたけど、ひらがなだとしっくりこなかった。
──カタカナにすることでソリッドなイメージになるんですか。
はるきち 「三次元への回帰」を作りながら、やっぱり攻めていきたいなって思って。今作でもっと攻めたいって思ったときに、ひらがなの「みそっかす」ってイメージ的に丸いんですよ。もっと四角く、ソリッドにしたいって。それでカタカナで「ミソッカス」って書いてみたときに、「こっちのほうが音楽性にあってるな」って。アルバム聴いてもらえたら「ああカタカナじゃん」ってなる気がするんだけど、俺だけ?(笑)
ノブリル 僕も思ってますよ。カタカナなら誰が見ても攻撃性がわかりますからね。
はるきち 端的に言うなら「丸より四角がいい」ってことしかないんです。
収録曲
- マッドシュリンプス
- ホリデイ
- お願いGOD
- little by little
- Dead Star
- 幻のオ・ト・コ
- シャイニングイリュージョン(Album Ver.)
- 太陽の塔
ライブ情報
- ミソッカス「統一された混沌(カオス)」レコ発ツアー
- 2014年7月5日(土)大阪府 大阪ミナミ周辺のライブハウス(出演会場未定)
※「見放題2014」への出演 - 2014年7月11日(金)大阪府 CONPASS
- 2014年7月12日(土)東京都 渋谷周辺のライブハウス(出演会場未定)
※「TOKYO BOOTLEG CIRCUIT'14」への出演 - 2014年7月19日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2014年7月20日(日)福岡県 Queblick
- 2014年7月21日(月・祝)広島県 HIROSHIMA 4.14
- 2014年7月26日(土)宮城県 FLYING SON
- 2014年7月27日(日)茨城県 club SONIC mito
- 2014年7月28日(月)京都府 GROWLY
- 2014年7月30日(水)愛知県 APOLLO BASE
- 2014年9月15日(月・祝)東京都 新代田FEVER
- 2014年9月20日(土)大阪府 FANDANGO
- 2014年9月23日(火・祝)愛知県 RAD HALL
ミソッカス
デストロイはるきち(Vo, G)、ノブリル(G, Cho)、ブルマン藤井(B, Cho)、マイケルTHEドリーム(Key)、ジャンボリー加藤(Dr, Cho)からなる5人組。デストロイはるきちの生み出すキャッチーなメロディと古今東西問わず幅広い音楽ジャンルを融合させた多彩な楽曲展開を持ち味とするロックバンド。2006年12月に「みそっかす」名義で結成され、メンバーチェンジやパートチェンジを経て現在の編成になる。地元愛知や、大阪で開催した自主企画でソールドアウトが続出するなど、精力的なライブ活動で着実に知名度を上げていく。2013年にはオーディションイベント「出れんの!? サマソニ!?」で勝ち残り、「SUMMER SONIC 2013」東京公演への出演を果たした。2014年1月1日にバンド名を「ミソッカス」に改名。2014年4月にシングル「シャイニングイリュージョン」を発表し、7月には4thミニアルバム「統一された混沌(カオス)」をリリースする。