ナタリー PowerPush - ミソッカス
ダサカッコよさを求めて ひねくれバンドの挑戦
ミソッカスが7月2日に4thミニアルバム「統一された混沌(カオス)」をリリースする。1月にこれまでのトレードマークであった和装を脱ぎ捨て、「みそっかす」からカタカナ表記へと改名した彼ら。ナタリーでは、デストロイはるきち(Vo, G)とノブリル(G, Cho)にインタビューを実施し、雑多なジャンルを融合させたバンドのルーツ、和装イメージからの脱却を目指した経緯などについて語ってもらった。
取材・文 / 田中和宏 インタビュー撮影 / 佐藤類
選りすぐりのカスが集まってできたバンド
──2006年に結成されたとのことですが、バンドのキャリアからお伺いできますか。
デストロイはるきち(Vo, G) 僕がもともと大学時代に弾き語りをやってたんですよ。先輩がオリジナルのバンドをやってて、それを観てすごくいいなあと思ってたんですけど、バンドメンバーが集まらなかったから1人でやってました。それでサークル内のコンサートでオリジナル曲を発表したときに、ノブリルが「いいね」って言ってくれて。
ノブリル(G, Cho) すごい奇抜に感じましたね。上半身裸でやっすいエレキギター持って、コード2つしかないシュールな曲をやってて。
──じゃあバンドを結成して、最初ははるきちさんの曲をメインでやってたんですか?
ノブリル いや、僕が別でバンドもやってたんですが、そこでどうしてもできなかった「ダメ人間」っていう曲がありまして。それをその当時いたドラムとはるきちと僕の3人、ベースレス編成でやったのが始まりです。
──バンドを組んだときに「みそっかす」と名付けた理由は?
はるきち 当時ブルース研究会、フォークソング研究会、ラテン同好会みたいな感じでジャンルごとに軽音楽サークルがたくさんあって、その3つあるサークルの中で選りすぐりのカスが集まったっていうか(笑)。このバンドはシュールなところでつながってるから一緒にバンドやれてるんだなっていう。
──シュールなところって?
はるきち 王道もいいなと思いつつ、なんか心酔できない感じが共通している。例えばBUMP OF CHICKEN、ASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDENのコピーバンドなんかもしてきましたけど、もし自分たちが彼らのようなスタイルで同じメッセージを発信しても説得力が彼らにおよばないなとか、少し引いて王道を眺めてしまうんですよね。
奇想天外なものをわかりやすくしようと思った
──曲によってハードロック、メタル、ダンスロック、バラードなどさまざまな要素が盛り込まれてますけど、雑多にやっていこうって思ったのはどのあたりからですか。
ノブリル 去年5月に出したシングルのカップリング「CRユートピア計画」は、ギターロックのイントロからいきなりボサノバに変わるんですよ。フランク・ザッパの影響なのかわかんないですけど、ああいう感じの難解な展開の曲をやってるうちに、奇をてらったようなものにみんなどんどんハマっていって。
はるきち 今聴くと、ちょっと無理やり詰め込んだ感じはありますけどね(笑)。
ノブリル 奇想天外なものをさらにわかりやすくしようっていう意図を持って作ったのが今回の新作です。
はるきち 「わかりやすく、変」みたいな。
──「統一された混沌(カオス)」というタイトルにもその感覚は込められてるんですか?
はるきち アルバムを頭から順に聴いて、1曲目「マッドシュリンプス」から2曲目「ホリデイ」になると「これ同じバンドなのかな」って疑われるぐちゃぐちゃな感じがカオスかなって。でもミソッカスが演奏することによって、1曲目から8曲目まで全然違う音楽性でも通して聴いたときにちゃんとミソッカスの音になっている。という意味で「統一された混沌(カオス)」っていうタイトルにしました。
真似でもパロディでもない「マッドシュリンプス」
──「マッドシュリンプス」ってRADWIMPSに語感が似てますよね。
はるきち 曲調からイメージして付けた仮タイトルが最初「ラッド」だったんです。僕らのオリジナルですよもちろん(笑)。これ聴いた人は「RADWIMPSに似てるよね」って言うかなと思ったので先手を打ったタイトルにしました。YouTubeのコメント欄とか見てると、ONE OK ROCKっぽい、アジカンっぽい、ELLEGARDENっぽい……ってよくあるんです。でもそうやってバッサリ切り捨てながら音楽を聴いても楽しくないだろうと思ってて。どのバンドにもそれぞれのオリジナリティが必ずある。その部分を聴いたほうが、より音楽を楽しめるんじゃないかなっていうメッセージをタイトルに込めました。
──でも今話してもらったような説明がないと、真似とかパロディとかって誤解されたままになりませんか?
ノブリル あえてなんでこんなことにしたのかをリスナーに考えてほしいっていう問題提起でもあるんです。ただ何も提示せずに「RADWIMPSっぽい」って思われるだけじゃなくて、「この曲調でRADWIMPSみたいなタイトルって露骨に主張しすぎだろ」って思ってもらえたらいいなと。狙ったタイトルだってことはその時点で伝わってると思いますし。
収録曲
- マッドシュリンプス
- ホリデイ
- お願いGOD
- little by little
- Dead Star
- 幻のオ・ト・コ
- シャイニングイリュージョン(Album Ver.)
- 太陽の塔
ライブ情報
- ミソッカス「統一された混沌(カオス)」レコ発ツアー
- 2014年7月5日(土)大阪府 大阪ミナミ周辺のライブハウス(出演会場未定)
※「見放題2014」への出演 - 2014年7月11日(金)大阪府 CONPASS
- 2014年7月12日(土)東京都 渋谷周辺のライブハウス(出演会場未定)
※「TOKYO BOOTLEG CIRCUIT'14」への出演 - 2014年7月19日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2014年7月20日(日)福岡県 Queblick
- 2014年7月21日(月・祝)広島県 HIROSHIMA 4.14
- 2014年7月26日(土)宮城県 FLYING SON
- 2014年7月27日(日)茨城県 club SONIC mito
- 2014年7月28日(月)京都府 GROWLY
- 2014年7月30日(水)愛知県 APOLLO BASE
- 2014年9月15日(月・祝)東京都 新代田FEVER
- 2014年9月20日(土)大阪府 FANDANGO
- 2014年9月23日(火・祝)愛知県 RAD HALL
ミソッカス
デストロイはるきち(Vo, G)、ノブリル(G, Cho)、ブルマン藤井(B, Cho)、マイケルTHEドリーム(Key)、ジャンボリー加藤(Dr, Cho)からなる5人組。デストロイはるきちの生み出すキャッチーなメロディと古今東西問わず幅広い音楽ジャンルを融合させた多彩な楽曲展開を持ち味とするロックバンド。2006年12月に「みそっかす」名義で結成され、メンバーチェンジやパートチェンジを経て現在の編成になる。地元愛知や、大阪で開催した自主企画でソールドアウトが続出するなど、精力的なライブ活動で着実に知名度を上げていく。2013年にはオーディションイベント「出れんの!? サマソニ!?」で勝ち残り、「SUMMER SONIC 2013」東京公演への出演を果たした。2014年1月1日にバンド名を「ミソッカス」に改名。2014年4月にシングル「シャイニングイリュージョン」を発表し、7月には4thミニアルバム「統一された混沌(カオス)」をリリースする。