ナタリー PowerPush - MISIA

初のカバー集は素晴らしいものを受け継ぐ旅

1998年、デビュー曲「つつみ込むように」で颯爽と登場し、ソウルフルな歌声で日本の音楽シーンを席巻したMISIA。近年では2010年のサッカーワールドカップ・南アフリカ大会公式アルバムにアジア代表として参加。また社会貢献にも熱心で、その活動が認められ国連から生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の名誉大使に任じられた。その活動が縁となり、巨匠、ディヴィッド・フォスターとのコラボも実現するなど、今や日本だけでなく、アジアをも代表する歌姫として活躍する彼女が、13年余のキャリアで初となるカバーアルバム「MISIAの森 -Forest Covers-」をリリースする。

映画「friends もののけ島のナキ」の主題歌でもある「Smile」や、CMでもおなじみの「What A Wonderful World」を含む、ソウルミュージックの名曲を集めた本作。彼女のリスペクトはもちろん、今の時代にこそ伝えたいメッセージが詰まっているという。どのような思いで楽曲を選び、歌ったのかなど、アルバムに込めた熱い思いを語ってもらった。

取材・文 / 橘川有子

 
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『MISIAの森』の持つコンセプト

──まず、「MISIAの森 -Forest Covers-」というタイトルに込められた意味を教えてください。

『MISIAの森』というのは、石川県津幡町に実際にある森です。私がやらせていただいている生物多様性に関する活動ともつながるのですが、5年間という期間の中でその森と森の保全活動を通して生物多様性にまつわるメッセージを発信していこうと思っているんですね。特に東日本はこれからちょうど復興していくときでもありますし、どういう未来を私たちが描いていくかはとても大事だし、必要とされていることだと思います。私はその中で、生物多様性という視点を持って復興を進めていくことがとても大切なことだと感じていて。また、森から放たれているメッセージやパワーを私たちが受け取ることで元気をもらったりすることも少なくないと思うんです。例えば、森の中にいると、気持ちいいなって思うように。

──メッセージやパワーをまず“実感”しないと、MISIAさんが『MISIAの森』に込めた本当の意味を理解するのは難しいかも……。

今回のアルバムもそうですが、まずは“Feel”してもらいたいですね。今、申し上げたようなさまざまな視点を含め、今の時代に色褪せることなくメッセージを持ち続ける楽曲を歌いたいな、言葉を歌い継ぎたいなと思ったとき、私が『MISIAの森』について考えているコンセプトととても合っているなと考えたので、タイトルにしようと思いました。

「心からの言葉は時を超えても人の心に響く」

──今回は“今の時代に必要な言葉”をテーマに選曲したそうですが、選ばれた楽曲の中に何か共通点を感じましたか?

「心からの言葉は時を超えても人の心に響く」と聞いたことがあります。このアルバムに収録されている曲は1950年代から70年代のものですが、歌いながらその楽曲が心に響いてきて、「心から作られているホンモノの歌ばかりなんだな」と感じました。愛だったり、環境だったり、私たちの生活に密着している歌であればあるほど、それが真実の歌かそうでないかは感覚的にわかってしまうと思うんです。世代を超えて愛され続けている楽曲はきっと、そのときどきの人たちが「これはホンモノだ」と感じてきたから今も残っているんだと思いますね。

──なおかつ、MISIAさんが好きなアーティストたちの曲でもありますよね。

はい。このアルバムを作る前に、オリジナルアルバムの「SOUL QUEST」をリリースして同名のツアーを回ったんですが、この「SOUL QUEST」を私流に訳すと「素晴らしいものを探しにいこう」となります。私が生活を送る中で、元気をくれるもの、自分を奮い立たせてくれるものってなんだろうと考えたとき、ソウルミュージックだなって。ツアーなどを通して、自分が旅する中で出会った素晴らしいものを形にしたのが前のアルバムだとすると、「MISIAの森 -Forest Covers-」はこれまでに偉大なアーティストたちが見つけてきた素晴らしいものを受け継ぐ旅というか。今回歌わせていただいた、マーヴィン・ゲイやダニー・ハサウェイ、マイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダーといった人たちはみんな、音楽的にはもちろん、ミュージシャンとしての在り方でも後世に大きな影響を与えています。そういった大きなメッセージを持つソウルミュージックを探す旅ができたのも、「素晴らしいものを探しにいこう」という「SOUL QUEST」のアルバムやツアーがなければ、もしかすると実現しなかったのかもしれないなって思うんです。

カバーアルバム「MISIAの森 -Forest Covers-」 / 2011年12月14日発売 / 3000円(税込)/ アリオラジャパン / BVCL-292

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CD収録曲
  1. Smile
  2. Heal The World
  3. The Rose
  4. What A Wonderful World
  5. Ribbon In The Sky(Japanese Version)
  6. Mercy Mercy Me(The Ecology)
  7. This Christmas
  8. White Christmas
  9. Can't Take My Eyes Off You
  10. 大きな愛の木の下で
MISIA(みーしゃ)

1998年2月にシングル「つつみ込むように…」でデビューを果たし、大ヒットを記録する。同年6月に発表した1stアルバム「Mother Father Brother Sister」は200万枚以上を売り上げ、女性R&Bブームの火付け役存在となる。2000年に発表したシングル「Everything」はドラマ主題歌にも起用され、200万枚を超えるセールスを達成。2011年7月には通算10枚目となるオリジナルアルバム「SOUL QUEST」を発表し、12月14日に初のカバーアルバム「MISIAの森 -Forest Covers-」をリリースする。