M!LK|“芝居×音楽”で切り開く新境地 青春の真ん中で僕らが見つめる未来

M!LKが3月11日に3rdアルバム「Juvenilizm-青春主義-」をリリースする。

2月に5人体制となり、新体制初の作品として発表される今作で、M!LKはこれまでにない新たな表現に挑戦した。「Juvenilizm-青春主義-」はアーティストとしてのM!LKと俳優としてのメンバー5人の姿を織り交ぜた“シネマティックアルバム”として制作され、曲を聴き進めていくと物語が展開するという内容に。さらに、収録曲を映画音楽として使用したショートフィルムの撮影も行われ、この映画は3月7日より東京・渋谷HUMAXシネマで期間限定公開される。

今回の挑戦に、M!LKの5人はどのような思いで臨んだのか。音楽ナタリーでは新体制のスタートとなる2月1日にインタビューを行い、それぞれのグループへ対する思い、新作についてのエピソードを聞いた。また、特集の最後には撮り下ろし写真によるフォトギャラリーも掲載する。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 山崎玲士

歌いながら「5人でいけるな」って思った

──板垣瑞生さん、宮世琉弥さんを見送るライブから一夜明けました(取材は2月1日に実施)。まずは昨日のライブについて聞いてもいいですか?(参照:「いつか全員で大きな舞台に」M!LK瑞生&琉弥卒業ライブ、涙の別れの先の新たな道へ

佐野勇斗 いつもに比べて曲数自体は少なかったんですけど、ものすごい完全燃焼した感覚です。それくらい気持ちがこもっていたし、いいライブだったんだと思います。

山中柔太朗 みんな泣きすぎて「頭痛い」って言ってたよね。リーダーは泣いてなかったけど(笑)。

吉田仁人 泣くと引きずっちゃうんだよ。2人を見送ったあと「Winding Road」を初披露するのに切り替えられなくなっちゃうから、我慢しました。

勇斗 そう、5人のこれからの姿も見せられたので、いい形でできたと思います。

M!LK

仁人 僕たち的にもよかったし、み!るきーず(M!LKファンの呼称)にとってもよかったんじゃないかな。7人のまま終わったら、次のビジョンが見えづらかったと思う。そこで新曲(「Winding Road」)をしっかりと見せられたからね。

勇斗 ファンの方は「これからのM!LKが楽しみ」という言葉をかけてくれたし、瑞生や琉弥、(山﨑)悠稀のファンの方で「グループが好きだからこれからも応援する」と言ってくれる方も多かったんです。そういった意味でもすごくうれしかったし、応援してくれる方がいるからこそ5人でやれているので。みんなを今後絶対悲しませないように、プラス恩返しができるように。着実にステップアップしていきたいなって思いました。

仁人 あと、僕は歌いながら「5人でいけるな」って思った。その日その日で、手応えってやっぱり変わるんです。「負けたな」って思う日も正直あるし。でもあれだけ……3000人以上の方が来てくれた中でも「いけるわ」と思ったし、これからも大丈夫だろうなって思いました。

勇斗 なんか、5人になったときに不安がなかったんだよね。

曽野舜太 うん。

勇斗 むしろ「やってやるぞ」みたいな感じで。

仁人 円陣のとき「よし、いくか」ってマインドになったもんね。

──ステージの上で初めて5人での円陣を組んだときですね。

勇斗 マイク入れてないから、みんなの一言は聞こえてないですよね?

柔太朗 あれ、言ってたこと思い出そうよ。

仁人 太智は「鼻水が出てます」って言ってたよ(笑)。

一同 あはははは!(笑)

塩﨑太智 「鼻水が出てます、M!LK!」って言いましたね。

勇斗 俺は東京ドームのこと言った。「ここからドームへの道がまた始まります」って。

舜太 俺、そこでめちゃくちゃグッときたんだよ。

柔太朗 うん。でもね、鼻水の話も逆にグッときた。

太智 ええ?(笑)

柔太朗 こういうときも、太智くんはなんて太智くんらしいんだと、今後も救われるんだろうなと思って泣きそうになっちゃって(笑)。

舜太 リハーサルのときも笑わせてくれたしね。すごいわ。

塩﨑太智

太智 舜ちゃんの言葉はシンプルだったよね?

舜太 うん。「最後までやりきろう」的な。

勇斗 柔太朗は、みんな泣いてたから「切り替えよう」って言ってたね。

柔太朗 で、仁人くんは面白かったんだよね!

太智 なんか、アツいこと言ってたよ(笑)。

柔太朗 「……見せていきましょうっ!」って、言い方が面白かったんだよね。おじさんみたいで。

勇斗 仁人がリーダーなので、みんなが重ねた手を上下からサンドイッチするんですけど、その格好のまま「見せていきましょうっ!」ってね(笑)。

仁人 そんな気持ちだったんか、お前ら(笑)。悲しいぞ。

勇斗 いや、言うことのバランスもいいなと思ったよ。

柔太朗 いいよね、ちゃんと五角形ができてた。

この5人で何が足りない?

──5人で披露した最初の曲は「ERA」でした。舜太さんが瑞生さんと琉弥さんの見せ場的なパートを引き継いでいましたよね。

曽野舜太

舜太 受け継ぎました! 琉弥たちの音源を聴いて、マネするところから入ってみたんです。そこから自分の中で噛み砕いて「この思いをこう伝えよう」と気持ちを持っていったので、それが伝わっていればいいなと思っています。琉弥にも相談して「ここはどうやって伝えてたの?」って聞いたりもしました。

勇斗 瑞生の「腹の底から」の歌い方ってインパクトあったからさ。次にここを歌う人、負けちゃわないかなと思ってたんだよ。でも舜ちゃんは越えてくる感じですごいよかったよ。

柔太朗 ちゃんと舜太っぽさもありつつね。

太智 いい歌声だった。

──それと、ステージ上で柔太朗さんが「5人で話し合いをした」とおっしゃっていましたが、そのときはどんな話を?

柔太朗 2人が卒業するのが決まって、まずは続けるかどうか。そこからですね。

勇斗 俺が言ったんですよ。「ホントに5人でいいの?」って。いや、俺も5人がいいけど、ただみんなが即答で「5人でやる」って言うから、ちゃんと考えてる?って。

柔太朗 柔軟な考えだよね。

舜太 そう、俺なんか単純だから、「絶対5人でやる!」って即答しちゃったけど。

仁人 まあでも、実際俺が思ったのはね。以前5人から4人になったときは「何か足りない」と思ってしまったんです。だから(新メンバー)3人の力が欲しいと思ったんですけど、今回は「この5人で何が足りない?」と考えたとき、何も足りなくないんですよ。十分だなって。

勇斗 うん。

吉田仁人

仁人 だから、5人の話し合いの中でここから何をやっていこうか、どんなことに熱を入れてがんばっていこうか、そういう話をしてるときがすっごい楽しかったんです。そう、次のステップに進むための準備期間がすごく濃くて。時間がない中で、いろんな決断をしていったから。

柔太朗 あの期間はホントに濃かったよね。

仁人 だって、眠れないからずっと構成考えてた(笑)。

太智 それ、ホント最高だよ。

柔太朗 そう、これすごい裏話ですよ。いよいよ5人になるぞというときに、仁人くんは何かしたかったんでしょうね。誰に言われるでもなく、5人体制のためのダンスの構成を3曲くらい考えてきたんです。

舜太 ヤバいですよね? 普通、プロの振付師さんに任せることですよ。

仁人 暇つぶしですよ。歌割りだって決まってるわけじゃないから。だけど眠れないから「何かしなきゃ」って(笑)。

勇斗 なんか目にクマあるなあと思ったら「構成考えてた」って、「ええー!」ってなりましたよ(笑)。

仁人 4時くらいまでずっと動画観て。いや、腑に落ちなかったんだよね。だって僕らは過去に一度同じような状況を経験して、それによってファンの方がどれだけ悲しむか、わかってるわけじゃないですか。「わかってるのにもう1回やるのか……」と思ってしまって。

柔太朗 でも、5人で話してるうちに自信は湧いてきた?

仁人 うん、それはもちろん。今回踏み切れたのは、「次を見せられるな」っていう自信があったから。自信があったからこそ、やりきれた昨日のライブだったなと思います。

これこそ“変幻自在”

──今回のアルバムは“シネマティックアルバム”というコンセプトで、実際に劇場で公開されるショートフィルムとの連動だったり、皆さんの役者としての顔もしっかりと織り交ぜた作品として制作されました。演技力は皆さんそれぞれが個人の活動の中で培ってきたものかと思いますが、M!LKとしてのこの見せ方についてはどういった思いを抱きますか?

舜太 しっくり、とはまた違うんですよね……。

勇斗 新しいからね。

舜太 そう、新しいから。だから「すごい、こういうやり方もあったのか」って。

佐野勇斗

勇斗 僕らアイドル……アイドルって言っていいのかわからないけど、仮にアイドルだとして、こうやって歌じゃなくお芝居を押し出すやり方って自分は見たことがないので。最初はどうなるんだろうと思ったんですけど、完成したものを観たらめちゃくちゃよくて。僕たちは歌だけじゃなく芝居やバラエティと、いろいろなことに挑戦していきたいので、いい自己PRの映像作品ができたんじゃないかなって思います。今回のアルバムは収録曲が5人それぞれのショートストーリーの主題歌のように使われているので、ドラマで使えるような曲をM!LKは歌えるんだぞ、とも思ってもらえると思うし。

──確かに、そういう見方もできますね。

仁人 なんかさ、これこそ“変幻自在”だよね。僕、M!LKの変幻自在っていうコンセプト、ずるいと思ってるんですよ。なんにだって当てはまるから(笑)。

一同 あはははは(笑)。

仁人 でもこれは、その変幻自在を最大限に使っている企画だから「やったぜ」って感じです(笑)。

──ショートフィルムの中で皆さんは幼なじみという設定で。5人が一緒に演技をすることって、これが初めてですよね?

勇斗 そうですね。

──演じてみて、いかがでした?

舜太 俺と太ちゃん(太智)は一緒の場面が多かったんですけど、撮影の前に構成をこうしようとか2人で相談しあったりして。太智くんの新しい顔を見れたし、メンバーの違う一面を見れたことでまたいろんな発見がありました。

仁人 僕は勇斗との共演がありましたね。楽しかったです。

勇斗 いや、全然楽しくなかった。やりづらくてやりづらくて!(笑) ガッツリ仁人と共演したのは初めてだったので、とても新鮮でしたね。でも普通じゃなかった? 違う?

仁人 いや、こんな感じじゃない……はっちゃけてる感じじゃないんですよ、役者のとき。

山中柔太朗

柔太朗 ホントのこと言うと、佐野さんはバカ真面目ですね。

勇斗 いや、それだけは禁句だよ?

一同 あはははは!(笑)

仁人 バカ真面目!(笑)

勇斗 それほどでもないですけどね? 真面目なふりをしてるんですよ。

舜太 キャラクター作ってる(笑)。

勇斗 いや、ホントに真面目なのは舜太とかじゃない? あのね、俺、自分がなんなのかわかんない(笑)。