音楽ナタリー PowerPush - 高橋幸宏 & METAFIVE(小山田圭吾 × 砂原良徳 × TOWA TEI × ゴンドウトモヒコ × LEO今井)

異能集団の誕生とその実態

小山田圭吾(Cornelius)が音楽を手がける劇場版アニメ「攻殻機動隊ARISE」シリーズの第4弾「攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone」が、9月6日より劇場公開される。これに先駆け、9月3日には高橋幸宏 & METAFIVE(小山田圭吾 × 砂原良徳 × TOWA TEI × ゴンドウトモヒコ × LEO今井)によるテーマソング「Split Spirit」が配信シングルとしてリリースされた。

高橋幸宏を中心に、そうそうたるメンバーで結成された高橋幸宏 & METAFIVE。ナタリーでは高橋と小山田に話を聞き、結成秘話や楽曲制作のエピソードを語ってもらった。

取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 笹森健一

 
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まずはアー写を撮ろう

──そもそも「高橋幸宏 & METAFIVE」はどのような理由で結成され、またどうしてこの6人が集まったのか、まずはその経緯を教えてもらえますか?

高橋幸宏 もともとは今年1月のコンサートのためだけだったんですよ(参照:高橋幸宏が豪華メンバー率いてテクノポップ忠実再現ライブ)。コンサートが決まったときに、In Phase(高橋幸宏 with In Phase。高橋幸宏、ジェームス・イハ、高桑圭、堀江博久、ゴンドウトモヒコ、鈴木俊治からなるバンド)とは違うものがやりたいなと思って。

──完全にあのコンサートありきのものだったんですね。あのとき銘打っていた“テクノコンサート”をやるにはこの人選と。

高橋 そう。自分の昔の曲やYellow Magic Orchestraの曲を当時の空気感をで再現できて、それでいて今の音につなげることのできるサウンドプロデュース能力に長けた人たちをと考えて。僕のトリビュートアルバムに参加してくれた、まりん(砂原良徳)とテイくん(TOWA TEI)と小山田くん、まずはその3人のスケジュールが空いてたらできるかもね、というところから始まったんです。その3人に聞いてみたらたまたまOKだったから、ゴンドウ(トモヒコ)くんとLEO(今井)くんにも声をかけて……まずはアー写を撮ろうと(笑)、カメラマンの三浦憲治さんにお願いして。まだ何も決まってないんだけどお願いって。

高橋幸宏 & METAFIVE

──あははは(笑)。でもこのアーティスト写真のインパクトたるや、ものすごいですよね。そうそうたるメンバーが一堂に。

高橋 ただ行きつけのBARで撮影したんだけどね(笑)。そのあとみんなでごはん食べながら、どんなふうにするのか決めたんですよ。

──その時点では1月のコンサート以外の活動は視野に入れてなかったんですか?

高橋 なかったですね。このメンバーで別の形でも何かできればいいね、とは思ってたけど。ただ、その後にフェスの誘いもあったので、じゃあ年内はこれで行ってみようかと。

小山田圭吾(Cornelius) その最初のコンサートが評判がよかったんですよね。いったいどうなるかと思ってたんだけど、自分たちでも「意外といいね」みたいな(笑)。

砂原良徳が趣味で作ったYMO完全再現データを元に

──小山田さんとしては、誘われたときにどういうお気持ちでしたか?

小山田 バンドと言っても、ドラム、ベース、ギターみたいなパート割があるわけでもないから、このメンバーで何やるんだろうと思いましたけど、意外とよかったんですよね(笑)。

──全員がプログラミングまで手がけるクリエイター集団だから、そこの役割分担がどうなるんだろう?というのが気になるし、ワクワクするところだったんですよね。

高橋 みんなそれぞれの役割がわかってるから、特に言うことはないですね。

小山田 うん。みんな察してくるみたいな(笑)。

「WORLD HAPPINESS 2014」の様子。高橋幸宏 & METAFIVEとスペシャルゲストの細野晴臣、土屋昌巳。(Photo by Taem LIGHTSOME 三浦憲治)

高橋 まりんがまず全体の出音を気にするんですよ。打ち込みと生音とのバランスとか。最初まりんは、自分ではそこまで生演奏でやるとは思ってなかったみたいなんだけど、この間のワーハピ(「WORLD HAPPINESS 2014」。参照:荒天に負けぬ豪華15組競演、ワーハピ2014)に至ってはすごく生演奏率が高くて、ついに細野(晴臣)さんとまりんのベース共演というのもあった(笑)。ワーハピではYMOの「KEY」をやったんだけど、小山田くん、まりんにギターソロのフレーズとか指示されてたよね。

小山田 「昔のライブではこう弾いてた」って。彼は全部知ってるから(笑)。

高橋 YMOとか僕のソロについては、僕よりも詳しい(笑)。

小山田 だからライブに関しては、まりんがかなり仕切ってくれますね。

──最初のライブで完全再現したオケを作ろうとしたら、砂原さんがすでに個人で作っていたものを持ってたんですよね(笑)。

小山田 METAFIVEやる前から趣味で作ってたっていう(笑)。当時のマルチは残ってないけど、彼が完璧に再現してくれる。しかも趣味で(笑)。

高橋幸宏

高橋 「BALLET」をそのまんまの形でやりたいんだよなあって言ったら「もうあります」って(笑)。この間の「KEY」に関しても「まりん作ってくれるかな」って頼んだら二つ返事で、すぐ作ってきましたからね。それをソフトシンセで作ってるんですよ。Prophet-5とか実機を使うわけじゃなく。彼はどの曲で教授(坂本龍一)がどの楽器を弾いているとか全部知ってるんだけど、あえてソフトシンセで再現する楽しみがあるらしくて。

──完全再現できる能力の上に、この6人ならではの最新鋭の音楽が加わるのがMETAFIVEの強みであり、狙いなのかなと思いました。

高橋 そうそう。だからライブごとに変わっちゃうんですよ。リハを重ねるごとにみんなやることが複雑になってきて。さらに本番ではまた違ったりする。そこがMETAFIVEの面白味ですよね。

映画「攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone」 / 2014年9月6日(土)より全国上映 ※2週間限定

(c)士郎正宗・Production I.G / 講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

高橋幸宏 & METAFIVE(小山田圭吾 × 砂原良徳 × TOWA TEI × ゴンドウトモヒコ × LEO今井) 配信シングル「Split Spirit」 / 2014年9月3日配信開始

レコチョク

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FM3ブッダマシーン「GHOST IN THE MACHINE」 / 2013年6月27日発売 / 3132円
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高橋幸宏(タカハシユキヒロ)

1952年生まれ、東京都出身。高校時代からスタジオミュージシャンとして活躍し、武蔵野美術大学在学中の1972年にサディスティック・ミカ・バンドへドラマーとして加入。その後1978年に細野晴臣、坂本龍一とともにYELLOW MAGIC ORCHESTRA(YMO)を結成し国内外に大きな影響を残こし、1983年に「散開」。その後ソロ活動と併行し鈴木慶一とのユニットTHE BEATNIKSや、原田知世、高野寛らと結成したpupaなどで活躍している。また細野とのユニットSKETCH SHOWや、SKETCH SHOWに坂本が加わったHASYMOやYMOなど、名義を使い分け不定期に活動している。ソロとしては、1978年の「Saravah!」以降コンスタントにアルバムを発表。2012年6月に還暦を迎え、それを記念したトリビュートアルバム「RED DIAMOND ~Tribute to Yukihiro Takahashi~」が8月に発売された。2013年7月には、ジェームス・イハなどを迎えた新バンド「In Phase」とともに、バンドサウンドを展開した23枚目のオリジナルアルバム「LIFE ANEW」を発表した。2014年1月には小山田圭吾(Cornelius)、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井の5人をメンバーに迎えたバンド「高橋幸宏 & METAFIVE」として一夜限りのスペシャルライブを実施。このステージが好評を集め、その後も複数のライブイベントに出演し、9月公開の映画「攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone」ではエンディングテーマ「Split Spirit」を書き下ろした。

Cornelius(コーネリアス)

小山田圭吾によるソロユニット。1991年のFlipper's Guitar解散後、1993年からCornelius名義で音楽活動を開始する。アルバム「THE FIRST QUESTION AWARD」「69/96」は大ヒットを記録し、当時の渋谷系ムーブメントをリードする存在に。1997年の3rdアルバム「FANTASMA」、続く4thアルバム「POINT」は世界21カ国でリリースされ、バンド「The Cornelius Group」を率いてワールドツアーを行うなどグローバルな活動を展開。2006年のアルバム「SENSUOUS」発売に伴う映像作品集「Sensurround + B-sides」は米国「第51回グラミー賞」最優秀サラウンド・サウンド・アルバム賞にノミネートされた。現在、自身の活動以外にも国内外多数のアーティストとのコラボレーションやリミックス、プロデュースなど幅広いフィールドで活動を続けている。