ナタリー PowerPush - MEG
豪華アーティスト陣が集結カラフルな10曲「WEAR I AM」
MEGのニューアルバム「WEAR I AM」のタイトル曲を手がけたのは□□□の三浦康嗣。彼が作詞・作曲・編曲の全てを担当した「WEAR I AM」は、めまぐるしい展開とトリッキーな要素が目を引きつつも、感動的な盛り上がりを見せる傑作に仕上がった。
ナタリーではこの曲の成り立ちに迫るべく、MEGと三浦康嗣の対談を企画。楽曲についてのエピソードを語り合ってもらった。
初対面だった2人
──元々2人はお知り合いだったんですか?
MEG いえ、今回初めてで。
三浦 打ち合わせのときに初めて会いました。
MEG だから今日が2回目、ですかね。
──じゃあ元から友達とかいうわけではなく。
三浦 うん、そういうわけではない。
MEG 私が以前から三浦さんの曲を聴いていて、頼める機会があったらお願いしたいなと思っていたっていう。
三浦 おお。
MEG はい。
三浦 おお……っていうか、そんなん初めて聞いたしびっくりした。
MEG だからリアルでどういう人なのかとかは全然知らなかったです。
──三浦さんはMEGさんのことは知ってたんですか?
三浦 いや、曲を聴いたこともなかった。僕テレビもないしラジオも聴かないし、音楽も聴かないから……。友達とも別に音楽の話とかはしないし、本当に無知なんですよ。
MEG じゃあ最初どうでしたか? 印象、大丈夫でしたか?
三浦 僕は基本的に頼まれた仕事はなんでもやりたいと思ってるんで。でもなにげに作詞・作曲・編曲を全部やらせてもらうのは初めてな気がします。そうだ、初めてじゃん。やった!
MEG わあ、そうなんですね! ありがとうございます。
三浦 僕、自分から「やらせて」って言うことはないんです。めちゃめちゃ受身な人間なんで、頼まれなかったら無職です。だから単純にうれしいですよ。選んでくれてありがとうございます。
ヒントは言わずにおまかせで
──三浦さんが提供したこの「WEAR I AM」という曲が、アルバムのタイトル曲になっているわけですね。
MEG はい。最初もらったときはタイトル未定だったんですけど、この歌詞が、私が考えてたアルバムのテーマに偶然にもすごくリンクしていて。それでこのタイトルに。
──テーマっていうのは?
MEG 本当にこの曲の歌詞そのままで。「みんな大好き」っていうメッセージもそうだし。
──「いろんな誰かを着こなしたい」というフレーズもありますね。
MEG そう、いろんな曲があるけど、その軸はいつも私でいようっていう。偶然なんですけど、最高の歌詞を書いてもらえて。
──MEGさんは、三浦さんに曲を依頼するときにどういうリクエストをしたんですか?
MEG ほとんど……してないですね。あんまり具体的に言って、作り手の自由度が減っちゃうのって良くないなって思うので。だから打ち合わせでもできるだけヒントは言わないで帰ろうと決めてました(笑)。そのときは確か、三浦さんがいっぱいしゃべってくれたんですよね。
三浦 こっちはできるだけヒントを聞きたいから、まず自分がしゃべって。ほら、人って秘密を打ち明けられると自分もなんか秘密を明かさなきゃいけない気持ちになるじゃないですか(笑)。僕は自分のことをしゃべりたい人間ではないっていうか、むしろ逆なんですけど……。
MEG 「あの曲みたいに」とか「ほかの人のラインナップはこういう感じなんで、ここに足す曲を」みたいなことをたくさん言うと何かつまんなくなるじゃないですか(笑)。だからヒントは言わずに、もう好きなように自由にやってください! じゃあ!って。それで上がってきたのがこの曲だったんで、ほんとに良かったって思います。
三浦 すごいですよね。いや、俺この曲はかなりの確率で「えっ?」って思われるだろうなって思ってたんで。むしろすごい気に入ってくれたみたいでうれしかったです。
自曲内サンプリング
──それにしてもこの曲はセリフもあるし転調も多いし、だいぶ変わった楽曲ですよね。
MEG ですね、楽しい曲。
三浦 楽曲的には相当変ですよ。自曲内でサンプリングしてますから。
──自曲内でサンプリング?
三浦 曲の中でその曲の一節をサンプリングして使ってるんです。この冒頭の「髪を切りすぎてしまったよ 男の子みたい」っていう部分が随所にそのままぶつ切りで挿入されてて。だからこの「神様」の「かみ」は最初の「髪」のサンプリングだし、「この子」っていう部分も「男の子」の「おと」を抜いて「この子」になってる。ストリングスも歌もぶった切ってここにはめてるから、謎の転調とかが随時起きてるんですけど。
──なるほど。
MEG これ歌録るのもすごく面白かったです。
──三浦さんはなぜこういう曲にしようと思ったんですか?
MEG そうですね、それはぜひ知りたいですね。
三浦 なんでそんな変なことをするんだい?っていうことを訊きたいわけですか。
MEG そうですね。
三浦 だって……なんか面白いことしないと飽きるじゃないですか。
MEG ふふふ(笑)。
三浦 あ、でもこういうことって自分(□□□)のアルバムでいつもやってますけど、でもこの曲は今までやったものの集大成な気がします。すごく面白かった。
──MEGさんはセリフ部分はどうでした? 照れたりしませんでした?
MEG なんかね、2年前くらいにアニメの声優やらせてもらったんですけど、それがあったからか、セリフは、イキナリでもなくて恥ずかしさは特になかったですね。そこにはなんの抵抗もなく楽しめた感じがする。
──セリフのところすごくいいですよね。
三浦 うん、セリフって歌でもないしラップでもないし。普通は音程とリズムと歌っていうのは、ずっとすごく寄り添ってるわけ。でもセリフが出てくると「あ、今この瞬間なんか離れた」みたいな。やっぱりひとつ違う次元に行くんですよね。だから聴いてる人の注意が引ける。セリフ自体が普通は「ダサいよね」って思われるのもよくわかるけど。「ダサい」っていうデメリットと「注意を引ける」っていうメリットの両方を考えたら、これは使わない手はないんじゃないかって思うんですよ。
ニューアルバム「WEAR I AM」/ 2012年10月3日発売 / スターチャイルド
CD収録曲
- TRAP [作詞:MEG / 作曲:岡村靖幸 / 編曲:大沢伸一]
- 夏が終わる [作詞・作曲・編曲:小西康陽]
- HIGHTEEEN [作詞:MEG / 作・編曲:横山裕章]
- セブンティーン・ランデヴー [作詞:MEG / 作・編曲:NARASAKI]
- MISS MARTINI [作詞:MEG / 作・編曲:横山裕章]
- LOVE EMOTION [作詞・作曲・編曲:古川裕(ex. DOPING PANDA)]
- ZZZ [作詞:MEG&古川本舗 / 作・編曲:古川本舗]
- SOUTHPAW [作詞:MEG&前山田健一 / 作曲:前山田健一 / サウンドプロデュース ☆Taku Takahashi(m-flo)]
- REPLICA [作詞:MEG / 作・編曲:中田ヤスタカ(capsule)]
- WEAR I AM [作詞・作曲・編曲:三浦康嗣(□□□)]
MEG(めぐ)
2002年7月にシングル「スキャンティブルース」でメジャーデビュー。2007年からは中田ヤスタカ(capsule)をプロデューサーに迎えて音楽制作を行い、アルバム「BEAM」「STEP」「BEAUTIFUL」はiTunes Store総合アルバムチャート連続1位を獲得する。多くのファンの支持を集める中、2010年9月にリリースしたベストアルバム「BEST FLIGHT」と、同年10月のライブを最後に国内での音楽活動を休止。その後は「JAPAN EXPO Paris」に出演するなどフランスを中心に活躍し、2012年より活動を再開。4月25日にコンセプトアルバム「LA JAPONAISE」、10月にオリジナルアルバム「WEAR I AM」をリリースした。音楽以外にもファッションブランド「CAROLINA GLASER」のメインデザイナー、コスメブランド「baw」のディレクターを務め、モデルとしても多くの雑誌の表紙を飾るなど、東京カルチャーの代表的なファッションアイコンとして多方面に活躍中。
2012年10月5日更新